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    『スペランカー』上機嫌と不機嫌の違いは16分音符ひとつの差だったりする【クリープハイプ長谷川カオナシのレトロゲーム喫音堂】- 第12回

    • バナードット絵:石田芙月(株式会社.AC)
    • 挿絵:長谷川カオナシ

    2022年にメジャー・デビュー10周年を迎えたクリープハイプ。それを記念して始まった長谷川カオナシによる本連載コラムも1年がたちました。多彩な趣味を持つ長谷川が、特にハマっているという“レトロゲームのベースの世界を引き続きご案内します。

    ほんの一瞬がすべてを変える

    お世話になっております!

    今月、我々クリープハイプは幕張メッセと大阪城ホールにて初のアリーナ・ワンマンを2デイズ敢行してまいりました。

    お越しくださった皆さん、ありがとうございました!

    さらに先日29日は久しぶりの音源である、5曲入りのEP『だからそれは真実』をリリースいたしました。

    私が作詞作曲歌唱した楽曲「朝にキス」も収録されております。

    こちらのほうもぜひチェックしてくださいませ。

    さて、早いものでもう年度末。

    今年度最後の喫音堂です。

    この連載が始まった頃、最初にリクエストいただいたゲームを喫音していきましょう(※1)

    『スペランカー』(1985年/アイレム)(※2)

    カッコよすぎるカセット。通電するとランプが点灯します。

    ファミコンの『スペランカー』。

    なんと言っても史上最弱の主人公のいるゲームとして名高い名作ですね。

    プレイヤーはエレベーターを下り、深い洞窟のなかを探索していきます。

    神出鬼没のゴースト、噴き出す高熱の間欠泉、有害物質をまき散らすコウモリ。

    洞窟のなかは危険でいっぱいですが、この大冒険最凶の敵は段差

    主人公は、ほんの1キャラ以上の段差から落ちると簡単に1ミスとなってしまいます。

    最初のエレベーターから降りられずにミスしたプレイヤーも多いのではないでしょうか。

    真の護身が完成したのなら、危険には辿り着けぬのじゃよ。

    そんなスペランカーですが、プレイ中のBGMはなんと潔く1曲。

    隠しボーナス・アイテムを取らない限り、基本的にはメイン・テーマを聴き続けることになります。

    ……まぁ頻繁にミスするんで死亡SE(※3)も定期的に聴きますけどね。

    このメイン・テーマ、さすが1曲で勝負しているだけあって、なかなかの躍動感で冒険を盛り上げてくれます。

    構成しているのは主にメロディ・トラックとベース・トラックの2トラック。実に質素です。

    あとはスネア然としたノイズ・トラックが2、4拍目を打ちますが、このトラックはほかのSEが鳴ると消えてしまうのでほとんど効いていません。

    少ないトラックで躍動感を出すに当たり、カギとなるのがやはりベース・ライン。

    注目してみましょう!

    ベース・ラインの最初の2拍は基本的にはこのパターンです。

    ポイントはこの赤い文字で書いた“ッタ”の音。

    この1音が入ることにより、シンプルなトラックにハネ感を持たせております。

    “わかりました!”と返事をするより、“わかりました!”と返事をしたほうが軽い感じがしますよね。

    とてもご機嫌なベース・ラインです!

    この“ッタ”音の重要性には動画でも触れておりますので、ぜひご覧ください。


    先述の“ッタ”の音を弾いたあと、すぐ次の音を弾かなければなりません。

    ですが、その2音がつながってしまうとハネ感が薄らいでしまいます。

    間にほんの一瞬ミュートを入れる意識で弾きましょう!

    今年度最後の喫音堂はファミコンの『スペランカー』を取り上げました。

    さて、今回で本連載も12回となりましたが、なんと来年度もこの場をお貸しいただけることとなりました!

    ありがとうございます!

    私もスペランカーの主人公を見習って不屈の精神でまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

    それではまた来月までご機嫌よう。

    (※1)
    ^ ツイッターでのリクエスト、ありがとうございます! #喫音堂タグもチェックしてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

    (※2)
    ^ タイトルBGMはTim Martin先生、メインBGMの作曲は“アイレム社員”とのことです。一体どなたが……。

    (※3)
    ^ サウンド・エフェクトの略で効果音のこと。

    ◎Profile
    はせがわ・かおなし●1987年9月23日生まれ。小学生でピアノとヴァイオリンを手にし、高校1年でベースを始める。クリープハイプは2001年に尾崎世界観(vo,g)を中心に結成。2009年に長谷川、小川幸慈(g)、小泉拓(d)を擁した現編成となる。2012年にメジャー・デビューし、2014年には日本武道館にてライヴを行なう。2023年3月29日に新作EP『だからそれは真実』をリリースした。長谷川はティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズのグッズ収集家でもある。

    ◎Information
    長谷川カオナシ
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    クリープハイプ
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