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    (ベースにカポをつけちゃ)いかんのか?『ファンタジーゾーン』【クリープハイプ長谷川カオナシのレトロゲーム喫音堂】- 第19回

    • バナードット絵:石田芙月(株式会社.AC)
    • 挿絵:長谷川カオナシ

    2022年にメジャー・デビュー10周年を迎えたクリープハイプ。今回は、1986年にアーケードで登場以来さまざまなゲーム機に移植されてきた、セガの名作ゲームを紹介していきます。

    シンプルなフィンガリングなのにカッコいい!

    お世話になっております。

    レトロゲーム喫音堂、今月もやっていきましょう!

    今日はエレキベースにカポタスト(※1)を着けてみようと思います。

    ベーシストってカポタストを使用する機会が少ないですよね。

    少なくとも私はクリープハイプに加入してから、ベースにカポを着けたことはありません。

    ギタリストばっかり、なんかカッコいいアクセサリー着けててずるい~!

    じゃあたまには我々ベーシストも着けてみましょうか!

    そんなわけで今回はこちらのゲームを喫音していきます。

    『ファンタジーゾーン』(1987年/サンソフト、セガ)(※2)

    ボランダかっこいい!

    ファンタジー世界を舞台としたシューティングゲーム。

    他のシューティングゲームと一線を画す点としては、“ショップ風船”の存在が大きいでしょう。

    主人公のオパオパはこのショップ風船で買い物をすることによって、弾やボムを強化したり機動力を上昇させることができます。

    さて、今回喫音していくのはボス戦のBGM「Boss」。

    かなりノリノリな楽曲ですが、こちらはドラムとベースだけで構成されています。

    ベース・ラインは全て16分音符です。

    最初の2小節はGのルート弾きが軸になっています。

    次はCのルート弾き。更にその次はFのルート弾き…

    あ、これ、ルート音同士はそれぞれ“完全4度”の関係ですね。

    エレキベースのレギュラーチューニングに於ける各弦の関係と一致します(※3)

    私が使用しているエレキ・ベースのチューニングは低い方からE、A、D、G。

    ですがこの曲はG、C、Fの開放弦の音を多用します。

    そこで!エレキ・ベースの3フレットにカポを着けてみましょう。

    これで、開放弦が低い方からG、C、F、B♭の音になりました。

    なかなか珍しい光景です

    改めてベース・ラインを見てみましょう。

    最初の4小節は4弦だけを弾きます。2小節だけ、フレット番号を書き出してみますね。(※4)

    3、3、15、3 13、3、3、18 3、3、17、15 15、3、3、15

    3、3、13、3 3、11、3、3   10、3、3、8   3、5、6、3

    この“3”に関しては、カポを着けているので開放弦ということになります。

    右手では開放弦を16分音符でピッキングしながら、

    左手はハイポジションを押さえたり放したりするような形ですね。

    実はこの「Boss」は、このフィンガリングだけで1曲すべて弾けます。

    押さえる弦を3弦と2弦に変えることで、次のパートも制覇できてしまうのです。

    楽曲の構成楽器はドラムとベースのみ。

    登場するコードはG、C、Fの3コードのみ。

    フレーズのフィンガリングは2小節分だけ覚えればオッケー。

    それなのに楽曲はノリノリ!

    “シンプルでカッコいい”を見事に両立していますね。

    名曲だと思います。

    さて、今回はエレキベースにカポタストを着けてみました。

    私、実はカポタストが苦手(※5)なのですが、

    今回のように完全4度の関係の開放弦を多用する場合は、重宝するかもなあと思いました。

    フレキシブルでありたいですね! それこそカポタストが弦楽器をそうしてくれるように。

    それではまた来月までご機嫌よう。

    (※1)
    ^ ギターのネックに着けるアクセサリーで、任意のフレットの1弦から6弦までの1列すべてを固定することができます。 開放弦を多用するローコードの押さえ方でも移調を簡単にできるという代物ですね。

    (※2)
    ^ 今回やっていくファミコン版の開発、発売はサンソフトですが、これは1986年にセガが開発したアーケード用名作シューティングゲームの移植版です。 ファミコン版のサウンドは諸田直久先生。しかし楽曲はセガの川口博史先生がアーケード版で作曲されたものを使用しています。 ファンタジーゾーンではラスボス戦の「YA-DA-YO」が有名ですね。

    (※3)
    ^ ベースのチューニングと“完全4度”に関しては河辺 真先生のこちらのコラムをご参照下さい! 

    (※4)
    ^ タブ譜のように音階をフレット番号で表記することは、個人的にはかなり敬遠している文化なのですが、今回は“フィンガリング1パターンで1曲弾けてしまう”点を強調するために使用しました。 便利さ、とっつき易さは否定できませんね。

    (※5)
    ^ ギターを弾く際もそうなんですけど、レギュラーチューニングに慣れ過ぎてしまったせいで、最も太い弦の開放弦を弾いた際にEの音が鳴らないと頭が混乱するのです。 したがって“下げ系”のチューニングやキーボードのトランスポーズも苦手……!

    ◎Profile
    はせがわ・かおなし●1987年9月23日生まれ。小学生でピアノとヴァイオリンを手にし、高校1年でベースを始める。クリープハイプは2001年に尾崎世界観(vo,g)を中心に結成。2009年に長谷川、小川幸慈(g)、小泉拓(d)を擁した現編成となる。2012年にメジャー・デビューし、2014年には日本武道館にてライヴを行なう。2023年3月29日に新作EP『だからそれは真実』をリリースした。長谷川はティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズのグッズ収集家でもある。

    ◎Information
    長谷川カオナシ
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    クリープハイプ
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