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    【第141回】イメトレって意味あるの? 石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

    • Text:Jun Ishimura

    イメージ・トレーニング、略してイメトレ、よくスポーツで取り入れられていますよね。

    Wikipediaには“実際に体を動かすことなく、動いている自分を思い描くことによって技術や戦術を向上させるもの”とあります。ベースの練習でも、イメトレをやる意味はあるのでしょうか?  言い換えると、実際に楽器は持たずに演奏している自分を思い描くことでベースは上達するのでしょうか?

    個人的な経験としては、イメトレには効果があるし、日常的にやっています。ただ、中途半端なやり方ではあまり効果がないです。まあ、それはどんなトレーニングでもそうですけど。

    中途半端なやり方というのはどういうのかというと、“頭のなかでなんとなく曲を流す”とか“フレーズをなんとなく口ずさむ”みたいなやり方です。これはピントが合っていないぼんやりしたイメージのようなもので、これではあまり意味がないです。では、どういうイメトレだと効果があるのか? 僕がやって効果を実感したイメトレのやり方を紹介します。

    経験上、ざっくりいうと、イメージのなかの“感覚”がリアルになればなるほどイメトレには効果があります。感覚というのは五感のことです。まあ音楽なので味覚や嗅覚は置いておいて、聴覚・視覚・触覚(≒身体感覚)をどれだけリアルにイメージできるかが肝だと思います。具体的にどういうことか見ていきましょう。

    フレーズそのもの

    音楽なので、フレーズをイメージすることが出発点です。聴覚的なイメージですね。これくらいなら簡単そうですが、たとえば運指の手順だけでフレーズを覚えている場合など、いざ楽器なしでイメージしようとすると意外とフレーズの音程やリズムをイメージできない場合があります。頭のなかでちゃんと音程やリズムを再現できるくらいフレーズを理解して覚えておく必要があります。

    また、できればベースのフレーズだけでなく、コード感・メロディー・ほかの楽器のフレーズなども同時にイメージできると、イメージの解像度が上がるのでなお良いです。ほかの楽器がどういうフレーズを弾いているか知らないと、これはイメージできません。

    フレーズのニュアンス

    前回前々回と、“棒読みみたいな演奏”を卒業するためにアクセントを操ろう、という練習をしましたが、アクセント以外にもスタッカートやテヌートなどの音の長さや、ハンマリングやプリングやスライドを使うことによるフレージングの変化、といったフレーズの細かいニュアンスもイメージしましょう。

    音色

    さらに、音色もできるだけリアルにイメージしましょう。

    右手のピッキング

    これは、指(ピック)や手、腕がどう動いているか、という身体感覚のイメージですね。

    人によっては、これらの動きを視覚的なイメージとしても思い浮かべられる人もいるかもしれません。

    左手の運指

    これも右手と同じで、指・手・腕の動き全般の身体感覚のイメージです。フレーズのどの音をどの指で押さえるか、ハンマリングやプリングやスライド/グリッサンドなどを入れる動き、というディテールまでイメージできるといいです。さらに、指板上で指がどう動くのか、という視覚的なイメージも大事です。

    自分の場合、このクオリティのイメトレができれば実際に練習したような効果がありますが、それだけじゃなく、こうしたイメトレの結果、イメージの解像度が高まること自体が大事だと思っています。なぜなら、音楽というのはただ機械的に指を動かして演奏してるわけではなく、脳内のイメージに沿って演奏しているからです。大元となるイメージがピンボケだったら、演奏のクオリティもそんな感じになります。イメージがリアルで強烈だったら、そういう演奏になります。そういう二重の意味でイメトレは効果的なので、皆さんもぜひ練習に取り入れてください。石村順でした!

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    石村順
    ◎Profile
    いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

    ◎Information
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