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    【祝!レッチリ新作リリース】GuruConnect(skillkills)× 井澤惇(LITE)が語るフリー愛と『Unlimited Love』

    • Interview:Shutaro Tsujimoto
    • Photo:Kohe

    ――アルバムからの最初のシングルは2月にリリースされた「Black Summer」でしたが、この曲にはどんな印象を持ちましたか?

    GuruConnect:びっくりしましたよ(笑)。めっちゃレッチリ。

    井澤:“だろうな”ってなっちゃったな俺は。「Scar Tissue」(『Californication』収録)とか「Under The Bridge」(『Blood Sugar Sex Magik』収録)とかと同じ感覚で聴けて、“レッチリだわ”みたいな。最初は地味だと思ったけど、でもアルバム全体で聴くとやっぱりこの曲印象に残るよね。

    GuruConnect:このベース、俺はいいなって思った。

    井澤:“歌ってる系”のベースというかね。

    GuruConnect:ギター・ソロの裏とかすごくない? ギターのコード・バッキングなくても成り立つんやもんね。普通ギターでコード入れたくなるでしょ。

    井澤:ベースが全部コード進行を作ってるよね。そこを埋め尽くさないようにやるのもレッチリのお家芸感あるな。スカスカの美学みたいな。

    GuruConnect:シブいなぁ。やっぱコード弾かないってカッコいいよね。アルバム全体としても、音をあんまり足してないしな。コーラスだけはめっちゃ積んでるけど。

    ――今回、ベースの奏法的にインパクトがあった曲とかってありますか?

    井澤:2曲目の「Here Ever After」はびっくりしました。ちょっと前のパンク・バンドがやる感じというか、ピックでこんなガシャガシャ弾くのってあんまりないし。“フリーらしさ”のイメージからすると、かなり意表をつかれましたよね。しかも「Parallel Universe」(『Californication』収録)とかだと、フレーズが速いから“これを一定の速さでやってるのすげー!”みたいなインパクトがあったんですけど、この曲はそうでもないみたいな(笑)。超普通なんだけど、ギターがコードを重ねてないから、このフレーズがすごく前に出てきてるんですよね。こういうのってあんまり聴かないし、しかも“ボコボコ”鳴っててラインみたいな音してるのもおもしろい。

    ――音の話で言うと、今回のアルバムは全篇アナログ・レコーディングで、マスタリングもテープから直接行なったそうですね。“パソコン類は使ってない”ってフリーがツイートしてました(笑)。

    GuruConnect:だからこそ、昔の音源っぽく聴こえるのね。納得です。

    井澤:それを思うとやっぱりチャドってマジですごいね(笑)。こういう風に音が前に出る感じとかは普通アナログでは録れない。いいマイクで録ったからとか、そういう問題じゃないよね。

    GuruConnect:チャドはすごいのよ。全然シンバル叩かないしさ。カッコいいよね。

    井澤:昔からそうだよね。あと格好もずっと一緒よね。半袖のつなぎしか着ないみたいな(笑)。

    GuruConnect:あと帽子ね(笑)。この曲は終わり方も最高やな……。

    井澤:3曲目の「Aquatic Mouth Dance」も“勉強したな”っていうフレーズだなぁ。でもこういう流れるようなフレーズ自体は前から作ってたけどね。『One Hot Minute』とかにありそう。

    GuruConnect:レッチリだなぁ〜。ちゃんと今までやってきたことを落とし込んできたアルバムってことで、やっぱり今回はいいアルバムなんじゃない?

    井澤:フリーの比重がとにかく大きいよね。前作とか前々作は、ベースはシンプルで無駄なことをしない感じもあったから。

    GuruConnect:ベースの練習をするのにいいアルバム。全曲練習になるんじゃない?

    ――そういえば、スラップは今回ほとんどプレイしていないですね。「It’s Only Natural」ではやっていますが、けっこう控えめなプレイという感じで。

    GuruConnect:この曲良かったですね〜。

    井澤:なんか、スグル(GuruConnect)くんっぽいよね。プルの出し方とかが。

    GuruConnect:うん、こういう主張しない感じのスラップ好きだから。親指で弾かない系のスラップは好きやね。

    井澤:出るとこしか出ないみたいな。あと俺、終盤で1曲好きな曲があったんだよな。

    GuruConnect:「Veronica」じゃない?

    井澤:そうだ。これ好きなんだよな。けっこうレッチリって3連の曲が多いよね。だから安心した気がする。

    GuruConnect:これ、弾いてて楽しいだろうな。

    井澤:あと、フリーのベース・フレーズって8分とか16分のウラにめっちゃ変な音使うよね。折っていく感じというか。最初の音はルートだとしても2音目をトリッキーなところに置きにいくというか。この曲もそうだし、「Poster Child」もそうだと思うし、ベース・フレーズがルートから2音目で違うところに振り切って、また戻ってくるみたいなのは“フリー節”だなって感じがすごくする。今回それを多用してるよね。

    ――さて、最後にこのアルバムを総括してもらいたいと思います。今日改めて聴いてみて、印象が変わったポイントなどはありますか?

    井澤:“なんか地味”っていうのも今回のアルバムの印象なんですけど、もう一個思ったのは、ジョシュがいたときってもう少し音が都会的だったなと。今回は地元に帰ってきた感じだよね。

    ――アルバム・ジャケットからも“カリフォルニア感”が出ていますよね。

    井澤:『Californication』のときも同じ感覚があったんですよ。『One Hot Minute』があったうえで、あれを聴いたときに“イーグルスかよ”って思った感覚というか。土臭いけどスッキリしていて、急に音数が少なくなった感じで。でも今回はあの頃よりもちょっとバンドが成熟しているから、“インパクト”というよりは落ち着いて聴けるものになってるんですけど。そういう意味では、あの頃とリンクする感じはしてきたな。あとはバンドが『Californication』でジョンが戻ってきたときの“忘れられない興奮”みたいなものを覚えたんだろうなって。そのときの衝動に立ち返ろうとしている感じはすごく伝わってきますよね。俺らは『Californication』という前提があるうえで今作を聴いているけれど、当時を知らない若い人とかからするとまた違うというか、今作でもそういう衝撃が味わえるのかもな、とかは思いましたね。

    ――GuruConnectさんはいかがですか?

    GuruConnect:いいアルバムなんじゃないですか? なかなかアルバムを通して聴くって感じの時代じゃなくなっているので、こういうヴォリューミーなアルバムを作るっていうことも余裕があるバンドじゃないとできないと思いますしね。どんだけ上から言うんやって感じだけど(笑)。

    井澤:俺もそうよ。今日ずっと心苦しく喋ってたよ(笑)。

    GuruConnect:俺はやっぱり中学生のときにレッチリに出会って、人生狂わされたようなもんなんで。今だに彼らがこうやって第一線でやれてるってのは、すげえなって本当に思いますね。完全に影響受けているので。リスペクトを込めて、わざとゴリゴリにわかるように引用したりしてますからね(笑)。

     『Unlimited Love』
    ワーナー
    WPCR-18503

    ◎Profile
    すぐるすきる a.k.a.ぐるこねくと●山口県防府市出身。2011年頃にビートさとし(d)、マナブスギル(mc)とともに、アヴァン・ヒップホップ・バンドskillkillsを結成。同年に1st作『skillkills』をドロップ。大きく揺れるプログレッシブなリズム・ワークがシーンで話題となる。最新曲は2021年に配信リリースした「DEBONAIRE」。またバンドにおいてプロデューサー/トラックメイカーも担うGuruConnectは、作曲家/アレンジャーとしても活躍。2022年3月にリリースされたASIAN KUNG-FU GENERATIONの『プラネットフォークス』をはじめ、ACO、Daoko、TENDOUJI、鎮座Dopeness、日暮愛葉などの作品に参加している。

    skillkills
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    スグルスキル a.k.a.GuruConnect
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    ◎Profile
    いざわ・じゅん●1984年3月23日生まれ、東京都出身。2003年に4人組インスト・ロック・バンド、LITEを結成。シャープな演奏によるプログレッシブかつエモーショナルな楽曲が国内にとどまらず話題を呼び、アメリカやヨーロッパ、アジアでもリリースやツアーを行なう。2019年6月に6thアルバム『Multiple』を発表。2021年には映画『騙し絵の牙』の劇伴も手がけた。井澤はLITE以外にも、さまざまなセッションやサポート・ワークのほか、日向秀和とのツイン・ベース編成となるインスト・バンド=FULLARMOR、ピエール中野らと結成した激情形爆音ジャム・バンド=カオティック・スピードキングでも活動している。

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