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    “期待の集大成” – SansAmp XB Driver【高松浩史の音色探索 その箱の中は地獄より深い】第17回

    生粋のエフェクター・フリークとして知られる高松浩史による連載がベーマガWebにて復活! マニアックなものからビギナー向けのお勉強企画まで、豊富な機材知識を持つ高松浩史がエフェクターを語り尽くします(連載一覧はこちらから)。

    第17回(2024年12月篇):“期待の集大成”

    ベース・マガジンWEBを御覧の皆様、ごきげんいかがでしょうか。高松浩史です。

    12月も後半になり、一気に年末感が出てきましたね。一年が本当にあっという間で、焦りを覚えるレベルです……。

    さて、今回は僕が発表からずっと心待ちにしていた製品のご紹介です。それがこちら!

    TECH21/SANSAMP XB DRIVERです!!

    公式製品ページに、「SansAmp XB Driver は30 年以上にわたるベース用ギアの集大成となるペダルです。SansAmp Bass Driver DI、Para Driver DI、Q\Strip、dUg Pinnick Ultra Bass 1000 それぞれの機能を1 つのペダルに凝縮しました。トラディショナルなサウンドからモダンなサウンドまでスムーズに切り替えが可能です。」との説明があり、とても期待していました。

    とにかく幅広く音作りができそうですよね。

    いつもでしたら各コントロールのご説明をするのですが、なにせコントロールが多いので、今回は割愛させていただきます。詳しくはマニュアルを参照していただけたら。

    第一印象は、“パワフル、音が太い、思っていた3倍歪む”。

    コントロールは多いのですが、やることはとてもシンプルです。

    クリーンと歪みの音作りをして、それぞれを使い分けるか、またはミックスするか。”といったところ。ただ、それぞれの音色はかなり追い込めます。

    実際に音を出してみた第一印象としては、“パワフル、音が太い、思っていた3倍歪む”でしょうか。

    CLEANチャンネルは、EQの設定がフラットの状態(時計12時方向)で音を出したとき、若干ハイがまろやかになって、ローの迫力が出るように感じました。もうこの時点でとても良いです……。太さを感じる音ですね。

    全体的にEQはよく効いて、これがパワフルさにつながるのかなと思いました。特にBASSの効き。低音域のプッシュ具合が素晴らしく、帯域もあいまってベースのおいしいロー感がしっかり出ます。

    COMPは、最大にするとパコっと効いてくれるタイプです。僕はあまりコンプに詳しくはないのですが、音が細くなったり、嫌味な感じはないですね。うっすらかけて補正してあげると良さそうです。

    DRIVEチャンネルは、CLEANチャンネルとは対照的に、やや腰高でハイのジャリジャリ感が印象的な音です(EQの設定がフラットの状態で)。この時点で、“ロー感のあるCLEANチャンネルと、エッジの効いたDRIVEチャンネルをうまくミックスして強い音を作る”という、設計の狙いのようなものを感じます。

    わかりやすいですし、昨今のベースの音作りにおいて効果的な手法だと思います。

    ファズっぽいハイゲインなところまで歪むのには驚きました。

    歪み感は、粒が粗くかなり歪みます。歪みの質から、ファズっぽいハイゲインなところまで歪むのには驚きました。ブリブリ、ビリビリ、ミチミチとした音の印象です。

    DRIVEチャンネルもEQはしっかり効きますが、キャラの特性上、特にハイがよく効くように聴こえますね。

    これらはあくまでCLEAN、DRIVEチャンネルともに時計12時の状態での印象です。実際には、ここからEQの設定次第でいろんな音を出せると思いました。

    キモはMIDでしょうか。どの帯域をどの程度足し引きするか……多彩ゆえの難しさがありますね。

    気になった点

    弾いていて気になった点もいくつかありました。

    <センタークリックがほしかった>

    “あると音作りがしやすいな”程度で必須ではありませんが、個人的にはあっても良かったなと。

    <CLEAN/DRIVEそれぞれ単体の音とMIXされた音の共存が難しい>

    どうしても多少の音量差が出てしまうので、どちらかに絞って使用したほうが良いと思いました。

    <クロスオーバー機能>

    LPF(ローパス・フィルター)、HPF(ハイパス・フィルター)ともに周波数帯域が狭いので、フィルターをかける/かけないが選べたら良いなと思いました。

    EQセンター位置の状態で明確にキャラクター分けがされているので、例えばDRIVEチャンネルそのままの音に、LPFがかかったCLEANがMIXされるような音作りができたり。逆もしかり。

    <MIDの周波数の表記>

    マニュアルに、「MID シフトを 1kHz に設定した場合、MID は従来製品と同様のミッ ドレンジ・コントロールとして動作します。」との記述があるので、1kHzがどこなのか明記してほしかった。

    こんなところでしょうか……。細かいところが多いですが、クロスオーバー機能はもうちょっと幅があると良いなと。個人的にクロスオーバー機能はオフのほうが音作りしやすかったですね。

    気になる点もいくつかありましたが、基本的には多彩で、単純に音が太いですし、効きもわかりやすいので素晴らしい製品です。

    そのぶんお値段もそれなりにしますが、一台あると何かと使えるので。そう考えると安いかも……と思ってきちゃいますね。

    発売されて間もない製品ですが、すでに品薄なようです。お店で見かけた方はぜひ試してみてください。

    それでは、今回はここまで。2024年もありがとうございました!

    ◎Profile
    たかまつ・ひろふみ●栃木県出身。2002年に高校の同級生だった小林祐介(vo,g)とともに前身バンドを結成する。2005年からThe Novembersとしての活動を開始し現在までに8枚のフル・アルバムなどを発表している。2021年からは京(vo)、yukihiro(d)を中心としたプロジェクトPetit Brabancon、浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSのメンバーとしても活躍している。その他、Lillies and Remains、圭、健康のサポート・ベーシストも務めている。Petit Brabanconは8月7日に2nd EP『Seven Garbage Born of Hatred』を発表している。

    ◎Information
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