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ミトがチェックするアコースティックリバイブ
“原音忠実”を理念に掲げたピュア・サウンドが特徴となるアコースティックリバイブ製品。その実力をクラムボンのミトがチェック!
今の音楽のスピード感とか低音域で、
いてほしい場所に鳴らせる。
ミト(クラムボン)
◎Profile
1975年5月6日生まれ、東京都出身。1995年にクラムボンを結成し、1999年にメジャー・デビュー。バンド・マスター/メイン・コンポーザーとして活躍する。バンドは2015年リリースの『triology』までに9枚のオリジナル・アルバム、2016年より自身のレーベル“トロピカル”から『モメント e.p.』シリーズ3作品などを発表している。ミトは2006年よりソロ活動も展開しているほか、他アーティストへの楽曲提供やプロデュース、アニメ・ソングなどの作家としても多くの作品に関わっている。
◎http://www.clammbon.com/
フラットだけど音楽的。
ミュージシャン側に寄り添っている。
──ミトさんがアコースティックリバイブ製品を知った経緯は?
超低周波を発生させて、いろんなものを整えて音質の改善をするという装置があるんですけど、それで露骨に音が変わったので、すごくいいなと思っていました。老舗中の老舗ですし、ミュージシャン界隈だと、どちらかというとレコーディング・エンジニアとか、スタジオユースの人の間でシェアが多いメーカーですよね。ちょうど僕がケーブルを始めとしたいろんなものを試し始めた頃、求めていたものがフラット特性のものだったんですけど、アコースティックリバイブは、フラットなんだけれどもしっかり音楽的な状態を保っている印象でした。やっぱり、どうしてもシステマチックというか機械的な音色になるものが多いジャンルの機材だとは思うんですけど、昔からバイタリティというか生命力感を押すみたいな感じですかね。
──そんなアコースティックリバイブのシールド・ケーブルの印象は?
先ほど言ったことと同じで、身がしっかりと詰まっている音だと感じます。あとは解像度が高いというのか、例えば空間系エフェクターをかけると、実音に対してそのうしろにエコーの成分があるわけですけど、その分離がよく見える。それはノイズが少ないということで、ノイズがあると干渉しちゃって、どんどん音が濁っていったり、ちょっと歪みがちになったりっていうことが起こりやすいんです。雑味があると、実音がにじみ、エコー音もにじみ、そうすると、エフェクトを多くかけているのか少なくかけているのかがわからなくなっちゃう。そういう意味で、よりエフェクターのかかり方をコントロールしやすくなると思います。
──アコースティックリバイブは“原音忠実”を掲げていますが、それは“ワイドレンジ”ということになるんでしょうか?
世にあるシールド・ケーブルのなかでは、格段にワイドレンジだと思いますよ。ただ、レンジの広がり方は、ちょうどいいところに収まってくれる。ことベースっていうところだと、あんまり上にも下にも行かれてしまうと困るじゃないですか。特にハイ・エンド的なところは、シャキシャキ伸びちゃうと、例えばベースのスライド・ノイズってけっこう曲者だったりして。あとはスラップのプルが痛くなりすぎるとかね。そこがキレイに収まってくれる感じがしました。そこって結構重要で。レンジがめちゃくちゃ広いものは、こっちでコントロールしてあげなくちゃいけない場合が出てきて、まぁ、それで演奏がうまくなるということもありますけれど(笑)、本来は、そこにストレスを感じずに、もっとライヴや演奏に集中したいわけですから。
──低域に関してはいかがでしょうか?
例えば5弦のローBで、音が低すぎて輪郭が見えないときには、コンプやヘッドアンプなどで色をつけていくわけですけど、その際に素材が新鮮なほうが求める帯域に当てやすく狙いやすいわけです。その意味ではすごくフレッシュで、5弦を濁らないで出せるところはあるかもしれないですね。全体的にオールラウンダーではあるんですけど、個人的にはヴィンテージ楽器などよりも、アクティヴでしっかりとパワーのあるベースをちゃんと受け止めてくれる、そういう今っぽさがあると感じます。今の音楽のスピード感とか低音域で、いてほしい場所に鳴らせる感じ。
──なるほど。では、電源ケーブルの印象はいかがでしたか?
POWER STUDIOとPOWER STAGEでは全然印象が違いますね。POWER STUDIOはスタジオユースと言ってるだけあって、非常に安定感のある、嘘がない音がしますね。ただ、今まで言ってきたようなアコースティックリバイブの今の時代の特性である、ちょっと身が詰まっていて生命力を感じるところはあります。
──POWER STAGEは?
めちゃくちゃスピードが速い。変な話、あそこまでしっかりギュッとスピードが速いと、ある種ローカットされている感じに聴こえるかもしれない。でも、じゃあベース向けではないのかというとそうではなくて。音って、高い音から低い音っていう順に音のスピードがあるわけで、結局は部屋で鳴らして低音域を響かせたりするわけじゃないですか。だから情報が速いぶんには良くて、例えば打ち込みがすごく入っていたり、すごく歪みの多いバンドだったりでアンプとかに使うと、下とか上にガチガチいるところとかをかいくぐって、フレーズとかピッチ感を出してくれるイメージ。特にホールとかのちょっと大きなステージでやると、プレイヤーさんたちはやりやすいんじゃないかな。
──今回はスピーカー・ケーブル、電源タップ、インシュレーターも試してもらいました。
インシュレーターは、キャビネットの上に置いて、さらにその上にヘッドを載せてみたんですけど、それぞれの振動で共鳴していたチリチリした部分がスッとなくなったので、これはいいなと。スピーカー・ケーブルはシールド・ケーブルと印象は同じ感じで、自分が使っていたものよりもクリアになりました。インシュレーターとスピーカー・ケーブルで、ずいぶん音の方向が定まるというか、ギュッとまとまって、“この方向でこういう音で出ているんだ”っていう輪郭が出てきました。電源タップは、“この楽器はこういう特性だよ”みたいなことをすごくわかりやすく伝えてくれる。だからライヴでアンプとエフェクターで電源を分けたりするときにエフェクターのところに使うと、音作りもしやすくなると思います。
──アコースティックリバイブ製品に共通する特色はどんなところに感じますか?
フラットだけど音楽的。さすがにオーディオ関連から出ているだけあって、すごく音楽を知っているというか。意外と、世にある電源とかシールドって、そこまで音楽的というよりは、その特性を気にしがちなんですけど、アコースティックリバイブはもっと音楽や、それを演奏するときに起こる躍動感みたいなものを良く出そうっていう、ミュージシャン側に寄り添っている気がしますね。
ミトがチェックした製品
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