プランのご案内
  • PLAYER

    UP

    INTERVIEW – 高井佑典[a crowd of rebellion]

    • Interview:Koji Kano

    鳴り響く重低音は、
    バンドを支えつづけた13年の集大成。

    日本人離れしたシャウト・ヴォーカルに、伸びやかなハイトーン・ヴォイス。そこに圧倒的な重低音を加えた、“最新型”ラウド・サウンドを鳴らすのが、新潟発の5人組ロック・バンド、a crowd of rebellionだ。11月11日にリリースされた4thフル・アルバム『Zealot City』は、メタルコアやスクリーモを中心としつつもこれまでになかったヒップホップやアコースティックといった多様なジャンルのサウンドを網羅した、新感覚な一枚に仕上がっている。このなかで、攻撃的でありながらも腰を据えたベース・プレイでバンドを支えるのが、ベーシストの高井佑典だ。そんな高井は先日、来年2月の地元・新潟&東名阪ツアーをもってバンドを脱退することを発表した。結成から13年間、重低音を鳴らし続けた高井はベーシストとして自身の集大成となる今作にどう向き合ったのか。最初で最後となるベース・マガジンでのインタビューで、高井のベーシストとしての信念、そしてこれまでの歩みを語ってもらった。

    ひと言で言えば、“いまやりたいことを高濃度で捻出した一枚”です。

    ━━高井さんはBM初登場ということで、プロフィール的な部分からお聞きしていこうと思います。ベースはいつ始めたのですか?

     最初にベースに興味を持って、一本目を買ったのが高校一年生の16歳のときですね。同時に高校の友人たちと遊び感覚でバンドも始めました。

    ━━影響を受けたベーシストやバンドは?

     音楽に興味を持ったきっかけはポルノグラフィティで、当時のベースのTamaさんには影響を受けました。高校時代はパンクに傾倒していたのですが、そのなかでも特に衝撃を受けたのはSUM41。これまでいろいろなベーシストに影響を受けてきたのですが、やっぱりSUM41のコーン(ジェイソン・マクキャスリン)からの影響は特に大きいと感じています。

    ━━a crowd of rebellion(以下略称、リベリオン)はメタルコアやスクリーモといったラウド・サウンドが特徴ですが、高井さん自身そういった音楽もバック・グラウンドにあるのですか?

     そういったジャンルを聴き始めたのは、10代の終わり頃に友達から薦められて聴いた、ストーリー・オブ・ザ・イヤーとかフューネラル・フォー・ア・フレンドが最初だと思います。このバンドを始めてからは、テラーみたいなハードコア・バンドも聴くようになりましたね。日本のバンドだと僕らの世代は“FACT直撃世代”になるので、クリーンとシャウトが共存したあの形は当時衝撃でしたね。

    左から高井佑典(b)、近藤岳(d)、
    小林亮輔(vo&g)、宮田大作(vo)、丸山漠(g)
    『Zealot City』
    ワーナー
    【初回限定盤】WPZL-31791/2
    【通常盤】WPCL-13239

    ━━リベリオンは結成当初から現在のようなメタルコアを基盤とした音楽性だったのですか?

     このバンドを結成したのは2007年くらいなんですが、当初はもうちょっとエモ寄りというか、バンドで言うとNATURE LIVINGみたいなサウンドを目指していたんです。数年後にCDを出すようになってからだんだんとメタルコアの要素が増えていきましたね。ちょうど当時はCrossfaithが台頭してきた時期でもあったので、その流れもあって細かく刻むようなメタル特有のパートがどんどん入るようになっていきました。

    ━━なるほど。ではバンドでは楽曲やベース・ラインはどういった流れで作っているのでしょう?

     丸山(漠/g)がDTMで各パートまで作り込んできたデモを受け取って、その後それぞれが自分のプレイに落とし込んでいく流れです。受け取ったデモの時点で細かい部分までベース・フレーズは入っているのですが、デモを聴いたうえでそこに自分らしいフレーズやプレイを丸山と相談しながら足していく流れですね。ただ、リフひとつにしても丸山自身の強いこだわりが詰まっているので、それは尊重するようにしています。

    ━━リベリオンは2012年リリースのミニ・アルバム『Hydrangea』から毎年のように作品をリリースをしていますね。楽曲を作って録音するまでのタイム感は相当早いのでは?

     2014年まで僕らはインディーズだったんですけど、当時のラウド・シーンのバンドってフルではなく、ミニ・アルバムを出して、ツアーしてっていう、ツアーをメインにした動きのバンドが多かったように思うんです。それもあって、自分たちもミニ・アルバムを毎年コンスタントに発表することに注力しました。当時は全部自分たちでマネージメントもやっていたので、作品を出してツアーすることで自分たちの存在に気づいてもらうしかなかったんです。あと単純に、自分たちの存在を忘れられるのが怖かった、というのもあるかもしれませんね(笑)。

    ━━リベリオンは作品ごとにいろいろな音楽要素を取り入れつつ進化していて、ひと言で “メタルコア”や“スクリーモ”と言い切れないサウンドも魅力です。今作『Zealot City』は制作段階でコンセプトはあったのでしょうか?

     今作はひと言で言えば、“今やりたいことを高濃度で捻出した一枚”になっていると思います。というのも、これまで自分たちがやってきたこと、経験してきたことを踏まえ、もう一度自分たちの一番いいと思うものをやろうという考えのなかで制作した一枚なんですよ。一枚をとおして“統一性”という部分はあまり感じられないかもしれませんが、あくまでも自分たちの今一番やりたいことを全部出しきった作品になっています。

    ━━例えば今作だと「Under the Split Tree」はいい意味でリベリオンらしいラウド・サウンドですね。この曲は同期に合わせた細かい変拍子に加え、展開の移り変わりも激しいです。ここまで細かいリズムに合わせるのはベーシストとして苦労したのでは?

     いやー、もうめっちゃ難しいですよ(笑)。この曲は16分のウラがあったりしてすごく細かい曲なので、もう気合いだけで乗り切りました。僕らの曲は展開の移り変わりが激しいものが多いこともあって、まわりのバンドから“よくあの曲の構成を覚えられるね”ってよく言われるんですよ。弾けることじゃなくて、覚えられることを言われるんです(笑)。

     『Zealot City』:「狂信曲六奏」 Official Teaser

    ▼ 続きは次ページへ ▼