NOTES
“約3分”でベース上達にまつわるさまざまなトピックを解説するYouTube動画連動の連載『石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜』。第150回目では、“左手の指が開かない!” というベーシストに向けて、4つの解決策を紹介していきます。
本当に指を開く必要があるのか?
“左手の指をもっと開いて弾きたいのに、開かない”と悩んでいませんか?
そういう人は、これから挙げる4つのポイントに取り組みましょう!
いきなり逆のことを言いますが、まず大前提として、“無理に”指を開かなくてもいいです。
大事なのは、自分の体の構造に合った指の使い方をすることです。体の構造に逆らって無理をすると、必要以上の力を使ったり関節を痛めたりするので気をつけましょう。
もうひとつ大事なのは、そのフレーズを弾くのに“本当に指を開く必要があるか?”を見直してみることです。“指を開かないと弾けない”と思い込んでいるだけで、実際はほかのアプローチがあるかもしれません。
では、これらの前提を踏まえつつ、指を開くにはどうしたらいいか見てきましょう。
ポイント① 指を曲げ過ぎない(左手のフォーム)
身体の構造を考えると、ネックを握りこんで“手のひらがネックの裏側に接する”形のフォームだと、指がかなり曲がった状態で押弦することになります。これだとあまり指は開きません。
このフォームそのものが悪いと言っているわけではなく、指を開きたいのであれば、“親指をネックの裏側に持ってきて、指が自然なアーチを保ったフォームで押弦する”ほうが指は開きやすいです。
僕は基本的にこちらのフォーム(写真右)で弦を押さえますが、握り込むフォーム(写真左)と適材適所で使い分けている人も多いでしょう。

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ポイント② 手首を曲げ過ぎない(ネックの高さを調整する)
手首が曲がっているより“真っ直ぐ”なほうが、指を開きやすいです。ネックの位置が低いと、手首が曲がってしまうのであまり指が開きません。
ストラップの長さを調整するなり、ヘッドの位置が高くなるように角度をつけて構えるなりして、ネックの位置を高くすると、手首を真っ直ぐに近い状態で押弦できるので指が開きやすいです。

※ネックの位置が高い

※ネックの位置が低い
ポイント③ 親指を軸に手のひら全体を動かす
たとえばペンタトニック・スケールを使った【譜面①】のようなフレーズがあるとします。

これを【運指①】のタブ譜で示したように、“シフトせずにひとつのポジション内で弾く”場合、僕の手の大きさだとかなり頑張って指を開けば弾けるものの、キツいです。

そこで、本当に指を開く必要があるか?と考えてみると、無理に指を開くのではなく、親指とネックの接点はキープしたまま(つまりシフトはせずに)手のひら全体を左右に動かすことで目的のフレットに指を届かせる方法もあります。
僕は手が決して大きい方ではないので、ロー・ポジションでは基本的にこういった動かし方(→動画もチェック!)をしています。
ポイント④ 運指を考え直す
先ほどの【譜面①】。これを別の運指で弾ける可能性があるか考えてみます。
次の【運指②】のような運指も考えられますが、【運指①】よりも指を開かなければいけないので、さらにキツくなります。

例えば、個人的には【運指③】のように弾くことが多いです。常に3フレット分しか指を開かなくていいのでラクだし、シフトするときにスライドを使うことで滑らかなフレージングにできる点も良いのではないかと思います。

もちろん、これら以外の運指も考えられます。
ということで、指が開かなくて困った場合、“なんとかして無理に開く”方向で頑張るよりも、体の構造に合った指の使い方をしたり、指を開く以外のアプローチがないか試したりして、無理のない自然な運指を目指しましょう。
石村順でした!
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石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。
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