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12月14日、またひとり偉大なベーシストがこの世を去った。フィル・チェン。享年75歳。オフィシャルのFacebook ページによれば、癌との闘病が長く続いたそうで、まずは安らかな眠りにつけるよう祈るばかりだ。
1946年10月にジャマイカに生まれたフィルは、中国にルーツを持つ小柄なセッション・ベーシストだ。地元で腕を磨いたあと1960年代後半に英国に渡りセッション・ベーシストとしての活動をスタートさせる。
フィル・チェンのプレイを語るうえでハズせないアルバムが、ジェフ・ベックの『Blow By Blow』(1975年)とロッド・スチュワートの『Blondes Have More Fun(邦題:スーパースターはブロンドがお好き)』(1978年)だろう。前者はジェフ・ベックのアイディアに溢れたギター・プレイはもちろんだが、フィルの柔らかくも力強く推進するグルーヴが堪能できるアルバム、後者は今やベーシストのお約束ともいえるオクターヴのディスコ・フレーズが炸裂する「Da Ya Think I’m Sexy?(アイム・セクシー)」が聴ける名盤だ。1970年代後半はロッド・スチュワートのバック・バンドにも継続的に参加しており、ニコニコしながらアクティヴにステージを駆け回るイケメンなフィルの映像が多数残されている。
ベーシストならば、近年レア・グルーヴ・ブームの影響で再評価された英国のファンク・バンドGONZALEZの1stアルバム『GONZALEZ』(1974年)でのファンキーなプレイも必聴だ。1972年から1975年にかけては元ドアーズのギタリスト、ロビー・クリーガーとドラマーのジョン・デンスモアが結成したバンド、Butts Bandに加わり、2枚のアルバムを残している。また、1983年にはブライアン・メイのソロ・プロジェクトStar Fleet Projectに参加し、エディ・ヴァン・ヘイレンとの共演も果たしている。
頻繁に来日もしており、テレサ・テンのツアーに同行したほか、B‘zのギタリスト、松本孝弘のソロ・プロジェクトであるRock’n Roll Standard Club Bandのレコーディングに参加するなど、日本のミュージシャンとも共演していた。
筆者個人としても大変思い入れのあるベーシストで、日本人としても親近感の湧く風貌と小柄な体格から繰り出されるベース・プレイでロック、ポップスの最前線を引っ張る姿に憧れると共に、とても勇気づけられました。ありがとうございました。