NOTES
今回は下記のようなエクササイズ・フレーズを使って、いくつかのテクニックと理論を見ていきます。
これはDm7のフレーズです。リフとしても成り立つかもしれないけれど、どちらかというとフィルインとかソロっぽいフレーズですね。譜面上でこうやって16分音符がずらっと並んでいると、なんか難しそうに見えます。目の錯覚ですね。この目の錯覚を逆手に取って、譜面を書き直してみます。元の16分音符を、倍の長さの8分音符に変換して書き直すと、こうなります。
これだと、まあまあ簡単そうに見えます。まずは、ハンマリングせずに全部ピッキングして、運指に慣れましょう。
慣れてきたら、まず左手の2ヵ所をハンマリング(h)にします。
それにも慣れたら、今度は右手のピッキングの3ヵ所をレイキング(r)で弾きます。
僕は下記の指順で弾いていますが、i(人差指)とm(中指)の指は逆でもOKです。まずひとつ目は、1弦D音→2弦A音をmでレイキング。ふたつ目は、1弦B音→2弦A音をiでレイキング。3つ目は、1弦B音→2弦G音をmの指でレイキングしたあと、ハンマリングでA音を出して、再びmの指で3弦E音を弾きます。ここは4音を弾く間、右手はmの指だけで弾いているんですね。
こうやって、ハンマリングやレイキングを織り混ぜて弾くと、全部ピッキングするよりも右手が楽だし、なめらかな演奏になります。
ところで、このフレーズの音づかいがどうなっているかを見てみましょう。Rはルート、それ以外はルートからの度数を表わしています。
実はこのフレーズは、“ドリアン・モード”でできています。今回はDドリアンですね。マイナー・セブンスで使えるモードです。
Dドリアン・スケールをルートから並べ直すとこうなります。
これは、Cメジャー・スケール(あるいはCイオニアン)を2度から並べ直したものです。Cイオニアンの“ドレミファソラシド”を、レから“レミファソラシドレ”と並べたものがDドリアンです。
ドリアンはマイナー系コードでよく使うし、ファンクやロックのリフもドリアンでできているものがたくさんあるので、ぜひ覚えておきましょう! 知っているフレーズのなかにドリアンでできているフレーズがないか探してみたり、自分なりにドリアンを使ったフレーズを作ってみたりして、ドリアン・モードに慣れていきましょう!
石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。
◎Information
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