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    【Live Report】工藤晴香 – 2021年9月23日(木・祝)/東京・Zepp DiverCity

    • Report:Koji Kano
    • Photo:Chiho Saito

    工藤晴香
    BASSIST:Toshihiro
    ●2021年9月23日(木・祝)●東京・Zepp DiverCity

    “ロック・シンガー”工藤晴香を支える、
    攻撃的かつ緻密なベース・プレイ

     声優として数々の人気アニメに出演する工藤晴香のもうひとつの顔が“ロック・シンガー”だ。そんな彼女の単独公演“MAGICAL ROCK CITY”が9月23日(木・祝)に東京・Zepp DiverCityにて行なわれた。工藤はもちろん、ラウド/アイドル・シーンを中心に幾多のサポートを展開する屈指のテクニカル・ベーシスト、Toshihiroのパフォーマンスにも注目が集まった。

     17時45分定刻どおり、開演を告げる地鳴りのようなエレクトロ・ビートのSEとともに、ステージ後方のスクリーンにToshihiroをはじめとしたバンド・メンバーの名前が映し出され、最後に“工藤晴香”の文字とともに工藤が登場。ギターのフィードバック・ノイズのなか“MAGICAL ROCK CITY、いくよ!”という工藤のかけ声とともに、攻撃的なギター・リフから始まったのは「Thunder Beats」。トリプル・ギター編成での重厚なサウンドのなかで、Toshihiroの高速スラップが光る。2曲目は工藤の透き通るクリア・ヴォイスから始まる「Cry for the moon」をドロップ。駆け抜けるロック・サウンドのなか、Toshihiroも激しいヘッドバンギングで会場を盛り立てる。続いてメタリックなブレイク・ダウン・ギターでたたみかける「KEEP THE FAITH」を披露し、工藤の愛らしいルックスとは裏腹に、のっけから激しいラウド・サウンドで一気に加速する形で本公演は幕を開けた。

     ここで工藤よりひと言。本公演が2021年のラスト公演であること、そして魔法のような時間を過ごせたら、という本公演にかける思いが伝えられたあと、“みんな自由に音楽を楽しんでいきましょう。激アツな2021年最後のライヴにしましょう!”という意気込みと同時に「GROOVY MUSIC TAPE」をドロップ。高速ビートのドラムとガッチリ噛み合ったToshihiroのスラップ・リフで会場をさらにヒートアップさせる。続く「MY VOICE」では重厚なメタリックなリフとともにオーディエンスのハンド・クラップも。コロナ禍でのライヴということで、声を出して観ることはできないが、身振り手振りでライヴを一緒に盛り上げようという満員のオーディエンスの思いを感じ取るかのように、Toshihiroのアクションも自然と大きくなり、ハジける笑顔が印象的だった。

     ここまで6曲、持ち味である激しいロック・ナンバーで畳みかけてきたが、ここで一旦ブレイク。“せっかくなので今日は特別なことを……アコースティックに初挑戦します!”と初めてアコースティック・セットで楽曲を披露するとのアナウンス。照明など雰囲気が一転し、ゆったりとした空気が流れバンド・メンバーも着席での演奏体制に。「それぞれのPLANET」「アナタがいるから」の2曲が演奏され、新たにアコースティック・アレンジで楽曲が生まれ変わった。Toshihiroはメイン・ベースのE-Ⅱ製CR-5 MSを持ち替えることなく、本体のコントロール調整と足下のエフェクターを切り替え、繊細な指弾きのタッチでアコースティック用にサウンド・メイクをしていたようだ。

    工藤晴香
    Toshihiro

     アコースティック・セットで2曲演奏したところで、壮大なバラード・ナンバー「君へのMHz」で再びエレキ・セットへ転換。ここから後半戦の幕開けだ。疾走感溢れるギター・ロック・サウンドの「My Story My Life」では、Toshihiroは再び奏法をピック弾きに変え、激しいオルタネイト・ピッキングを披露した。続いて工藤屈指のキラー・チューン「Under the Sun」では、工藤ならびにバンド・メンバーの激しいパフォーマンスで会場のボルテージは最高潮に達し、オーディエンスも一体となり腕を振り上げるなど、一番の盛り上がりを見せた。続いて、“カッ飛ばして行こうか、みんなついてきて!”という工藤の号令とともに、カオティックなメタル・サウンドの「IRON SOUND」、続いてこの日初披露となった新曲「Supernatural」をドロップ。図太いEDMサウンドに重厚なハイゲイン・ギターが鳴る、工藤らしい疾走感溢れるハードロック・ナンバーで、音源化が待ち遠しい。そして本篇最後に披露されたのは「Memory Suddenly」。ドラムとベースとのコンビネーションが光るなか、Toshihiroは軽快なオクターヴ・フレーズなど、多彩なプレイで締め括った。

    • 工藤晴香 – 2021年9月23日(木・祝)/東京・Zepp DiverCity

     アンコールでは、工藤はスマホの自撮り棒を手に、インスタ・ライヴをしながら爽快なロック・ナンバー「Magic Love」を披露。Toshihiroは時折ピックを口に挟み、ピックとテクニカルなスラップを使い分けていた。ここで改めてMCとともに、来年3月に1stフル・アルバムがリリースされることが発表された。これまで2枚のEPと1枚のシングルをリリースしてきた工藤だが、ついに待望のフル・アルバムのリリースとあって、会場からは歓喜のどよめきが起こる。そしてオーディエンス、バンド・メンバー、スタッフに改めてお礼の言葉を告げ、“ライヴってみんなの生活の一部になってるんだね。だから「お家に帰るまでがライヴ」ではなくて「次のライヴまでがライヴ」なんだなって改めて思いました”と工藤らしいひと言のあと、アンコール2曲目、本日ラストの楽曲として、アコースティック・セットでも披露された「それぞれのPLANET」を披露。Toshihiroは力強いオルタネイト・ピッキングに加え、ベースを天に振り上げる迫力のパフォーマンスを披露し、本公演が終幕した。

     工藤の透きとおるハイトーン・ヴォイスとトリプル・ギターのラウド・サウンド。そのなかでピック・指・スラップと多角的なプレイを展開するToshihiroの適応力の高さが改めて実感できる公演であったが、来年3月発売予定の1stフル・アルバムなど、今後新ためて“ロック・シンガー”工藤晴香の動向にも注目していきたいところだ。

    【ベース・マガジン11月号 AUTUMN】(10月19日発売)の“THE AXES”では、当日のライヴでToshihiroが使用した機材群を2ページにわたり一挙紹介! 工藤を支えるベース・サウンドのシステムを徹底検証しています。
    その他、JIRO(GLAY)と楢﨑誠(Official髭男dism)による表紙巻頭のスペシャル対談のほか、新作『KNO WHERE』をリリースしたOKAMOTO’Sよりハマ・オカモトの特集、ベース用ペダル型プリアンプの大特集などを掲載しています。ぜひチェックしてみてください!

    ■2021年9月23日(木・祝)/東京・Zepp DiverCity
    セットリスト
    01.Thunder Beats
    02.Cry for the moon
    03.KEEP THE FAITH
    04.GROOVY MUSIC TAPE
    05.MY VOICE
    06.それぞれのPLANET(Acoustic)
    07.アナタがいるから(Acoustic)
    08.君へのMHz
    09.My Story My Life
    10.Under the Sun
    11.IRON SOUND
    12.Supernatural(新曲)
    13.Memory Suddenly
    アンコール
    14.Magic Love
    15.それぞれのPLANET

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