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    Interview – Ken Mackay[w.o.d.]

    • Interview:Kengo Nakamura
    • Photo:Ayumu Kosugi

    初期にはスラップの曲があったりもしたし、
    ファンクはけっこう影響を受けていますね。

    ━━ベース・スタイルとしては1stアルバムで指弾きからピック弾きに変わったということですが、今はもう完全にピック弾きだけなんですか?

     w.o.d.で指弾きしてるのは、3枚目に入っている「relay」のコード弾きの部分くらいですね。「relay」のサビはピックなので、ライヴだと指弾きのときにはピックを口にくわえたりして忙しい感じなんですけど。今となっては、逆に指がちょっと苦手というか(笑)。いいタイミングで指を使いたいとは思っているんですけどね。

    ━━前作の「煙たい部屋」はタイム感も含めてレッチリ的な雰囲気もあって、指弾きも合いそうでしたが。

     そうなんですよね。今となっては指でやってもよかったかなとは思っているんですけど、アレもピックです。当時の自分は自信がなかったのか、ピックしかダメだって感じで。

    ━━Kenさんは中学時代にサイトウさんとコピー・バンドを組むためにベースを始めたそうですが、そもそもベースを始めたときに指弾きを選択したのはなぜだったんですか?

     YouTube世代なので、YouTubeで“ベース”とか“ベーシスト”って調べたんですけど、それで一番最初に出てきたのがフリーだったんです。その動画を観て、“指弾き、スラップしかない”っていう状況になりましたね。あとは当時、2010年くらいってYouTuberでベース・カバーの動画を出している人がけっこう多くて。その頃有名だったのが、David SinRocksで、彼の動画を参考にしながら練習をしていたんです。だから彼の影響もデカいと思う。彼がコピーしていたのが、レッチリだったりインキュバス、グラハム・セントラル・ステーションとか、ファンクやファンク・ロックが多かったんですよ。

    ━━では、ベーシストとしてはファンクの要素が基礎にあるんですね。

     そうですね。彼の動画が出たら、まずそれをコピーするっていう練習方法で独学でずっとやっていました。だからw.o.d.の初期にはスラップの曲があったりもしたし、ファンクはけっこう影響を受けていますね。

    ━━現在はピック弾きがメインになったとはいえ、そこに指弾きの時代の要素をうまくミックスしよう、それこそスラップの曲をもう一回やろうという段階では、今はまだないということでしょうか?

     あ~、どうですかねぇ……今回、4枚目を作って、けっこうこれまでできなかった感じの曲というか、w.o.d.のなかではできなかった曲もできてきたんですよ。「オレンジ」だったりとか。そういう自由さは増したので、これからはスラップを入れる場面があってもいいのかなっていうのは個人的には思っていますね。

    ━━「オレンジ」は全体的にメロディアスな楽曲で、ベース・ラインもコードのつなぎ方などがメロディアスでポップな印象がありますね?

     この曲はサイトウさんがガチガチにデモを作ってきて、ベース・ラインもそうでした。彼はBUMP OF CHICKENが好きで、この曲はそういう部分が出ていると思うんですけど、ベース・ラインにもあまり俺にはない要素が入っていたので、ちょっと戸惑った部分はありましたね。“ホンマにw.o.d.でこのベース・ラインが合うのかな?”って。俺としては、もうちょっとシンプルにしたほうがいんじゃないかと思って、実際にシンプルにしてみたりもしたんですけど、まぁ、やってみようかって感じで、サイトウさんが考えてきてくれたベース・ラインをそのまんまやってみたんです。でも、結果、よかったなと。幅が広がったなと思うし、これからこういうベース・ラインをやっても恥ずかしくないかな。

    「オレンジ」(OFFICIAL MUSIC VIDEO)

    ━━「馬鹿と虎馬」の最後のセクションにはオブリで目立つ動きのあるフレーズがありますが、こういったものもw.o.d.としては新鮮ですよね?

     そうですね。“自由に弾いていいよ”って感じだったので、この曲が今作で一番遊べた曲ですね。自分的にはインキュバスの昔の感じだったり、自分が影響を受けた、昔の自分が弾いていたであろうリフみたいなものを入れてみたんですけど、けっこうハマったのでよかったなと。w.o.d.でやるなら、できるだけ削ぎ落としてシンプルなものがカッコいいと思いますけど、弾いている側としてはやっぱり楽しいというか(笑)。ベーシストとしてはああいうのも弾きたいし、弾けてよかったなと。

    ━━「白昼夢」Aメロは“ダダッ、ダダッ”という8分のリズムの直前の16分ウラにゴーストノートを入れていますね。それが楽曲の推進力にもなっています。こういうのは先ほど話に出たファンクの要素を感じる部分ですね。

     ノリをのっぺりさせたくはないし、あのゴーストを入れたほうが気持ちよくなるなっていうことで入れたんです。ただ、ピックでやるとなったら、けっこう難しかったですね。昔の感覚で指弾きだったら問題なくいけていたと思うんですけど。

    ━━確かに、指弾きだとタッチ・ミュートでいけたりしますもんね。

     そうそう。ピック弾きだとなかなか難しくて。けっこう練習した気がしますね(笑)。

    ━━リズムの感覚としては、8ビートでも16ノリを感じているんでしょうか?

     直感で弾いているので、そういうのはあんまり考えないんですよね。クリックがあるわけでもないので、自分が気持ち良かったりバンドが気持ち良くなればいいっていうスタンスでやっていて。もちろん、いろいろ試したうえでやりはしますけど、あんまりそういうのは意識していないですかね。

    ━━「失神」は、イントロが7/4拍子だったりとリズム展開がトリッキーですよね。イントロは4分単位ですが、歌に入ると急に16分基準に変わりますし、それこそ、どういう風にリズムを感じているのかなと思ったんです。

     アレこそ本当に直感ですよ(笑)。何分の何拍子とかも自分はわからないんで、デモ音源を聴いて、感覚で覚えてやるっていう感じで。それは、昔ベースのコピーを耳コピばっかりでしていたので、それが役に立っているのかなって思います。

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