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魅惑のジャパン・ヴィンテージ〜90年代カワイ製ベース【Kroi 関将典のベース偏愛録:見た目で選んで何が悪い!】第6回

  • Text & Photo (Bass) : Masanori Seki (Kroi)
  • Photo (Main Image) : Kohei Watanabe
  • Logo Design : Hirotaka Sudo (HOPSTEP)

「見た目で選んで何が悪い!」を合言葉に、Kroiの関将典が自身のベース・コレクションから“人と被らない”個性派ベースへの偏愛を語る連載の第6回。今回登場するのは、ピアノメーカーとして知られる河合楽器製作所が90年代に製造・販売していた国産ベースの隠れた名機。謎多きKawai製ベースの魅力に迫ります。(編集部)

第6回:魅惑のジャパン・ヴィンテージ〜90年代カワイ製ベース

 第6回はこちらのベースです!

Kawai Exceeding Series


ボディだけ見てどこのメーカーかわかった方は、ジャパン・ヴィンテージのベースにかなり詳しい方ではないかと思います。正直に申しますと、今回は関もあまり詳しくこのベースのことを知りません。できる限りのご紹介をさせていただきます。有識者の方はぜひともご教示願います。

こちらのベースは、今となってはピアノメーカーとして有名な河合楽器製作所が 90年代に製造販売していたものになります。Kawaiがピアノ以外の楽器を作っていたこと自体は、ベーマガ読者の皆様はご存知の方も多いかと思います。

Rockoonが特に有名ですね。

どこからともなく中古市場に顔を出し続けている印象があります。関も過去に2度所有してました。安く出回っていますが、作りやパーツもしっかりとしていてコスパがいい印象です。小ぶりな点も取り回しやすく“1本持っておいても良いな”と思えるベースでした。またそのうち手に入れたいです。

ほかにもアレンビック・インスパイアの F1-B、F2-Bなども、マニアのなかではかなり人気なモデルかと思います。

そんななか、今回ご紹介するこちらのベース。情報がほとんどないんです……。

1992年の Rockoonのカタログに載っているようなのですが、フリマサイトやオークションサイトを探してもカタログが手に入らず……海外サイトにカタログアーカイブもあるのですが、そのサイト自体どうやって閲覧するのかわからず……。

VintAxe.com Vintage Guitars -Vintage European Catalogs -Rockoon -1992

型番すら明確に把握ができておりません。情けない限りでございます。引き続き探します。

ざっくりと掴んでいる情報としては 1992年の段階で、

・Kawaiが“Exceeding Series”という上位シリーズを販売していたということ
・このベースがそのうちの 1本であるということ
・型番が恐らくEXBから始まるということ

やや非常識で申し訳なかったのですが、以前、ダメ元で河合楽器製作所さんに当時の情報をご存知の方がいないものか問い合わせたことがあります。ギターやベースを製造していた時代の情報は現在は一切わからないとのことでした。

その節はお手数をおかけしました。
ありがとうございました。

それではベースを詳しく見ていきたいと思います。

まず前述の通り、こちらはExceeding(超える)Seriesのモデルになります。 (以降EXB)

実は、 Exceeding Seriesではないモデル(↓写真右)も所有しています。
どちらもフリマサイトで手に入れました。

関所有のKawai製ベース
関所有のKawai製ベース ヘッド
関所有のKawai製ベース ヘッド

比較しつつご紹介していければと思います。

まずなんといってもKawaiのギター&ベースにおいて1番のポイントと言っても過言ではないのが、ペグ、ブリッジ、ピックアップなどのハードウェアに Schaller製のパーツをインストールしていることです。ピックアップもSchaller製のときがあります。

“Produced by Kawai with Schaller”
と印字されているベースもあるくらい、
Schallerを使用していることを全面に出していました。

今回ご紹介させていただいてるベースもSchaller製のハードウェアが搭載されています。

関所有のKawai製ベース ブリッジ
関所有のKawai製ベース ブリッジ

ブリッジは、Schaller製3D-4。

個人的にSchallerのブリッジというと一番にこれが思い浮かびます。固定ネジがフェンダー(5本)とは異なり3本であるため、フェンダーにはポン付けできなかった気がします。間違ってたらごめんなさい。

けれど弦高、ピッチに加え弦間の調整も可能で、剛性もしっかりしてるのでお気に入りのパーツです。初回で紹介させていただいたGibson Victory Bassにも載せています。

ペグもSchaller製です。

関所有のKawai製ベース ペグ

ピックガードは自分で削ったプラ板を両面テープでくっつけたものです。

ピックアップはバルトリーニが載ってます。
定かではありませんが、おそらくオリジナルです。

EXBのほうはアクティヴで、コントロールは2ヴォリューム、トレブル、ベース。
ノーマルモデルのほうはパッシヴで、2ヴォリューム、1トーン。

関所有のKawai製ベース ボディ

プリアンプはおそらく、バルトリーニのTCTが搭載されています。
裏蓋を開けるとmiddleの調整トリマーが内蔵されてます。

↓ メイプル・ネック、エボニー指板

関所有のKawai製ベース ネック



↓ メイプル・ネック、ローズ指板

関所有のKawai製ベース ネック

ボディはアッシュ (?)、ノーマルモデルのほうはマホガニー(?)です。

小ぶりなボディ・シェイプに 24フレットという仕様のため取り回しが良く、とても気に入っています。

ハードウェアはSchaller製ですので、言わずもがな老舗パーツメーカーの安心感があります。

また、ピアノで培った木工技術を持っているKawai製ですので、かなり精巧だなと思います。

そんなこんなでサウンドも極めてしっかりしているため、まだまだがっつり使っていけるベースだなと思います。

EXBのほうはわりと最近手に入れたため、まだ現場に持って行ったことがないので、今後どこかで登場するとを楽しみにしていただけると嬉しいです。

ノーマル・モデルはコロナ禍にKroiが行まっていた、配信ライヴ企画などで、使っていました。

さて、今はもう作られていないKawai製のギターやベース。一度手にしていただくとおわかりいただけると思うのですが、想像以上にしっかりしてるなという印象です。

モデルによってはインスパイア元などはあるかもしれませんが、ボディ・シェイプなどもオリジナリティがあるシリーズが多く、どれも独創的です。

ギターですが、ムーンサルトなどは独創的過ぎる良い例。

当初は、シュッとしてかっこいいし、 Kawaiオリジナルシェイプのベースをあえて現代で使ってたら人と被らないしおもしろいかな。というくらいのふらふらした考えで購入しましたが、今となっては手に入れておいて良かったなと思っております。コレクター欲だけに止まらず、実用性もしっかりしているところが何よりも嬉しいポイントです。

今回紹介したモデルはなかなか見かけることは少ないですが、状態の良い中古を見つけた際はオススメのベースです。

関所有のKawai製ベース

可能性はほぼゼロに等しいと思いますが、今後河合楽器製作所さんがまたギターやベースを作るときが来たら、個人的にはこのモデルの5弦タイプが欲しいです。

Kawaiに限らずですが、ジャパン・ヴィンテージのギターやベースには隠れた名器や魅力的なポイントがたくさんあります。メーカーとしての歴史などもとてもおもしろいので、興味が湧いた方はぜひいろいろと調べてみてくださいね!

以上!

ありがとうございました!

Profile

Kroi 関将典 プロフィール
関将典

◎Profile
せき・まさのり●1994年9月20日生まれ、茨城県出身。R&B、ファンク、ソウル、ロック、ヒップホップなど、あらゆる音楽ジャンルからの影響を昇華したミクスチャーな音楽性を提示する5人組バンドKroiのベーシスト。バンドは2018年2月に結成され、同年10月にシングル「Suck a Lemmon」でデビュー、2021年6月には1stアルバム『LENS』でメジャー・デビューを果たした。2024年1月20日には初の日本武道館ワンマン・ライヴを成功させる。2024年6月に3rdアルバム『Unspoiled』をリリース。Kroi公式FC「ふぁんく らぶ」では、自身のベースを動画で語る“せきまさのりのベースってそんなに必要ですか?”を更新中。

◎Information
Kroi HP X Instagram 
公式FC ふぁんく らぶ
関将典 Instagram