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    それはまるで塊が津波のように【高松浩史の音色探索 その箱の中は地獄より深い】– 第11回

    生粋のエフェクター・フリークとして知られる高松浩史による、以前本誌にて掲載していた当連載がBM Webにて復活! マニアックなものからビギナー向けのお勉強企画まで、豊富な機材知識を持つ高松がエフェクターを語り尽くします。第11回は、近年熱視線を集める国産ブランドCULTより、ベース用オーバードライブを検証!

    それはまるで塊が津波のように

    Bass Magazine Webをご覧の皆様、ごきげんいかがでしょうか。高松浩史です。

    7月も近づき、暑さも段々と増しつつ、梅雨の湿度も気になる時期になりましたね。湿度変化があると楽器の状態も変わってくるので、こういった時期にリペアショップなどで診てもらうようにすると良いと思います。

    さて、今回はこちら。

    CULTの“Lux”です。

    入手してからいろいろな場面で使用していますが、本当に素晴らしく気に入っています。コントロール自体はシンプルで、こんな感じ。

    Volume:音量の調整
    Drive:歪み量の調整
    Bass:低音域の調整
    Treble:高音域の調整

    パッと弾いた感じ、そこまで派手ではないのですが、実は隅々まで拘って作られているなと気付かされる機種です。

    Driveを上げていくとEQの効きも良くなっていくような感じで、特にTrebleはとてもわかりやすいですね。

    特筆すべきはBassの効きで、最大まで上げても音が潰れたり、ローが強過ぎて音が成立しなくなったりということがありません。弾いているイメージとしては、歪みがかかっている部分には効いていなくて、クリーンというか原音のローの部分に効いているというか……説明が難しいですが。

    歪みは少し上の帯域にかかっていて、Bassは歪みのかかっていない低音域に効いている、と説明すると少し分かりやすいかも知れませんね。あくまで弾いたイメージなので、実際にどういった回路設計なのかはわかりませんが……。

    基本的にはローからロー・ミッドあたりの密度がしっかりとしているので、バンド内でもそのポイントが嫌味なくスッと前に出てくれるような印象です。バンド・アンサンブルへの混ざりの良さだったり……いわゆるベースをすごく良いところに収めてくれる、居場所を作ってくれるなという点も感動ポイントでした。

    そういった点は、少しサンズアンプに通づるものがあるなと思います。

    あとはほかのエフェクターとの相性がとても良いです。僕はよく、歪みペダルに別の歪みペダルを足してゲインアップをしたりするのですが、“Lux+ディストーション”などの組み合わせでも潰れずにわかりやすくゲインアップし、プラスするエフェクターの邪魔をせず、しっかり音が強くなる感じがあります。あまりこういった機種に出会ったことがないので、とても新鮮でした。

    以上、今回はCULTの“Lux”をご紹介させていただきました。

    まだまだ良いところを書ききれていないような気もしていますが、単純に“音が太くて最高!”というひと言に尽きるかもしれません(笑)。

    なかなかお値段の張る製品ですが、弾けば弾くほどその魅力に気付かされると思います。みなさんもぜひ弾いてみてください。

    それでは、今回はこのへんで。ご覧いただきありがとうございました!

    ◎Profile
    たかまつ・ひろふみ●栃木県出身。2002年に高校の同級生だった小林祐介(vo,g)とともに前身バンドを結成する。2005年からThe Novembersとしての活動を開始し現在までに8枚のフル・アルバムなどを発表している。2021年からは京(vo)、yukihiro(d)を中心としたプロジェクトPetit Brabancon、浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSのメンバーとしても活躍している。その他、Lillies and Remains、圭、健康のサポート・ベーシストも務めている。

    ◎Information
    高松浩史 X Instagram