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    【ベーシストのライフワーク】第五回 − 前田恭介(androp)

    華やかな舞台で活躍するプロ・ベーシストたちに、普段は覗くことのできないプライベートな一面を自らの言葉で語ってもらう本連載企画。今回は、編集担当の当方も毎週通うほどにどハマりしている“サウナ”について、音楽界屈指の“サウナー”としても知られる、andropの前田恭介さんに語っていただきました!

    サウナが連れてきてくれた“新世界”。

     ここ数年、サウナが流行っているのはご存知でしょうか? 各種メディアで取り上げられているので、最近目にしたという方も多いかと思います。このたびは音楽家というカテゴリーにおいても偉大な先人たちがたくさんいるなか、サウナに関して語るのはおこがましいこととはわかっておりますが、わたくしフィンランド政府観光局公認サウナ・アンバサダーの前田恭介が、サウナについて語らせていただこうと思います。

     私がサウナに通い始めたのは2016年にバンド・メンバーと一緒に行ったのがきっかけとなります。初めはあまり良さがわからず、そのときは2回目行くことはないだろうなと思っていました。ところが数日たったあるとき、なぜかサウナに入ったときの感覚をずっと考えている自分がいたのです。なんとなくサウナ施設を調べてみたら驚くほどの数の施設があり、そしてたくさんのサウナ愛好家がいることを知るのです。そこからサウナにハマり、通っているうちに常連たちの独特なルーティンや施設のユニークな特徴などがあることに気づき、Twitterで“あるある”を発信するようになります。そんなことを続けていたら、それをおもしろいと思ってくれた方がいたみたいで、トークショーなどに呼んでくれるようになったのです。その後は、あれよあれよとサウナ・アンバサダーに任命され、ラジオでサウナ番組を持ち、こうやってベース・マガジンでもサウナの記事を書く機会をいただいているという次第でございます。

     これらはすべてサウナが連れてきてくれたなぁ、と思うのです。何か新しいことに触れたり、チャレンジしたり、新しいものを買ったりすることも、そのすべては新しい世界に連れっていってくれると自分は感じています。

     私はandropというバンドでデビューしてすぐに1960年製のフェンダーのジャズ・ベースを購入しました。買った当時は20歳そこそこの若輩者でしたので身分不相応とはわかっていましたが、そのチグハグさがおもしろかったのか、たくさんの先輩ミュージシャンに興味を持ってもらえたり、それきっかけで憧れのベース・マガジンにも載ることができました。ヴィンテージのフェンダーのベースを買ったことによって連れて行ってもらえる世界がそこにはありました。新しい世界に連れて行ってくれる趣味の世界というのは、人生を豊かにしてくれるものだと思います。あまり興味がなくても、好奇心を持っていろいろなことに手を出すというのも悪くないですよ。

     ということで、今日はサウナにでも行ってみるのはどうでしょう?

    フィンランド政府観光局認定サウナ・アンバサダーの認定証
    サウナにはまるキッカケとなった、サウナしきじ
    北海道に前乗りしてバンド・メンバーと行った、フェイバリット・サウナの白銀荘

    【Profile】
    まえだ・きょうすけ●2008年に結成されたロック・バンドandropのベーシストとして、2009年12月、ミニ・アルバム『anew』にてデビュー。緻密に構築されたバンド・サウンドに加え、映像やアートワークを含めた表現方法で注目を集める。デビュー10周年アニバーサリー・イヤーとなった2019年を経て、現在はさらに精力的な活動を展開中。2022年9月7日にデジタル・シングル「September」をリリースした。

    ◎Information
    androp:Official HP Twitter Instagram YouTube
    前田恭介:Twitter Instagram