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    【第63回】リズム練習はメトロノームに頼るな!/石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

    • Text:Jun Ishimura

     今回は、メトロノームに頼らないメトロノーム練習です。

     リズム感を向上させたいなら“メトロノームに頼りっきりの使い方”は効果的ではありません。例えば、拍のオモテに“1-2-3-4”と鳴らす練習だと、ちょっとズレたりヨレたりハシったりしても、なんとなくできた気になりがちです。無意識にメトロノームに頼ってしまうから、この状態でどれだけ練習しても、なかなかリズムは良くなりません。

     メトロノームに頼らない練習方法の基本は1拍目のオモテに鳴らさないやり方で、これだと否応なく自分でリズムに責任を持たざるを得ない状況になるのでリズム感が鍛えられます。例えば2・4拍目とか拍のウラに鳴らすという練習は、すでに取り組んでいる人も結構いますよね。今回は、そういうレベルの人向けに、もう少し難易度が高い練習方法を紹介します。16分音符4つ目にクリックを鳴らします。譜面にするとこういうことですね。

     わかりやすく書くとこうです。16分音符3つ目までは休符で4つ目にクリックを鳴らします。

     弾いてみると、例えばこんな感じです。

     やってみるとわかりますが、このやり方だとほとんどメトロノームに頼れません。しっかり自分でリズムを感じてリズムを表現できていれば、演奏とクリックが歯車みたいに噛み合いますが、ちょっとでも演奏がブレるとその関係が崩壊します。

     クリックが16分音符4つ目に鳴っていると感じるには、16分音符のレベルの分解能でリズムを捉えていないといけません。これは拍のオモテで鳴らす場合の4倍細かい精度です。逆に言うと、この練習を続ければ、16分音符レベルでリズムを感じられるようになっていくし、それだけじゃなくて、ウラ(16分音符4つ目)を基準にして演奏できるようになってきます。

     ただ、いきなりさっきみたいなフレーズで練習するのはハードルが高いので、いつものようにシンプルなフレーズで始めます。譜面Aのように、単音で16分音符を全部弾くパターンです。ここではDの音にしましたが、どの音でもいいです。

     これは、音数が多いので一見難しそうに見えますが、リズムは一定だし音も動かないので、リズムの形とか運指の面ではとてもシンプルです。ここではBPM70でクリック鳴らしますが、自分がやりやすいテンポから始めていいです。演奏するとこんな感じです。
     
     もしこれが難しくてできない人は、まずは譜面Bのやり方で慣れましょう。

     4分音符しか出てこないとハードル下がりますよね。いくつか手順があります。

     まず、BPM160のクリックに合わせて“1-2-3-4”とカウントしてテンポ感をつかみます(譜面B1)。

     次に、BPM40でクリックを鳴らして、それが1拍目だけに鳴っていると感じつつ、“4-1-2-3”とカウントします(譜面B2)。1拍目の4にアクセントをつけます。

     それに慣れたら1にアクセントを移します(譜面B3)。すると譜面B4のように感じられます。これがもとの譜面Bを弾いてるのと同じ状態です。

     譜面B(B4)が自然に弾けるようになったら、譜面B5の下段のカウントのように各小節の1拍目だけで“1-2-3-4”とカウントします。

     これは、実は最初の譜面Aを弾いているのと同じことをやっています。

     こうやって、譜面Aの感じがつかめたら、自然にできるようになるまで取り組みましょう。テンポも少しずつ上げていきます。

     今回はシンプルなパターンで練習しましたが、次回から少しレベルアップしていきますので、それまでにこれをマスターしておいてください。石村順でした!

    石村順
    ◎Profile
    いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

    ◎Information
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