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    INTERVIEW − 圭吾[Novelbright]

    • Interview:Kengo Nakamura

    ド派手フレーズに“奥深さ”を加え、
    さらなる飛躍を遂げた新世代ベース

    2020年8月にメジャー・デビューして以来、ポピュラリティを持ったメロディ・ラインと実力派ハイ・トーン・ヴォーカル、そして隙なく練りこまれたアレンジによるバンド・サウンドを武器に躍進を続け、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの5人組バンド、Novelbright。彼らが前作から約1年というスパンでメジャー2ndフル・アルバム『Assort』を完成させた。本バンドに加入するためにドラマーからベーシストへと転向した圭吾は、ベース歴約3年半という自身の現在を“まだまだ吸収段階”と謙遜するが、アンサンブルにおいて大きな存在感を示し、バンドファーストでありながらも主張の強いベース・アプローチの数々は、バンド・キッズにも十二分にアピールするものだ。新世代ベース・ヒーローへの階段を着実に登っている彼に、充実の2ndアルバムについて聞いた。

    何かしら変化を加えて奥深さみたいなものを感じさせる。
    それが2ndアルバムなのかなって。

    ━━前作『開幕宣言』のリリースが約1年前でした。リリース以降の活動を振り返ると?

     ちゃんとツアーもやって、大阪城ホールとかの大きな会場でもライヴがやれたので、コロナ禍の状況ではあったんですけど、僕らはわりとそれを蹴散らそうとしていたというか、なんとかやろうとしていた感じでしたね。

    ━━前作のインタビューの時点では、“まだ自分のプレイに100%納得できるライヴはできていない”と言っていましたよね?

     あれから、満足度はめちゃくちゃ上がってきています。もちろん反省点はちょくちょくあるんですけど、シンプルに自分のプレイのスキルが向上していて、その余裕からステージングも良くなってきたなって。ライヴは毎回映像を撮っていてライヴが終わったら見返すようにしているんですけど、確実に成長できているなって感じています。

    ━━また前作リリース後、デジタルも含めてシングルを2ヵ月程度の短いスパンで続々と出していましたね。既発のシングルの時点では、“アルバム”というのは意識していないんですか?

     そうですね。ありがたいことにタイアップのお話をいただいて制作した曲も多いし、基本的にはアルバムを前提とした曲作りはしていなくて。アルバムの制作が決まったときに、そういったタイアップ曲がリードになって、そこからどうやってアルバムを構築していくかという流れなんです。そういう意味では、この1年を振り返るとけっこう慌ただしかったんですけど、常に1曲1曲に向き合ってできたものを出すっていう、わりとフレッシュな気持ちでやってこれたかなと思います。

    『Assort』
    ユニバーサル シグマ
    UMCK-1712(通常盤/CDのみ)
    UMCK-7165(初回限定盤/CD+DVD)

    ━━新作『Assort』の制作にあたって、ベーシストとして課題にしていたことはありますか?

     音作りの面が大きいですかね。それこそ、前作は全曲を同じベースで弾いていたんですけど、今回はいくつかのベースを使い分けました。僕のメイン・ベースはサドウスキーのJBタイプですけど、PBタイプのベースを使ってみたりもして。そうやって、何かしら変化を加えて奥深さみたいなものを感じさせるのが2ndアルバムなのかなっていうのは、メンバーみんなの頭のなかにあったと思います。

    ━━PBタイプを使った曲は?

     「Too Late」ですね。

    ━━「Too Late」は英語詞というのもありますが、アレンジ自体も現代の海外ポップスみたいなサウンドになっていますね。

     そうですね。ただ僕は海外ポップスをまったく知らなくて。メンバーが好きでそういう感じにしてみようってなったときに、予習をしちゃうとただのマネになってしまいそうだったから、あえて一切聴かずにこの音を作ったんです。ちょっとガリッとしていて退廃的というか、いつもの感じとは違うベースにしてみようと思って。本当に感覚でやったので正解かどうかはわからないんですけど、自分的にはめっちゃ気に入っています。

    ━━音色の話で言うと「愛とか恋とか」はシンベですか?

     そう、生ベースは入っていないですね。これは僕が鍵盤を弾いたんです。

    ━━完全にボトム役のベース・アプローチで、圭吾さんのスタイルとは全然違いますよね?

     はい。一切主張しない(笑)。この曲はもともとバンド・サウンドだったんです。でも、“引き算したいな”と思って、ドラムもちょっとうるさいなと(笑)。それで、ベースもドラムもカットしていった状態が、この感じですね。それこそアルバムのなかでもメンバー間で一番吟味して作った曲で、自分たちが届けたいものにプラスして、近年のサブスク・ヒットの曲調も考慮したうえで進めていきました。僕らはバンド・サウンドにすごくロマンを感じているので、そこはこれからも絶対になくさないんですけど、一度、そういった“今”のサウンドをやってみて、どのくらい世間に聴かれるのかっていうのを試してみたい気持ちもあって。バンドの新しい可能性になったらいいなっていうところでしたね。

    ━━ここ数年、バンド形態のアンサンブルにおいてもシンベが流行っていますよね。

     そういう感じ、ありますよね。とはいえ、僕自身はシンベってあんまり視野にはなかったんですけど、曲を作っていくうちに求められる感じがあったので、じゃあやってみようかなと。それに、いろいろできたほうがカッコいいじゃないですか。まぁ、ちゃんとできればですけど(笑)。だから新しい挑戦という意味では、僕がドラムからベースに転向したみたいな流れで、また新しい楽器を始めて、それが上達して人前で演奏できるのってすごいことだと思うので、それを叶えたいなと思って、ライヴでも鍵盤を弾く予定です。

    Keigo’s Bass

     以前から、日本製サドウスキー・メトロラインMV4を使用していた圭吾。本器は最近入手したというNYC製Vintage 4で、チェンバード・ボディの軽量さが特に気に入っているという。現在は、本器をライヴのメイン器としており、日本製メトロラインはバラード曲で使用している。4弦のペグにはヒップショットのDチューナーが装備されているが、これは圭吾が入手した時点ですでに付けられていたもので、圭吾自身はあまり活用しない。NYC製ということで、ヘッド裏にはロジャー・サドウスキーのサインが入れられている。
     なお、『Assort』のレコーディングでは、日本製サドウスキー・メトロラインMV4をメインに、「Too Late」でサドウスキーのPBタイプを、「Kii-Kii Cat」「The Warrior」で写真のものとは別のNYC製JBタイプを“キラッとしたところが出る”という理由で使用した。

    「愛とか恋とか」(Official Music Video)
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