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『ドラゴンクエストVI 幻の大地』空を飛ばせる4分音符【クリープハイプ長谷川カオナシのレトロゲーム喫音堂】- 第36回
- 文:長谷川カオナシ
- バナードット絵:石田芙月(株式会社.AC)
毎回レトロゲームの音楽を取り上げ、その魅力をクリープハイプの長谷川カオナシが独自の視点で伝える連載『レトロゲーム喫音堂』。今回は、『ドラゴンクエストVI 幻の大地』(1995年)のBGMの魅力に迫ります。
お世話になっております。
奇数月は喫音堂の月!
暖かくなって参りました。
今日はこんな季節にぴったりな、爽やかな曲を演奏します!
『ドラゴンクエストVI 幻の大地』
(1995年/エニックス)(※1)

RPGの金字塔ドラクエシリーズ。
前作から3年ぶりのリリースとなった6は、
演出面でもSFCの特性を活かした大作です。
魔王城直前から始まるという斬新なオープニング、
攻撃モーションが追加されたモンスターのグラフィックなどが
特に印象深いですね。
毎度のことながらBGMも素晴らしいです!
中でも今回は「空飛ぶベッド」のBGMを喫音していきます。
メロディ楽器はシロフォンという、高音域の豊かな木琴です。
ドラクエのBGMといえば管弦楽という印象ですが、
シロフォンがフィーチャーされるケースは珍しいですね。
「ベッドが空を飛ぶ」というコミカルさを表現しているのでしょうか。
曲構成は以下の通り。
【A】シロフォンがフィーチャーされたテーマ。
【B】木管楽器のメロディに対しシロフォンが相槌を打つ形。
【C】ハ長調が変ホ長調に変わり、メロディもストリングスが担う。
【D】ト長調に変化、拍子も9/8に変化。
バラエティに富んだ展開です。
この音像の移り変わりは、
まるで「空から見える景色の移り変わり」を表現しているかのようです。
目まぐるしい展開の中で、何か一本筋を通っていると
曲が締まった印象になります。
そこで重要になるのはやはりベースの存在ですね。
ベースはどんな立ち回りをしているのでしょうか?
注目してみると、基本的にはずっと4分音符を弾いています。
4分音符というのは最も原始的で説明的な音符。
変化していく調、拍子、楽器構成。
そんな中、ベースが4分音符で存在し続けることによって
この曲の調和は保たれています。
まさにバランサー!
▼今回の演奏動画▼
さて今回は「目まぐるしく変化する環境の中で変わらず存在し続けるベース」
に着目しました。
安定感は安心感。縁の下の力持ち。私はそういうものに惹かれます。
気候の変化の顕著な時期ですが、平然とした4分音符の精神で、
体調を崩されないようお過ごしくださいませ。
それではまた次回までご機嫌よう。
(※1)
^音楽はすぎやまこういち先生。生み出された数々の楽曲の素晴らしさは言わずもがなですが、特にドラクエを代表する「序曲」はなんとたった5分で作曲されたそうです。当時先生は54歳。『「5分+54年」で作ったと考えてください』というのはあまりにも金言です。
◎Profile
はせがわ・かおなし●1987年9月23日生まれ。ロックバンド“クリープハイプ”のベーシスト。小学生でピアノとヴァイオリンを手にし、高校1年でベースを始める。ベースのほかにエレキピアノやビオラなども演奏。クリープハイプは2001年に尾崎世界観(vo,g)を中心に結成。2009年に長谷川、小川幸慈(g)、小泉拓(d)を擁した現編成となる。2012年、メジャー・デビュー。2014年に初の日本武道館2days公演を開催、2018年5月にも約4年ぶりとなる2度目の日本武道館公演“クリープハイプのすべて”を成功させる。2024年11月に、キャリア史上最大規模の会場となるKアリーナ横浜で、現メンバー15周年記念公演“2024年11月16日”を開催。2024年12月に7tnアルバム『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』をリリースした。2025年2月から7月にかけて、ホール&ライブハウス15公演・アリーナ4箇所8公演をまわるキャリア史上最大規模となる全国ツアーを開催。2025年11月26日に自身初のソロアルバム『お面の向こうは伽藍堂』をリリースした。
◎Information
長谷川カオナシ
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