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  • NOTES

    『ユーモア』back number

    “円熟の青さ”を包み込む、真面目で律儀な頼れる男

     どこかで耳にした曲たちに加え、初めて聴くのに懐かしいメロディも随所にある、全篇安心の7作目。何よりも清水が描くピュアな歌は、バンドの軸として揺るがない。そういうまっすぐな強い表現に相対するとき、ベースのモチベーションとしては、これはもう真面目に律儀に行くしかない。その点、小島のフレーズはとても“頼りになる”ものだと思う。ボトムに徹しつつも巧みに交える装飾音、繊細な音価操作、包容力たっぷりのヴィンテージ・トーン。微妙な後ノリで情感を汲む⑨は見事だし、だからこそ⑥の疾走感や⑦のウネリも引き立つ。青臭いのにコクもある……“円熟の青さ”とも言うべき奥行きは、優しく丁寧な低音に負うところも大きい。(田坂圭)

    ◎作品情報
    『ユーモア』
    back number
    ユニバーサルシグマ/UMCK-1732(通常盤)
    ¥3,300 全12曲

    参加ミュージシャン
    【小島和也(b)】清水依与吏(vo,g)、栗原寿(d)

    『龍凰童子』陰陽座

    “まつろわぬもの”ゆえの、不撓不屈のヘヴィメタル

     5年振りとなる第15作目。ここ数年の活動制限への鬱憤、何より“それでもヘヴィメタルをやっていく”という強い意志が凝縮された、なんとも力強いアルバムだ。楽曲は粒揃いなうえ、伝統とモダンの塩梅もほど良く、⑤⑦などは若いファンも獲得できそうな手応えがある。⑬などは“ヘヴィメタルにおける”3拍子系リズムの掘り下げとしても興味深く、“まつろわぬもの”としての確固たるこだわりと、貪欲な探究心を感じさせられた。個人的にはAOR風の⑪やアメリカンな⑫など、時折見せる違った表情も彼らの大きな魅力のひとつだと思う。瞬火のベースはいつもながらの安定感。欲を言えば、⑦⑧あたりの主張をもっと聴けたら嬉しいのだが。(山本彦太郎)

    ◎作品情報
    『龍凰童子』
    陰陽座
    キング/KICS-4092
    ¥3,300 全15曲

    参加ミュージシャン
    【瞬火(vo,b)】黒猫(vo)、招鬼/狩姦(g)

    ugly beauty』DENIMS

    メロとリズムの両面で楽曲を彩るベース・プレイ

     ソウル、ファンク、ブルースなどブラック・ミュージックをルーツに、多くの音楽的要素を自在にミックスした楽曲を作りあげる4人組バンドの3枚目のフル作。全体をとおして軽快でキャッチーな楽曲が多い印象だが、各曲でさまざまなジャンルのサウンドが“DENIMS色”に昇華されていると感じられる。ベースは、フィルターを使用した音色で奏でるタイトにハネるファンクなノリの②、オクターヴを織り交ぜつつもなめらかなオブリでメリハリのあるリフを展開する⑦、アウフタクトを基調とするメロが独特のリズムを生み出している⑪など、メロディアスさ、そしてリズム体としての役割の両面で非常に存在感のあるプレイを披露している。(座間友哉)

    ◎作品情報
    ugly beauty』
    DENIMS
    OSAMI studio./OSAMI-0006
    ¥2,800 全12曲

    参加ミュージシャン
    【土井徳人(b)】釜中健伍(vo,g)、岡本悠亮(g)、江山真司(d)

    『ラッシュ!』マネスキン

    次世代のアイコンが聴かせる、強烈なドライブ・ベース

     イタリア発、ロック・シーンの新世代シンボルとしてワールド・チャートを席巻する4人組の3rd作。一曲目から目の覚めるような極太ドライブ・ベースを放つのは、紅一点、ヴィクトリア・デ・アンジェリス。その愛らしいルックスからは想像もつかない、うなりをあげて迫りくるサウンドは、④や⑤での空気感満載なショート・リフを筆頭に強烈な存在感を放ち、⑥での衝撃的なインパクトのドライブ・サウンドに脳天を打ち抜かれる。彼女の魅力を他方に向ければ、ミディアム・テンポのバラード曲⑧でのグリスを用いたメロディアスなフレージング、音価を絞り8分のドラム・ビートと絡み合う⑫など、豊かさ溢れるその低音は世界の度肝を抜く。(加納幸児)

    ◎作品情報
    『ラッシュ!』
    マネスキン
    ソニー/SICP-6505(通常盤)
    ¥2,640 全18曲

    参加ミュージシャン
    【ヴィクトリア・デ・アンジェリス(b)】ダミアーノ・デイヴィッド(vo)、トーマス・ラッジ(g)、イーサン・トルキオ(d)

    Flowers』OKAMOTO’S

    相乗効果がより鮮明なメンバー・コラボ・アルバム

     各メンバーが共同で作詞作曲をし、メンバー個人がそれぞれプロデュースを担当するという趣向の“メンバー・コラボ・アルバム”。ハマはコウキとの③、ショウとの④をプロデュース。前者はコウキとハマのデュエットのグルーヴィ・シティ・ポップ、後者はシャープでスピーディな80sロック系歌謡曲で、いずれもスラップ・リフから始まるが、ジャズベで輪郭のくっきりした前者とプレベでイナたい後者というニュアンスの違いもおもしろい。そのほかベース的には、「Anarchy in the U.K.」的に始まりアンセミックに展開していく①での、ペンタトニックで煽っていく太さとキレの問答無用のカッコよさや、プリッとしたミュート親指きの音色も白眉。(中村健吾)

    ◎作品情報
    『Flowers』
    OKAMOTO’S
    アリオラジャパン/BVCL-1237〜8(完全生産限定盤)
    ¥4,950 全7曲

    参加ミュージシャン
    【ハマ•オカモト(b)】オカモトショウ(vo)、オカモトコウキ(g)、オカモトレイジ(d)

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