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BADASS ROOKIE〜BMイチ押しのNEWCOMER〜 – 汐碇真也［MOSHIMO］
- Interview：Koji Kano
- Live Photo：Yuki Kimura
ポチの感情に寄り添うようなベース・プレイをしたい
――「飛んで火に入る夏の虫」はアタマからの歪んだベース・ソロが強烈ですね。サウンド作りはどのように？
ここはVivieのRhinotesを使いました。ほかのエフェクターも数台使ってみたんですけど、このドライブの質感を出せるのはRhinotesだけでしたね。だからコピーしたい方はこのエフェクターを使ってもらえばかなり似たサウンドが出せると思いますよ（笑）。
――2Aでは本作唯一のスラップもありますね。音数を絞ったスラップ・フレーズでインパクトがあります。
MOSHIMOはペンタトニック・スケールを使っている楽曲が多いんですけど、ここのフレーズもB♭マイナー・ペンタトニック・スケールを元に構成しているんです。あえて音数を絞ることで一音一音のインパクトが残ればと思ってたどり着いたフレーズなんですよ。
――この曲は全体をとおしていい意味で前ノリのベース・プレイになっていて、ベースが全体を牽引している感じがします。随所で入るフィルも効果的ですね。
実はこの曲は僕がデモで作ったベース・ラインをフィーチャーしたインスト曲が元ネタで、その曲をいっちーが気に入ってくれたみたいで採用してもらったんです（笑）。なので最初から“ベースのための楽曲”という感じで作っているので必然的にベースが全体を引っ張るような楽曲になっていますね。今までのMOSHIMOにはない楽曲なのでライヴで披露するのがとても楽しみです。
――「神様ちょっと」はベース・サウンドの方向性がほかの曲と違っていますが、この曲ではPBタイプを使われたのでしょうか？
そうなんです。というのもこの曲は前身バンドであるCHEESE CAKEの初期曲なのでサウンド面やフレーズもオリジナルから大きく変えないように気をつけつつレコーディングしたんです。PBを使った理由は一歩前に音が出てハッキリした存在感を出せるから。JBは良い意味で音が優等生なので、悪ぶりたいなと思った楽曲ではPBを使っている比率が高いですね（笑）。ちなみに今作ではこの曲に加えて「倦怠期」「3年前に別れた彼はどっかの誰かと結婚したらしい。何とも言えない何とも言えない何とも言えない敗北感の歌」「調子どう？」の4曲をPB、そのほかはJBで録音しています。
――サビ後の間奏部分、グリスを使ったフィルがカッコいいですね。ここは特にベースが強調されたプレイに感じました。
ここはブリッジ部分なので、2Aに向けてかなり大きく場面転換を狙ったこともあってオクターヴ・ファズとベース・シンセを使ってアグレッシヴに攻めたんです。“亀田誠治さんっぽい”と言われたこともありますが、亀田誠治さんは尊敬しているベーシストなので、歪みやフレーズの部分ではかなり意識しています。
――本作の多くの楽曲でCメロ〜ラストに向けてベースを動かしつつ、楽曲の盛り上がりを演出するプレイが目立ちます。そういったことを計算しつつベース・ラインを構成しているのでしょうか？
自分はMOSHIMOの楽曲を壮大な物語のように感じていて、それを歌っているポチの感情に寄り添うようなベース・プレイをしようと心がけているんです。だから特別計算しているわけではないんですけど、必然とベース・ラインも物語のように最後に向かって盛り上がっていくようにプレイしています。
――『化かし愛』の録音で使用したメイン・ベースは？
メインはSadowsky TYO Teppei ModelのJBタイプです。師匠である川崎哲平さんのシグネイチャー・モデルなのですが、とても弾きやすくてどこに持っていっても安定した音が出るのでとても信頼できる一本ですね。PBタイプはLAKLAND USA 44-64を使いました。メイプル指板で音の立ち上がりも良く元気なサウンドの一本で、ネックは幅が広めなんですが厚さが薄いので弾きやすいところがお気に入りです。
――最後に今後の目標を教えてください。
バンドとしてはいつか武道館に立ちたいというのが目標です。ベーシストとしては一生現役で楽しく演奏できたら最高だと思っています！
MY ROOTS ALBUM
『ark』
L’Arc〜en〜Ciel
ラルクで1番聴き込んだアルバムだと思います。tetsuyaさんのベース・ラインが素晴らしくて、今でも口ずさめるほどに覚えているので自分の人生にとって大切な作品です。
『pure soul』
GLAY
このアルバムの楽曲でドロップDチューニングを学んだりと、サウンド面でとても勉強になりました。ロー・ポジションでのラインの動かし方は特にJIROさんに影響を受けていると思います。
『Blood Sugar Sex Magik』
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
このバンドに出会ってからグルーヴを意識するようになりました。いつ聴いても色褪せない名盤だと思います。
◎Profile
しおいかり・しんや●10月1日生まれ長崎県出身。中学時代にベースを始め、BAND A、Kidori Kidori、Yap!!!など、さまざまなバンドで活動を行なう。MOSHIMOは2006年に岩淵紗貴（vo,g）と一瀬貴之（g）が中心となり前身バンドであるCHEESE CAKEを結成。数々のオーディションで受賞し、インディーズで精力的な音源リリースを展開し注目を集める。2015年にMOSHIMOに改名、汐碇は2020年にバンドに加入した。8月4日に待望のメジャー・デビュー作となる2ndフル・アルバム『化かし愛』をリリースした。
◎Information
MOSHIMO：Official HP Twitter
汐碇真也：Twitter Instagram YouTube
