NOTES
“約3分”でベース上達にまつわるさまざまなトピックを解説するYouTube動画連動の連載『石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜』。
第154回では、“ライヴで緊張して失敗しがち……”、“今度初めてライヴをやるんだけど、不安……”という人のために、ライヴで自分の実力を発揮するための心構えについてお伝えします。
▼ 今回の動画はこちら ▼
ライヴ本番あるある
ライヴで緊張していると、いろんなことがうまくいきません。
例えば、指が動かない、力み過ぎる、弾き間違える、曲の構成を見失う、エフェクターを踏み間違える、バンドメンバーからの合図を見逃す、テンポがハシる、などが起きがちです。
緊張で手足がつってしまう人もいます。そして、そういうミスに焦ってさらにミスしてしまう、という負のループにハマりがちです。
いいライヴができたときって、少し気合が入っている程度の“ほぼ通常モード”でステージに立ててるときが多いです。ただ、自然体でそういう状態でいられる人は良いですが、放っておくと緊張しがちな人は、意識的にそういう状態に自分を持っていく必要があるんですね。
ライヴで実力を発揮するための心構え:
“ちゃんとしよう”としない

できるだけ落ち着いた状態でステージに上がるために個人的に気をつけているのは、逆説的かもしれないですが、“ちゃんとしよう”としないことです。
もちろん、“準備をサボっていい”とか“適当でいい”という話じゃないです。チケット代を払って貴重な時間を割いて観に来てくれるお客さん、共演者やスタッフ、そして何より自分自身に対して、きちんとしたクオリティのライヴができるようにしっかり練習して準備しておく。
これはもう、当然守るべき最低限のラインです。
ただ、しっかり準備することと、どういう気持ちで本番を迎えるかということは別で、“ちゃんとしなきゃ”という精神状態でライヴに臨むと、ついつい“失敗を恐れるモード”になってしまいがちです。これが緊張を引き起こし、失敗につながるわけです。
ライヴは、習い事の発表会でもテストでもありません。お客さんは、こちらのミスを見つけて減点しようと目を光らせているわけではなく、楽しい時間を過ごしに来ています。“ちゃんとしなきゃ”と緊張している人を見ていても楽しくないですよね。
“ちゃんとしなきゃモード”を中和してくれるのが、“その場を楽しむモード”です。楽しそうな人を見ていたら自分も楽しくなってくるものなので、ステージに立つ人に最適な精神状態のひとつだと思います。
それに、“その場を楽しむモード”でいるとリラックスできるので、普段の実力を発揮しやすいです。さらに、このモードでいると、もし何かミスしてもあまりダメージを受けずに気持ちを切り替えて演奏を続けやすいです。
“その場を楽しむモード”に入るには?
では、どうすれば意識的に“その場を楽しむモード”に自分を持っていけるでしょうか?
①深刻にならない
ライヴを重要視しすぎると“失敗したくない”と深刻になりがちです。それに気づいたら、あえて“たかがライブ”、“別に大したことじゃない”、“ここで失敗しても世界は変わらない”というふうに、肩の力を抜いて気楽に考えてみるのがオススメです。
②“楽しんでいるふり”をしてみる
心と体は密接にリンクしています。緊張していると、姿勢や表情もこわばります。心のなかで“リラックスしよう”と念じてもあまり効果がないかもしれないけど、身体のほうからアプローチすることはできです。
例えば、手足や表情筋を緩めるとか、ちょっと意識して笑顔を作るとか、楽しげに体を動かすとか。最初は演技だったとしても、そうやって身体にアプローチしてるうちに、それとリンクして気持ちもだんだん切り替わってきます。
③自分の“楽しむモード・スイッチ”を見つける
人によって、リラックスしたり気分を上げる方法は違います。どうやったら自分を“楽しむモード”に持っていきやすいか、普段からいろいろ試して“自分専用のスイッチ”を見つけておくといいです。そして、普段からそのスイッチを押して“楽しむモード”に入ることを習慣にしておくと、いざ本番!というときも効果が出やすいです。
こんな感じで、本番でもリラックスしていつも通りの演奏ができるように、普段から心もトレーニングしていきましょう。
石村順でした!
▼ 今回の動画はこちら ▼
◎書籍版『石村順の低音よろず相談所』はこちらから!
石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。
◎Information
HP Twitter facebook Instagram
■連載一覧はこちらから
ベース・マガジンのInstagramアカウントができました。フォロー、いいね、よろしくお願いします!→Instagram