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3ピース・バンドにおける実践度をさらに高めた、UNISON SQUARE GARDEN 田淵智也の新シグネイチャー・モデルが登場!
- Interview & Text:Bass Magazine
- Artist Photo:Viola Kam (V'z Twinkle) Equipments Photo:Takashi Hoshino
特集の最後にサゴニューマテリアルギターズ代表である高山賢氏に話を聞いた。数々の有名ベーシストの愛器を手掛ける同社はどのような想い、考え方でTabuchi Mk-Ⅱを製作したのだろうか。
田淵さんはサゴを成長させてくれるかけがえのない存在です。
━━まず最初に、高山さんは田淵さんに対してどのような印象を持っていますか?
第一印象からそうでしたが、ひと言で言うと“イケメン好青年!”。知的で真面目で相手を尊重しつつも自分の意見もはっきり言える、付き合っていてとても気持ちのいい方ですね。そういう方とは相乗効果でさらに良いものが生まれる気がします。いつまでも一緒に音楽を作っていきたいと思っています。田淵さんはサゴを成長させてくれるかけがえのない存在です。
━━田淵さんとは2012年頃に出会ったとのことですが、そこから2014年に発売された前モデルSago Classic Style J4 -Tabuchi Custom-(Mk-1)の製作に至った経緯を教えてください。
当時、田淵さんが音作りに悩んでいたとのことで、そのときにたまたまUNISONのテックさんがウチのベースの音を聴く機会があったそうです。その際に音をすごく気に入っていただきまして、“この工房なら音作りの悩みを解決できそうだ”ということで田淵さんと一緒に工房にお越しになり、オーダーをいただきました。当時、田淵さんが使用していたベースがドンシャリ傾向で、それはそれで非常に気に入られているようでしたが“アンサンブルで存在感をしっかり出せるようにしたい”という要望があり、それを踏まえて田淵さんやテックさんを交えて相談のうえ、材やピックアップをセレクトさせていただきました。ルックスはオーソドックスなJBタイプではありますが、ボディ厚やネック幅、厚を変えた田淵さんの専用設計になっています。
━━そこから6年の時を経て、第2弾“Tabuchi Mk-Ⅱ”の製作に向け、田淵さんからはどのような要望があったのでしょうか?
サウンドは前モデルをもとにミッドをしっかり出したいというご要望をいただき、改めて材やピックアップをセレクトしました。また、今回はカラーリングを明るい色に挑戦してみたいとのご要望もいただきまして、見た目も今までとは違う仕上がりにしようということになりました。
━━今回は新たに指板材にリッチライト、ピックアップにはノードストランド製Big Single4が採用されていますが、これにはどういった狙いがあるのでしょうか?
田淵さんはゲージが.050-.115の太い弦を張っていることもあり、今回はさらに頑丈なネックにしたいという要望がありました。そこでネックの内部にカーボン製のサポート・ロッドを入れ、指板は環境変化に左右されにくいリッチライトを提案しました。以前よりサーモ処理(編註:木材を無酸素の状態にて200度の高熱処理で乾燥させることにより、人工的に経年変化を与える加工技術)をはじめ、さまざまな人工素材を試してきましたなかで、リッチライトは音、見た目、製作面や供給面からも優れていると思います。前モデルがエボニーだったこともリッチライトを提案した理由のひとつです。今回重きを置いたミッド部に関しては、ひと言“ミッド”と言っても、人によっていろいろな考え方があると思います。ですが、田淵さんとは長くお付き合いさせていただいていることもあり、今、田淵さんの求めているミッドはロー・ミッドで、なおかつプレイ・スタイル的にドライブ感も必要だと判断し、Big Single4を提案させていただきました。
━━コントロールは1ヴォリューム、1トーンというシンプルな仕様になっていますが、これにはどういった意図があるのでしょうか?
田淵さんはフロント/リアを全鳴らしか0かのセッティングが多いため、今回は思い切ってこのコントロールを採用しました。プレートはJBノブでも違和感のない間隔になるよう、オリジナルで製作しました。ポットもひとつ少なくなったことで音痩せ対策にもなると思います。
━━ボディ・カラー“Transparent Akane”、ヘッドのBlack&Naturalの2トーン・カラーなど、カラーリングも特徴的です。塗装に関してはどういった工夫がありますか?
今回のような、シースルーでソリッド・カラーのイメージに仕上げるのは、もともとの木材の色もあるため比較的難しいのですが、弊社は常に1点もののオーダーメイドの製作をさせていただいているおかげもあり、とても良いシースルーの茜色で仕上げることができたと思います! またヘッドの2トーン・カラーは、見た目のイメージ・チェンジも今回のご要望のひとつでしたので“Sago風はいかがですか?”という感じで提案させていただきました。弊社のレギュラー・モデルは基本的に全モデルがマッチング・ヘッドで、フチの一部を削り落として、その部分だけナチュラル(木材の色)を残す塗装をしています。そこからいろいろと派生していき、現在の2トーン・カラーとなりました。
━━サゴは設立当初より、1点もののフル・オーダーの製作をメインとしています。ここにはどのような考えがあるのでしょうか?
もともと“新しい音楽から新しい感動が生まれるための新しい楽器を作りたい”という気持ちからサゴを立ち上げました。素材やアイディアを取り揃えたうえで、自己表現の方法やバンド・サウンドでの在り方など、おひとりおひとりのご要望に対して柔軟にお応えできるように心がけフル・オーダーをメインに製作しています。プロ、アマ問わず音楽の表現方法はさまざまですが、そこに寄り添うことで新しいサウンドや表現方法が生まれると思います。これからも新たなことに挑戦しつつ、日々精進してさまざまなご要望にお応えできる工房であり続けたいと思います。
━━最後に製作側として、このベースをどういったベーシストに弾いてもらいたいと思いますか?
田淵智也監修、ライヴでもレコーディングでも使えるモダンなJBタイプとしてかなり高い完成度だと自負しております。これ一本で充分勝負できると思いますので老若男女問わず、荒ぶるロック魂の持ち主はぜひ手にしてほしいです!
Sago New Material Guitars Tabuchi Mk-Ⅱ【UNISON SQUARE GARDEN 田淵智也モデル】
Specifications
●ボディ:アルダー
●ネック:ハード・メイプル
●指板:リッチライト
●スケール:34インチ
●フレット数:21
●ピックアップ:ノードストランドBig Single 4×2
●コントロール:ヴォリューム、トーン
●ペグ:ゴトーGB528
●ブリッジ:スパイラル・タイプ
●カラー:Transparent Akane
価格:¥396,000(税抜)
お問い合わせ:サゴニューマテリアルギターズ TEL:06-6439-6377 http://sago-nmg.com/