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    INTERVIEW – 三島想平 [cinema staff]

    • Interview:Koji Kano

    どう守るかではなくて、どうやって新しい層にアプローチできるか。

    ――こういったサウンド感も含め、今作は新たな三島さんのベース・プレイを楽しめる一枚でもあると思います。この作品で新しいベーシスト像、そしてバンド像は何か見えましたか?

     ベーシスト像はもちろんなんですけど、バンド像の部分でようやく何が僕たちの感じなのかというのが見えてきたと思っています。具体的にそれを表現するのは難しいんですけど、コロナでライヴから離れたことで自分たちのことを客観視できたのは大きいかなと。コロナになったからというのは言い方としておかしいんですけど、それで改めて自分たちらしさに気づけた部分があるんです。

    ――なるほど。

     これまで僕らは“何がやりたいのかわからない”と言われてきて。オルナタなのかポップなのかギター・ロックなのか、みたいな(笑)。20代の頃は“何になりたいか”というリファレンスのなかで狙って曲を作ってた部分もあったんですけど、今はもうまわりからも何も言われなくなったので、無理せず自然に今の自分たちを表現できているんです。結果的にも今作はすごく良い評価をいただいているので、今のcinema staffの感じがいいんだなというのを実感しています。

    ――cinema staffとはこういうバンドだということを体現できたと。

     はい。だから自分で言うのもアレですけど、“cinema staffの中心は俺なんだ”と改めて思えました。これまではわりとみんな各々に独自のプレイをしていたんですけど、三島の曲を全力で再現することが一番いいんだということをみんな思ってくれていると思います。

    ――その背景にあるものとは?

     今作はほぼ僕のデモどおりにみんなプレイしてくれてるんです。それは僕の積んできたものを信じて、託してもらっているからだと思っていて。だからメンバーを一番カッコよくできるのは俺だという自信があるし、俺に付いてきたら一番いい形になると自信を持って言える。でも僕らは決してワンマン・バンドではなくて、絶妙のいいバランスで成り立っているので、現時点でバンド全体としてかなりいい状態にあると思います。

    今作の録音で三島が使用したベース群。左からWood Custom Guitars製PBタイプ、フェンダー製Made in Japan Hybrid II Jazz Bass、フェンダーカスタムショップ製プレシジョン・ベース。2本のPBについて三島は“Woodのほうがモダンでローがはっきり発音される感じで、フェンダーのほうはオールドライクでカラッとしてる印象です”と語る。
    「I melted into the Void」「雨の日のヒストリア」の歪みの音作りに使用したペダル。左からEmpress Effects/HEAVY(ディストーション)、Tech21/サンズアンプ・ベース・ドライバーDI V2(プリアンプ )。

    ――最後に今後の目標、展望を教えてください。

     大きいところで言うと武道館しかないですね。武道館をやるためにどうすればいいかを今みんなで考えています。たとえばいくら評判が良くてもセールスにならなければ意味がないので、ちゃんとセールスになることを考えなきゃいけない。そこに踏み込んでいくことを僕らはダサいと思っていないので、今の音楽のままどうしたらビジネスになるかというのを検討しているんです。中高生のような若い世代にもちゃんと伝えていかないといけないし、そこに恐れずにアプローチしていく方法を模索しています。でもずっと応援してくれている人たちにはカッコいいと思われ続けないといけないし、僕らぐらいのキャリアになると、どう守るかではなくて、どうやって新しい層にアプローチできるかが重要になってくると思います。cinama staffはちゃんとビジネスもしたい、ということだけ最後に伝えておきます(笑)。 

    ◎Profile
    みしま・そうへい●1987年生まれ、岐阜県出身。小学生からクラシック・ギターに触れ、高校入学後の2003年、cinema staffの前身バンドに加入すると同時にベースを始める。cinema staffはオルタナティブ・ロックやポスト・ロックをポップに昇華させたサウンドで人気を集め、2012年にメジャー・デビューを果たす。現在までに6枚のフル・アルバムなどを発表している。三島はバンドの作詞・作曲を中心に手がけるほか、他アーティストへの楽曲提供やBGM制作も行なっている。cinema staffは2021年11月3日に7thフル・アルバム『海底より愛を込めて』をリリース。現在リリース・ツアー“海底より愛を込めて―はじまりの場所”を開催中だ。

    ◎Information
    cinema staff:Officia HP Twitter YouTube
    三島想平:Official HP Twitter