最新作『It Is What It Is』がグラミー賞の“最優秀プログレッシブR&Bアルバム部門”を受賞したサンダーキャット。盟友フライング・ロータスとの共同プロデュースにより作り上げた同作は、ジャズやソウルを再解釈した奇想天外なサウンドスケープで心地よいグルーヴとキャッチーなメロディを包み込んだ、このふたりならではのモダン・ブラック・ミュージックとなっていた。そして、この新世代黄金コンビによる新曲がドロップされた。

　フライング・ロータス名義でリリースされたシングル「Black Gold（feat. Thundercat）」は、戦国時代に実在した黒人の侍・弥助の生き様をファンタジックに解釈し、人気アニメ『呪術廻戦』などで高い評価を受けるMAPPAがアニメーション担当するNETFLIXオリジナル・アニメ『Yasuke -ヤスケ-』のオープニング・テーマだ。シンセ・ベースによる重低音を核としながらリヴァーブの効いた抽象的なシンセで空気感を作り上げ、そこにサンダーキャットの繊細な歌声が響く。シンセ・ベースの重低音を包み込むように、サンダーキャットによる6弦ベースでのアルペジオがアンサンブルを補強し、“踊れる！”と感覚的に反応してしまうグルーヴ・ミュージックを作り上げながらも、アニメの壮大な世界観を拡張する神秘的な仕上がりでまとめているのは流石のひと言。フライング・ロータスとサンダーキャットの両名はオタク・カルチャー好きを公言しているだけに、“水を得た魚”といったところか。

　フライング・ロータスはアニメ『Yasuke -ヤスケ-』の劇伴も担当し、6月18日に発売されるサウンド・トラック『YASUKE』にはサンダーキャットとのコラボ曲も収録。この親日家コンビの日本産アニメとのコラボは今後も期待したいところ。ブラック・ミュージック好きのベーシストにはぜひともチェックしてほしい文化交流だ。