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    Ibanez SRシリーズ “2021”モデル × TOKIE

    • Equipments Explanation:Makoto Kawabe
    • Photo:Takashi Yashima

    TOKIE’s Total Comment

    SRシリーズ2021年モデルを体感したTOKIEに今回の試奏を振り返ってもらった。多彩なプレイが魅力的な敏腕ベーシストの目にSRはどう映ったのだろうか。

    これ1本でさまざまな音色にチャレンジできる。

     今回試奏した2本はSRシリーズのなかではどちらも中堅グレードなんですよね? この価格帯でこのクオリティというのは、最近の楽器は素晴らしいなというのが第一印象でした。なんでこの値段でできるんだろう(笑)? クオリティが安定しているというか、昔と比べると“ハズレが少なくなった”というか、本当に技術は進化しているなぁと感じます。

     私は自分の楽器ではあんまり手元のコントロールを使わずに全部フルテンでドンって感じで弾いてるんですけど、今回試奏した楽器はパッシヴとアクティヴの切り替えだったり、EQもいろいろな機能がついているので、ある程度楽器経験があって音で冒険したい人なんかがいろいろトライするのには最適なんじゃないでしょうか。いろいろセッティングして音で冒険しようと思ったら、正直、すごくお金がかかるじゃないですか。でもこのベース1本あればさまざまな音色にチャレンジできますからね。楽器自体がしっかり鳴っていて新搭載のピックアップも楽器のキャラクターに合っているんじゃないかな。ノイズがすごく少なくて音のバランスや立ち上がりも良いし、幅広い音色が作れるのでラウド系だけでなくいろんなジャンルで使える楽器だと思います。

     色と木目はどれも個性的ですよね。SR1305SB-MGLは蛇みたいでクール(笑)。今回弾いてないですけど、ブルーのサンバースト(SR600E-CTF)もかわいいなと思いました。試奏した2本を比較するとルックスだけじゃなくて音色キャラクターも結構違いましたね。どちらも路線の違う音色なので単にグレードやルックスだけではなく音色の好みで選んでも良いと思いますよ。

    ときえ●1993年にニューヨークへ渡り、バンド“サルファー”として活動する。1996年に帰国、1997年にはJESSE(vo,g)、金子ノブアキ(d)と“RIZE”を結成した。またUAと浅井健一らの“AJICO”にも参加し2000年にデビューを果たす。2001年にRIZEを脱退、中村達也率いるロック・ジャム・バンド“LOSALIOS”に加入。2006年には“unkie”を、さらに2012年には“ACE OF SPADES”を結成した。バンド活動の一方、ジャンルや世代を超えて、多数のレコーディングやライヴ、ツアーに参加している。今年AJICOは約21年ぶりに活動を再開し、5月26日にEP『接続』をリリースした。
    Official HP

    Special Interview
    キャリー・ノードストランド

    特集の最後にピックアップ界のパイオニア、ノードストランド・ピックアップ代表のキャリー・ノードストランド氏へインタビューを敢行。新開発された“Big Breakピックアップ”に込められた思いを聞いた。

    キャリー・ノードストランド(ノードストランド・ピックアップ代表)

    驚くほど万能なピックアップが完成しました。

    ──まず、アイバニーズのベースに対してどのような思いを持っているか教えてください。

     私が最初に手にしたベースはトランスルーセント・ブルーの“SR805”で、ベースを始めた当初よりアイバニーズを愛してきました。これまで10年にわたり、弊社がアイバニーズ・サウンドの大きな部分を担うことができたのはとても光栄なことに思います。我々のピックアップはこれまでアイバニーズが築き上げてきたトーンにさらに多彩な特徴を加えることで、アイバニーズのベースに注目してこなかったプレイヤーたちにもその魅力をアピールするきっかけを作れたと思っています。

    ──Big Breakピックアップの開発はいつ頃、どういった経緯で始まったのですか?

     弊社を代表する製品“Big Single”のハム・キャンセリング・バージョンの製作をアイバニーズから求められたことから開発が始まり、完成には約2年の期間を要しました。Big Singleのトーンやキャラクターに最適化したハム・キャンセリング効果を組み合わせることで驚くほど万能なピックアップとなりました。

    ──低音弦側と高音弦側でポール・ピースの位置をズラしているのには、どのような意図・効果があるのですか?

     ズラすことで低音弦はよりファットなトーン、高音弦はよりクリスピーなトーンを得ることができます。またハム・キャンセリング効果を最適化させ、コイル全体の理想的なインダクタンスと直流抵抗の等価性を実現できます。

    ──Big Breakピックアップは、中音域を細かく作り込めるアイバニーズの3バンドEQと組み合わせて使用することを前提に開発されたのですか? 

     そのとおりです。Big Breakのハム・キャンセリング効果は、アクティヴ・プリアンプと組み合わせるのにとても適しています。バランスの取れたピックアップのため、プリアンプによっても多彩なサウンドが引き出され、多様な場面にマッチするサウンドを作り出すことができます。

    ──アイバニーズのベースはパンガパンガをはじめ、特殊な木材を多く使用しています。ベースにどのような木材が使われているかは、ピックアップの開発にあたりどんな影響があるのですか?

     個人的な意見にはなりますが、大きく影響を与えることはないでしょう。良いピックアップは木材の種類を選ばず、ベストなサウンドを引き出してくれるものです。

    ──最後に、日本のベーシストにメッセージをお願いします。

     Big Breakピックアップは、Big Singleピックアップが持つ最高のクオリティを持ちながら新たな選択肢をアイバニーズ・ベースに加えてくれます。ハム・キャンセリング機能を持たせたことにより、ノイズ低減によるいかなる犠牲もともなうことなく、トーンの多彩さを次のレベルに引き上げています。ぜひ一度、そのサウンドを体感してください。