NOTES
“約3分”でベース上達にまつわるさまざまなトピックを解説するYouTube動画連動の連載『石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜』。第161回は、「ベーシスト必修科目: エンディングの作法」について。
ベーシストこそエンディングに気を配るべし!
“いい感じに演奏してたのにエンディングで台無し”、これはもったいない。
「終わり良ければ全て良し」とはシェイクスピアの戯曲のタイトルですが、これはバンドの演奏にも当てはまります。
曲の終わり方・締め方は、曲全体の印象を左右するほど超重要なんです。締め方のタイミングや表現がバラバラだと、曲の印象は一気にダダ下がりです。
ベースはアンサンブルの土台なので、ベーシストの曲の締め方が雑だとバンド全体がレベル・ダウンします。だから、ベーシストこそエンディングに気を配るべし! これ、肝に銘じてください。「いやいや、所詮、音を切るだけでしょ」と思った人、いい加減なエンディング処理で曲を台無しにしてるかもしれませんよ。
エンディングとひと口に言ってもいろいろな側面がありますが、今回は“曲の最後の一音”の表現に的を絞って解説します。
細かい話の前に、まず大前提の話をします。
締め方を決めよう
曲の締めが合わなかったのは、その瞬間のコミュニケーション不足。それもあります。でも、それ以前にそもそも締め方を決めてなかったのでは?
成り行き任せでは、合わなくても当然。バンドマンたるもの、“阿吽の呼吸”で合うのが理想ですが、それは一握りの例外です。
ライヴではすべての曲の終わり方・締め方を明確にして共有する。これが大前提です。
では本題に入りましょう。
曲の最後の一音を止めるタイミング
まず、“最後の一音を止めるタイミング”を必ず決めて共有します。
イン・テンポで終わる場合は、音符の長さを決めます(譜例1)。

そうでない場合、誰に合わせて音を切るかを必ず決めます。大体は、ヴォーカルやバンマス(バンド・リーダー)、あるいはドラマーの身振り手振りに合わせます。
必ず譜面などにメモします。僕の場合は、誰に合わせる場合でも、必ず視界の端でドラマーを見ています。

最後の一音の止め方のパターン
そのうえで、最後の一音の止め方を決めます。大きく分けると2パターンあります。
音の止め方① 止めるときにもう1音打つ
最後の音をただ止めるのではなく、追加でもう1音“ジャン!”と打ち鳴らして止めます。
盛り上がっている曲だとこれが多いです。
この場合、ジャン!と打つ前の音はフェルマータにしてある程度伸ばすことが多いですが、それにも2種類あります。
(A) 伸ばしている音をただ伸ばす
音を鳴らしたらそのまま伸ばす。比較的スッキリした印象の終わり方になります。

(B) 伸ばしている音をかき回す
伸ばしている音をジャカジャカ鳴らしてかき回す。盛り上げて終わりたいときに使います。

音の止め方② ただ止める
シンプルに音を止めるだけです。一番スッキリした終わり方です。
バラードや静かな曲でこうすることが多いです。
ドラムだけは、止めるタイミングで音を打つ場合もあります。

最後の一音の止め方のニュアンス
さらに、どの止め方のパターンの場合でも、止め方のニュアンスがいくつかあります。
これもバンド内で一致させた方がいいです。
ニュアンス① グリス・ダウンして止める
音の止め方①のときはほとんどこれですね。ジャン!の音をグリス・ダウンして音を止めます。
止め方②で使うこともあります。

ニュアンス② ピタッと止める
イン・テンポで終わるときに使うことがあります。

ニュアンス③ ふんわり止める
バラードや静かな曲に合います。右手でパーム・ミュートをする要領で、手のひらを弦にゆっくり被せていって、音が徐々にふわっと消えるように止めます。

このように、その曲に合った締め方を具体的に決めて、ライヴの完成度をレベル・アップさせましょう!
石村順でした!
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石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。
◎Information
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