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    【第87回】リディアンをもっと使いたい! リディアン・モード入門 part2 石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

    • Text:Jun Ishimura

    前回、メジャー・キーのダイアトニック・コードのなかだと、4度のメジャー・コード(IVトライアド、IV6、IV△7など)でリディアンが使える、そしてまわりの音との兼ね合い次第では、1度(トニック)のメジャー・コード(Iのトライアド、I6、I△7など)でもリディアンが使える場合もある、という話をしました。

    でもね、メジャー7th好きとしてはもっとリディアンを使いたいわけですよ。だって気持ちいいから。

    実は、メジャー・キーの曲のなかでリディアンが使えるコードって、ほかにもいくつか出てきます。それは、ダイアトニック・コードではないコード、つまりノン・ダイアトニック・コードなんですね。

    ノン・ダイアトニック・コードのうち、リディアンが使えるコードでよく出てくるのは、例えばVI♭のトライアド、VI♭6、 VI♭△7などです。キーがCの場合だA♭、A♭6、A♭△7です(ほかに、A♭add9、A♭69、A♭△9、A♭△7(#11)などでも使えます)。

    CのキーでA♭のコードとリディアンがどう響くか、1小節Cを弾いてからA♭△7のフレーズを弾いてみます(注:演奏では上記の指板で示されている以外のポジションも使っています)。

    それから、VII♭のトライアド、VII♭6、VII♭△7でもリディアンが使えます。キーがCだとB♭、B♭6、B♭△7ですね。

    CのキーでB♭のコードとリディアンがどう響くか、1小節Cを弾いてからB♭△7のフレーズを弾いてみます。

    III♭のトライアド、III♭6、III♭△7でもリディアンが使えます。キーがCだとE♭、E♭6、E♭△7です。

    CのキーでEのコードとリディアンがどう響くか、1小節Cを弾いてからE△7のフレーズを弾いてみます。

    II♭のトライアド、II♭6、II♭△7でもリディアンが使えます。キーがCだとD♭、D♭6、D♭△7です。

    CのキーでD♭のコードとリディアンがどう響くか、1小節Cを弾いてからD♭△7のフレーズを弾いてみます。

    こんな感じで、メジャー・キーの曲だと、IV、Iのほかに、VI♭、VII♭、III♭、II♭のトライアド・6th・メジャー7thが出てきたときにリディアンが使えます。Cのキーの場合でまとめるとこうなります。

    ただしトライアドに関しては気をつけなきゃいけないポイントがあって、コード的には誰も7度を弾いていなくても、メロディやほかの楽器のフレーズのなかで7th(短7度)の音を使っている可能性があります。そうするとメジャー7th(長7度)とぶつかってしまうのでリディアンは使わないほうがいいです。コードだけを見て早合点せずに、まわりの音をよく聴いて判断しましょう。どんなときでも、理屈よりも耳を優先したほうがいいです。

    その意味では、さっき言ったこととは矛盾しますが、ほかの人が7thを使っていてこちらがリディアンを使っていても、耳で判断して、“まあ……ぶつかってると言えばぶつかってるけど、別にカッコいいんじゃない?”みたいな感じで全然OKの場合もあります。

    ということで、自分がやっている曲のコードを改めて分析してみて、今日紹介した度数のコードを見つけたら、リディアンが使えるかどうかいろいろ試してみましょう。石村順でした!

    石村順
    ◎Profile
    いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

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