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BADASS ROOKIE〜BMイチ押しのNEWCOMER〜 – 汐碇真也[MOSHIMO]
- Interview:Koji Kano
- Live Photo:Yuki Kimura
INTERVIEW
“キャッチーかつ大胆”
メロディーを引き立てる低音
どこまでもキャッチーなメロディーに、突き抜けるロック・サウンド。そこに岩淵紗貴(vo,g)のハイトーン・ヴォイスが加わることで唯一無二の世界観を作り出すのが、福岡発の4人組、MOSHIMOだ。インディーズ時代より次世代ギター・ロック・シーンの筆頭株として注目されてきた彼らが、8月4日、満を辞してメジャー・デビュー作となる『化かし愛』をリリースした。まさに夏にピッタリのハイテンション・ナンバーが揃っており、暗いニュースをかき消すかのような疾走感溢れる一枚だ。ベーシスト汐碇真也のプレイは堅実でありながらもアグレッシブ。随所に攻撃的なフィルを入れ込むことでベースの存在感を示すと同時に楽曲全体をさらに加速させている。そんな彼はどういった“ベース観”を持ち、本作の制作にどう向き合ったのか。ギター・ロック・シーンの最先端を行くベース・プレイを明るみにしていきたい。マジでイカす新人=BADASS ROOKIEを紹介する本企画。BMイチ押しの新世代ベーシストはコイツだ!
一番気をつけていることは
“歌の邪魔をしない”ベース・ラインにすること
――まずベースを始めたきっかけを教えてください。
中学生の頃にL’Arc〜en〜CielやGLAYを聴いてエレキ・ギターを始めたんです。その後、同級生とバンドを組もうとなったのですが同じ学年にひとりもベーシストがおらず……それで急遽ベースに転向したのがきっかけです。ただ、今ではあのときベースを選んで良かったと思っています。
――では影響を受けたベーシストは?
邦楽だとL’Arc〜en〜CielのtetsuyaさんとGLAYのJIROさんですね。tetsuyaさんのメロディアスなフレーズだったり、JIROさんのベース・ラインの組立て方にはかなり影響を受けました。洋楽だとレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーに影響を受けましたね。プレイやステージングなどすべてにおいて永遠のベース・ヒーローです!
――MOSHIMOには昨年加入されたとのことですが、どういった経緯で参加することになったのですか?
10年くらい前に福岡で僕がバンド活動をしていたとき、MOSHIMOの前身バンドであるCHEESE CAKEと対バンしたり僕らのバンドの自主企画に出てもらったりしていたんです。それから彼らがMOSHIMOに改名して上京してからも連絡は取り合っていたりと関係は続いていて、リズム体のふたりが脱退するタイミングでサポートの話をもらったんですよ。そこから制作やライヴをやっていくなかで、お互い気が合いそうだったので正式メンバーの話をもらって。快く引き受けさせてもらいました。
――バンドでの作曲方法ならびにベース・ラインの作り方を教えてください。
まずポチ(岩淵紗貴/vo,g)といっちー(一瀬貴之/g)が主に曲を作ってくれて、ある程度完成された状態のデモ音源が送られてくるんです。デモ段階のベースは基本ルートのみのベタ打ちなので、そこに自分のフレーズを入れていくことでベース・ラインを作っています。
――なるほど。ではフレーズを作る際に気をつけていることは?
コード感を保ちつつ、耳に残るようなフレーズを作ることを心がけています。このとき特に一番気をつけていることとしては、“歌の邪魔をしない”ベース・ラインにすることですね。
――8月4日リリースの『化かし愛』の制作はいつから始まったのですか? また作品のコンセプトを教えてください。
制作自体は2021年に入ってから始まりました。ストック曲がまったくない状態だったので、全12曲を約2ヵ月ほどで仕上げたんですけど、今思い出してもかなりの過密スケジュールでしたね(笑)。コンセプトとしてはMOSHIMOにとってメジャー・デビューという大きな節目となるアルバムでもあるので、それぞれ人と関わるなかで“化かし合うことをやめた愛”を追求する一枚を目指して制作を進めていきました。
――「獅子奮迅フルスイング」はドラムに合わせてベース・フレーズの雰囲気をガラリと変えることで楽曲にメリハリが出ていますね。
キメやシンコペーションが多い曲なのでドラムとの兼ね合いはかなり意識しましたね。ドラムの(高島)一航くんは手数が多いタイプのドラマーなので、ドラムのフレーズが多いときはベース・ラインをシンプルにしたりと、いろいろ試行錯誤したんです。デモ段階では結構ベースが動いていたので、かなり引き算をした記憶があります。
――ギターや歌メロとユニゾンしたフレーズも印象的ですが、2サビあとのロー・ポジションでの地を這うようなベース・フィル部分は、特にフレーズの方向性を変えているように感じます。
この部分は、最後のサビに向かっていく過程の序章として演出できるようなプレイを意識してフレーズを作りました。プレイとしては少し後ノリで粘っこい演奏を意識しています。
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