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    リズムがモタる人向けのリズム練、深掘り編!【石村順の低音よろず相談所】第136回

    • Text:Jun Ishimura

    前回に続き、ジャストで演奏しているつもりなのにモタる傾向がある人が気をつけるべきポイントをお話しします。

    前回のエクササイズはリズム練なので、あのリズムの形を守りさえすれば、ほかの音使いでやってもいいし、どの奏法でやってもいいし、なんならどの楽器でやってもいいです。2週間しっかり取り組んだ人は、ある程度の精度で弾けるようになってきていると思います。

    そこで、あのエクササイズの効果をより高めるための注意点をふたつ追加します。

    ① ピッキングの瞬発力

    【Ex.1】は、前回【Ex.5】と同じエクササイズです。これをさらに深堀りして練習するにあたって、(どの奏法でも)ピッキングの動きがフレーズの前半と後半で変わっていないかどうかチェックしましょう。

    前半のフレーズは16分音符の精度でピッキングしていないとビシッとハマらないはずです。つまり、安定したリズムで演奏できているなら、16分音符レベルの瞬発力でピッキングできていると思います。

    後半のフレーズ(4分音符)を弾くときも、前半の“16分音符を弾くキビキビとした瞬発力”を保ったままピッキングすることが大事です。4分音符のピッキングの動きが“もっさりした遅い動き”にならないように気をつけましょう。この練習のメインの目的は、ここにあります。つまり、8分音符でも4分音符でも全音符でも、どんな音符であれ“一番細かい音符を弾くのと同じ動き・同じ精度・同じ瞬発力で弾ける”ようになること。これを身に付けましょう。そして、力まずリラックスして取り組みましょう。

    自分のピッキングの動きをよく観察してください。鏡に映したり録画したりして確認するのも良いです。

    “自分の演奏の結果”に責任を持つ 

    ふたつめのポイントは、“自分の演奏の結果”に責任を持つことです。どういうことかと言うと、ただ指を動かして弾きっぱなし、というのではあまり良い練習にはなりません。そうではなく、“自分の演奏の結果「つまり」自分が出している音”にしっかりと注意力を向けて、よく聴きながら練習してください。

    メトロノームを拍のオモテに鳴らし、次の【ex.2】のフレーズを弾きます。

    さて、こういうメトロノーム練習のポイントとして、“メトロノームをよく聴こう”とよく言われます。これは当然その通りです。ただし“なんとなくメトロノームが聞こえている”程度の聴き方ではダメで、“集中してよく聴く”ことが大事です。それに加えて今回お伝えしたいポイントは、“自分のベースの音もよく聴く”ことがすごく大事、ということです。

    自分が演奏した結果出ている音とメトロノームの音は、ちゃんと噛み合っていますか? メトロノームより遅れたり、先走ったり、揺れたりしていませんか? 

    メトロノームの音も自分のフレーズの一部だと思って弾く、というアプローチも良いです。メトロノームの音は自分が出している、という意識です。これは、“メトロノームに合わせよう”“合わせなきゃ”という、どちらかと言えば他力本願のような意識で弾くのではなく、自分の内側でリズムを感じて“ここだ!”と確信を持って音を出して、その音が“結果的にメトロノームと合う”のが音楽的なアプローチだと思います。前回と今回のリズム練で、“リズムの感じ方”を鍛えていくといいと思います。

    このリズム練も、フレーズはなんでもいいです。なんでもいいですが、自分にとって難しすぎないフレーズを選び、1~2小節をリピートしましょう。いろいろ弾ける中級以上のプレイヤーでも、まずは【ex.2】のようなシンプルなフレーズから始めて、慣れたら徐々に複雑なフレーズにしていくと良いです。これは、リズム以外のこと(コード進行や運指など)に気を取られることなくリズムに100%集中して練習してほしいからです。

    ぜひ根気良く取り組んで、リズム感を鍛えていきましょう。石村順でした!

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    石村順
    ◎Profile
    いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

    ◎Information
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