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    【お宅のエフェクト・ボード拝見!】#5 − マイケル(夜の本気ダンス)

    • Live Photo:Yuki Kimura

    プロ・ベーシストのエフェクター・ボードをフィーチャーし、ベーシストの“最新足下事情”を徹底検証していく当連載企画。第5回は京都発の4人組ダンス・ロック・バンド、夜の本気ダンスよりマイケルが登場。サウンドへの飽くなき探求心が作り上げた、こだわり深いシステムを検証していこう。

    選び抜かれたペダル群が織りなす
    無二のエフェクト・コンビネーション

    マイケルのエフェクト・ボード。①ボス製TU-3S(チューナー)、②Suhr製BUFFER(バッファー)、③SHURE製GLXD6(ワイアレス・レシーバー)、④One Control製Pedal Board Junction Box(ジャンクション・ボックス)、⑤ボス製OC-2(オクターバー)、⑥ダークグラスエレクトロニクス製Microtubes B7K(プリアンプ)、⑦VOCU製Baby Power Plant(パワー・サプライ)、⑧ボス製CS-2(コンプレッサー)、⑨Xotic製Bass BB Preamp(プリアンプ)、⑩One Control製Chamaeleo Tail Loop MkII(プログラマブル・スイッチャー)、⑪Source Audio製SA115 Hot Hand 3(ワイアレス・モーション・コントローラー)、⑫エレクトロ・ハーモニックス製Bass Micro Synthesizer(ベース・シンセ)、⑬panda MIDI Solutions製Future Impact I.(ベース・シンセ)、⑭Source Audio製soundblox2 SA223 manta Bass Filter(エンヴェロープ・フィルター)、⑮ボス製CEB-3(コーラス)。

     軽快なダンス・ビートと疾走感溢れるロック・サウンドを融合させる夜の本気ダンス。彼らの刺激的なサウンドを根底から支えるマイケルの足下には、個性豊かなサウンド・システムが広がっている。

     ベースからの信号はまず③SHURE製GLXD6(ワイアレス・レシーバー)から、ダースベイダーの玩具が上に乗った②Suhr製BUFFER(バッファー)へと接続。続いて常時オンで使用され、サウンドの根幹となる⑥ダークグラスエレクトロニクス製Microtubes B7K(プリアンプ)へと入る。Microtubes B7Kのセッティングについてマイケルは、“基本的にロー・ミッドをブースト、ハイ・ミッドをカットしています。こうすることでアンサンブルのなかでもベースがハッキリと際立って、ギターとのカブりも避けられます”と語る。

     Microtubes B7Kから⑩One Control製Chamaeleo Tail Loop MkII(プログラマブル・スイッチャー)へと入った信号はここから分岐。まず “COMP”と記されたチャンネルは⑤ボス製OC-2(オクターバー)をループしている。同社のオクターバーの最新機種は“OC-5”だが、あえて先代機種のOC-2を使用している理由を、“ボスのオクターバーはいくつか弾き比べたんですけど、OC-2のかかり方がすごく曲に馴染みやすくて、アナログ感もあって使いやすかったんです”と語る。

     “BB pre”と記されたチャンネルは⑨Xotic製Bass BB Preamp(プリアンプ)が接続されるが、マイケルはプリアンプとしてではなく歪みとして使用しており、具体的には「戦争」など、過激に歪ませる楽曲でそのサウンドを聴くことができる。“コレは歪みとしてめちゃくちゃ優秀。ゲインを上げればかなり歪むので、ずっとメインの歪みとして使っています”。

     “SYNTHE”のチャンネルは、⑧ボス製CS-2(コンプレッサー)と、歪み用途として使用するという⑫エレクトロ・ハーモニックス製Bass Micro Synthesizer(ベース・シンセ)が直列で接続。“マーズ・ヴォルタというバンドのホアン・アルデレッテというベーシストがこのつなぎ方をしていたので真似してみたんですが、Bass Micro Synthesizerのサウンドが一気に派手になるんです。CS-2はコンプでもありつつ、このペダルの持っているキャラクターが使えるんですよね”。このサウンドはライヴでは「Feel so good」や「By My Side」などで披露される。

     “Future”のチャンネルは、“このふたつは飛び道具ですね”と語る、⑬panda MIDI Solutions製Future Impact I.(ベース・シンセ)と⑭Source Audio製soundblox2 SA223 manta Bass Filter(エンヴェロープ・フィルター)が直列で接続されているが、ふたつを同時に使うことはなく、それぞれオン/オフ切り替えをするようで、Future Impact I.は多機能なゆえ、まだ使い方を模索しているとのこと。soundblox2 SA223 manta Bass Filterは、⑪Source Audio製SA115 Hot Hand 3(ワイアレス・モーション・コントローラー)で制御され、指に装着したリング型センサーの動きで音色をリアルタイム変化させることが可能。「Insomnia」のギター・ソロ終わりなど、ゆっくりワウを踏み込む感じを出したいときや、立ち上がりを若干遅らせたいときに使うとのこと。“CHORUS”のチャンネルは、⑮ボス製CEB-3(コーラス)を経由しており、「Take it back」などでは常時かけっぱなしで使用される。“ニュー・オーダーのピータ・フックが好きなんですけど、彼はコーラスをかけっぱなしで弾いたりしていますよね。そのイメージでコーラスがほしいと思って導入しました”。

     以上の信号を通ったあと、Chamaeleo Tail Loop MkIIのアウトプットから、最上段の④One Control製Pedal Board Junction Box(ジャンクション・ボックス)を経由して、アンプへと信号が送られる。なお、①ボス製TU-3S(チューナー)はChamaeleo Tail Loop MkIIのチューナー・アウトから接続されている。

     “現状のラインナップで満足している”というマイケルだが、今後は指弾き用に購入したアギュラー製TONE HAMMMER(プリアンプ)の導入のほか、スイッチャーをより多チャンネルのものにして、Future Impact I.とsoundblox2 SA223 manta Bass Filterを分岐させることを検討しているとのこと。個性豊かな本ボードが今後どんな進化を遂げるのか楽しみにしたい。

    Pick up!

    エレクトロ・ハーモニックス製Bass Micro Synthesizerは、シンセとしてではなく、主に“歪み”として使用している。本機について、“カサビアン「Club Foot」のベース音を研究していた際、僕のなかではコレで出しているという結論に至りました。現行モデルではないんですけど、ベーシストのクリス・エドワーズと同じものを選びました”と語る。

    Source Audio製SA115 Hot Hand 3は指に装着したリング型センサーの動きをワイアレスで受信して音色を制御するモーション・コントローラーで、マイケルはsoundblox2 SA223 manta Bass Filterのかかり具合をコントロールしている。“SIN(SiM)さんの影響で使い始めました。ワウ・ペダルのようなエフェクトを、指の動きだけでコントロールできるので重宝しています”。

    ◎Profile
    まいける●1989年9月7日生まれ、大阪府出身。夜の本気ダンスは2008年に京都で結成、マイケルは2012年に加入した。2016年、1stアルバム『DANCEABLE』でメジャー・デビューを果たす。2017年4月、テレビ・アニメ『境界のRINNE』のOPテーマ「SHINY」を含む『SHINY E.P.』を発表。8月にはフジテレビ系木曜劇場『セシルのもくろみ』の主題歌「TAKE MY HAND」をリリース。マイケルはピック弾きを主体とした独自のグルーヴを武器に、“人力ダンス・ミュージック”の根底を支える。2021年1月にはミニ・アルバム『PHYSICAL』を発表している。2022年5月12日から全国13カ所を回る全国ツアー“It’s a danceable world!”を開催する。

    ◎Information
    夜の本気ダンス:HP Twitter YouTube
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