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    INTERVIEW – AKi

    • Interview:Fuyu-Shogun
    • Photo:hy

    自由さのなかで開眼した
    “表現者=AKi”としての新機軸

    シドのベーシスト、明希がソロ・アーティストAKiとして、約4年ぶり3枚目のフル・アルバム『Free to Fly』を6月5日にリリースした。AKiの根底にあるハードロック・イズムを軸に、煌びやかなエレクトロ・サウンドや艶やかなポップスをミックス。そして無国籍な雰囲気をも纏ったオリジナリティ溢れる楽曲群が揃い踏みだ。ベーシストとしては言わずもがな、アーティストとしての自信に満ち溢れた作風になっている。各楽曲の解説に関しては、7月19日発売のベース・マガジン2024年8月号【SUMMER】に譲るとして、ここではソロとシドでの制作における意識的な違いや、こだわり抜いたサウンド構築とその機材まわりについて、大いに語ってもらった。

    いわゆる“ベーシストのアルバム”というものを作りたいわけではないので。

    ━━AKi名義でのソロ作品は、どういったタイミングで制作しているのですか?

     基本的にシドが動いてないときにワーッと作りますね。そのなかでいいものができたら、“コレ、リリースしたいな”と具体的に動いていきます。今回は「OVERRUN」(2022年6月リリース)、「Salvation」(2024年1月デジタル・リリース)と、シングルが2曲貯まったので、そろそろアルバムを作ろうか、ミニ・アルバムにしようか、なんて考えながら、またシドをやりながら合間に曲を作っていって……。ようは休めるときというか、シドの活動がないときに作っていく流れですね

    ━━本作は表題曲「Free to Fly」のミュージック・ビデオのポールダンスも印象的でした。ああいうヴィジュアル的な攻め方のほか、サウンドにも表れている無国籍感であったり、初参加となるドラマーの影丸(-真天地開闢集団-ジグザグ)さんの派手でアグレッシブなプレイもあって、ダンサブルな楽曲の印象も強いです。そうしたなか、ちょっと言い方がよくないかもしれないですが、もっとベースを弾きまくってもよかったのかなって印象も受けたんですよ。

     あぁ、なるほどね。ただ僕自身が理想とするベーシスト像がアンサンブルのなかにあるというか、“スリー、ツー、ワン!”で弾きまくるのもいいんですけどね。そうやって技術的なところで魅せていくのも素敵ですけど、やっぱり僕はアンサンブルのなかのベースというものに色気があるとでもいうか、そこに一番魅力を感じるんですよ。だから自然に作っていくと、こういうベースのスタイルの作品になるんです。

    「Free to Fly」Music Video
    『Free to Fly』
    MAVERICK/DCCA-131〜3

    ━━あくまでもアンサンブルのなかのベーシスト像に美学を感じていると。

     そこは個人的なこだわりのひとつでもあったりするんですけどね。でもおっしゃることはめっちゃわかります。今回自分たちでミックスをやったんですけど、バンド友達にこれを聴かせると、ミックス具合にびっくりされるんですよ。“ベース、もっとデカいと思った”って。前作はベースがけっこうデカめだったんですけど、今回は自分の耳や感覚が、よりアンサンブルや曲自体に行ったからこうなったのかなって思います。

    ━━ソロ作品とはいえ、“バンドのなかのベーシストでありたい”という気持ちの表れでもあるわけですね。

     ただ、ソロとシドでの違いはそんなになくて。僕のなかでソロというのは、曲はもちろん、歌詞を書くことだったり、歌を歌うことだったり、MVやヴィジュアルもそうですけど、端的に自分がやりたいことを表現するものなんです。そのなかで、あくまで自分の担当しているものがベースであり、ヴォーカルであり、っていうところなのかもしれないです。だからベーシストという観点で言うのなら、シドのほうがもっと深いことをやっていると思うんですよ。ソロはもっとミュージシャンとしての自分というか。

    ━━ではソロ作品における、いちベーシストとしての向き合い方とは?

     ベースを主軸にソロの世界観を作っていくイメージですね。いわゆる“ベーシストのアルバム”というものを作りたいわけではないので。それを作ることが良い悪いじゃなく、僕のやりたいことっていうのはそこではないんですよね。

    ━━それらを含め、シドでマオさんが歌う楽曲とソロ作品で自分が歌う曲における、ベース・ラインやフレーズの作り方の違い、そして意識的な切り替えみたいなところはありますか?

     ソロのベースだったら、全体の塊で聴かせたいんですよ。ギターとドラムとヴォーカルと、要は全部の縦が揃っているような。でもシドの場合はもっとベース以外のところにフォーカスさせたいというか。マオが歌って、Shinjiがギターを弾いて、ゆうやがドラムを叩く……そのなかのいちベーシストですからね。極端な言い方ですけど、ソロはアコギを弾いてるようなイメージでベースを弾いているんです。もはや弾き語りとでもいうか。イメージとしては、いちベーシストと表現者における違いですかね。意識的に、という言い方が正しいのかわからないですけど、“「シド」モード”と“「ソロ」モード”という、自分のなかでの違いはあるかもしれないです。

    ━━楽曲制作というコンポーザー面と、プレイヤーとしてのベーシスト面での、頭の使い方の違いみたいなところはどうでしょう?

     そういった意味ではそれらも変わらないです。コンポーザー/作曲者であっても、あくまでベーシスト然として考えていて。ソロもシドもそんなに変わらないっていうのはそこなんです。曲作りに関しては、メロディを含めた全体図のほうへ耳も意識も行くんですよね。そのなかで自分を表現する一番のものがベースであるという。もちろん、ベーシストっていう自覚を持ってやってはいるんですけど、ピンのベーシストで、と考えるとやっぱり技術的にたくさん弾いて、という作品になっていくだろうし。だから自分からはあんまり言いたくないですけど、ベーシストでありながら、それ以前にアーティストであるというか、“表現者”という感じなのかなって気がしますね。

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