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    【BM web版】歪みベーシストという生き方①━━松本駿介[Cö shu Nie]

    • Interview:Kengo Nakamura

    歪みサウンドはベースが主人公になれる。
    カッコいい音になるからこそ自信を持って弾けるんです。

     2020年11月号の表紙巻頭にて展開しているSPECIAL PROGRAM『歪みベーシストという生き方』。80ぺージを超えるヴォリュームで、さまざまな角度からベースにおける歪みサウンドを徹底検証している同企画のBass Magazine Web版の記事として、本誌に登場した以外の“歪みベーシスト”たちのインタビューを掲載していこう。

     BM web版の先頭を切るのは、多彩な表情を見せる切ない女性ヴォーカルを軸に据えながら、激しく複雑に展開するカオスなロック・サウンドにおいて、まさに縦横無尽に動き回る歪みベースが鮮烈な、Cö shu Nie(コシュニエ)の松本駿介だ。

    3ピースだったら、もっとベースを前に出せる。
    そこでベースに歪みを足してみようっていうアイディアが生まれた。

    ━━Cö shu Nieの楽曲は、歪んだベース・サウンドが大きな特徴になっていますが、松本さんが歪んだベース・サウンドというものを意識したのは、いつ、どんなきっかけでしたか? 

     特にこれっていうのはなかったかもしれないですね。いろんな音楽で歪みベースが主流になっていたから、そもそも歪んだベースっていうのに違和感もなくて。ただ僕自身は、もともとは歪んだ音ってあんまり使っていなかったんですよ。逆に、“ベースは生音が命”みたいな刷り込みがあって、歪みエフェクターを使うのも邪道かなと思っているぐらいだったんです。

    ━━今とは真逆ですね(笑)。歪みを取り入れたきっかけは?

     Cö shu Nieはもともと、今のギター・ヴォーカル、ベース、ドラムっていう編成に、もうひとりギタリストがいた4人で活動していたんです。そのギターが抜けて3ピースになったときに、3ピースだったら、もっとベースをブリブリと前に出せるんじゃないかなっていう意識ができて。そこでベースに歪みを足してみようっていうアイディアが生まれたんです。

    ━━自分の嗜好として歪みサウンドが好きであったわけではなく、アンサンブルに必要だったと。

     そう、考えたうえでそうなったっていうのが正しいかもしれないですね。

    左から、松本、中村未来(vo,g,k)、藤田亮介(d)。
    『LITMUS』
    ソニー/AICL-3940
    11月11日発売

    ━━では、歪みサウンドで参考にした人もいない?

     いろんな音源は聴いたりしましたが、勝手に自分のなかで作り上げたロックのイメージで突き進んじゃった感じがしますね。ただ、いろんな歪みベーシストを研究していくなかで、マノウォーのジョーイ・ディマイオはインパクトがありました。僕自身、特にメタル好きってわけじゃないんですけど、彼のソロというか鳴らし方を観たときの、これはヤバいなっていう感覚はずっと残っています。もちろんプレイもうまいんですけど、一番好きなのは、歪ませて弦を鷲掴みにしながら“キャーンキャーン”と鳴らし最後は弦を引きちぎる、引きちぎったと同時にうしろが爆破する、というパフォーマンス。今でもストレス発散としてその動画を観ます(笑)。

    ━━ヤバいですね(笑)。そもそも松本さんがベースを始めたきっかけは?

     中学生の頃に、兄がギターを始めたんです。それがカッコよかったし、弟の“あるある”なんですけど、兄ちゃんがやってるなら僕もやってみたいなと思って。でも、ギターはコードを押さえるのが難しくて、兄に相談したら“ベースは?”と。試しにギターでベースのフレーズを弾かせてもらったら、単音を弾くのが“ソロ”っぽいなと感じたんですね。ギターよりも押さえるのは難しくないし、“こんなにずっとソロを弾いていていいの? こんなにめっちゃいい楽器があるんだ”と思って、ベースを始めました。

    ━━ということは、ある程度ベース・ラインが動くものを聴いていた?

     最初に教えてもらったのが175RやSHAKALABBITSで、リフが多かったんですよ。ギターはコードをストロークしているのに、ベースは“フレーズ”になっていて、これはギターよりもカッコいいなって。

    ━━松本さんのプレイは歪みサウンドとともに激しく動くラインも特徴ですが、それはベースを始めた頃からの嗜好なんですね。そのあとは?

     ほかの曲を聴いてもベースってルート弾きのものが多いじゃないですか。コピーしやすくていいなと思いつつも、やっぱりもっとフレーズが動くやつを弾きたいなって思っていたら、兄がランシドを教えてくれたんです。そうしたら猛烈にハマっちゃって。ランシドは完全にルーツになっていますね。そこから自分でバンドを組んで作る曲も、ベース・ラインはめちゃくちゃ動いていました。日本のバンドでは、L’Arc〜en〜Cielのtetsuyaさんのプレイは、こんなに流れるようなフレーズがあるんだって影響を受けましたね。

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