NOTES
1996年から2020年まで24年間にわたりベース・マガジンの人気連載として掲載されていた、かわいしのぶの「ある日の絵日記」が“リターンズ”としてBass Magazine Webで連載中。今回は1月から2月にかけての絵日記です!
ある日の絵日記 リターンズ
第4回
1月29日、新宿ロフトにて、しりあがり寿さん主催“さるハゲロックフェスティバル’22”開催。今回私は“坂田明さんとのデュオ”と“東儀秀樹さんのユニット”で参加。無観客、配信のみでの開催となったものの、あらゆるジャンルの濃厚な演者の方々が行き交う会場内は桃源郷。時に、坂田明さん、南伸坊さん、知久寿焼さん、根本敬さん、しりあがり寿さん、というメンバーが揃った楽屋は神々の集い、強力なパワースポットと化していた。
2月某日、新宿ピットインに即興のライヴを観に行くも、前日に映画『悪魔の手毬唄』を観たばかりの私の耳は、何を聴いても横溝正史シリーズに聴こえる耳になっていた。ギターのノイズが轟くたびに血塗れの屍体が、ベースのリフが始まると坂の上から石坂浩二が息を切らして駆けて来る。
2月某日、新宿の某デパートで買い物をするため、空いている別館のパーキングに車を停める。本館のデパートまでは送迎バスで5分ほど。そのバスに乗り込もうとすると、スーツ姿の男性が駆け寄ってきて“こちらのお車の方が早くご案内できますので”と案内してくれた先には黒光りのセダンが停まっていた。“いや、違います、バスに……”と言う私を、男性は丁寧に、かつ、有無を言わさず後部座席へ送り込み、ドアは閉まり、車は発進。心地よい皮張りの座席、昭和の応接間を思わせる瀟洒な車内。たぶん、今わたし、50年の人生で一番お高級な車(運転手付き)に乗っている。イコール、それは、今120パーセント間違いが起こっているということだよぐあああ。ラグジュアリーな乗り心地とは裏腹に、脳内で流れ続けるドナドナのメロディ。たった5分弱のドライブで憔悴しきった私を待っていたのは、一般客立ち入り禁止、外商願客をはじめとする一部の上得意様のみでデパートを丸ごと貸し切るという恐ろしいイベントであった(文字数)。
『お高級 寿命が縮むよ ドナドナド 』
【Profile】
かわいしのぶ●1971年生まれ、東京都出身。高校一年でベースを始める。1991年にSuper Junky Monkeyを結成し、1994年、ソニー・レコードよりデビュー。日本とアメリカを行き来しながら活動を続け、1999年に活動休止。2009年からは3人で活動を再開した。かわい個人は現在、大友良英スペシャルビッグバンド、柴田聡子 in FIRE、坂田明、パンチの効いたブルース&オウケストラ、プノンペンモデル、world’s end girlfriend、bikke&近藤達郎など、ベーシストとして幅広い活動を展開している。カレーが大好き。
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