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音を切り裂け!【高松浩史の音色探索 その箱の中は地獄より深い】– 第12回
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生粋のエフェクター・フリークとして知られる高松浩史による、以前本誌にて掲載していた当連載がBM Webにて復活! マニアックなものからビギナー向けのお勉強企画まで、豊富な機材知識を持つ高松がエフェクターを語り尽くします。第12回は、名古屋発の新興ペダル・ブランド“ELECTROGRAVE”による、ベーシスト注目のファズ・ペダルを検証!
音を切り裂け!
Bass Magazine Webをご覧の皆様、ごきげんいかがでしょうか。高松浩史です。
7月。
今月はタイへライヴをしに行ったり、かなり濃い一ヵ月でした。そして、The Novembersのツアーは地方篇が終わり、次はファイナル、9月19日の恵比寿リキッドルーム公演のみとなりました。みなさま、ぜひ観に来てください。
さて、今回はこちら。
ELECTROGRAVE “RIPPER FUZZ DRY BLEND”です。
個人的に昔からファズというエフェクターがすごく好きで、いろいろと試して多用してきたのですが、近年はめっきり使用しなくなってしまいました。主な理由としては、音の制御が難しいのと、ハイゲイン・ディストーションのほうが潰れが少なくて使いやすいという点ですね。
ただ、今回ご紹介するRIPPER FUZZ DRY BLEND、最近でもけっこう使用しております。
コントロールはこんな感じ。
・VOLUME:音量の調節
・TONE:音質の調節
・SENSITIVITY:ゲートのかかり具合の調節
・RIPPER:ゲートのオン/オフ・スイッチ
・BLEND:原音の音量調節
この機種最大の特徴が、RIPPERスイッチとSENSITIVITYコントロールでしょう。超強力なノイズ・ゲートが搭載されていて、このふたつのコントロールでかなりタイトなぶつ切りゲート・ファズを作ることができます。
これがベースでもすごく使いやすくて……というのも、ハウリングが起こりにくい=音の制御がしやすいのです。
RIPPERスイッチをオフにすることでシンプルなファズとしても使用できます。個人的にはしっかりゲートを効かせる設定が好きですね。ただ強すぎるとアタックが不自然になるので、そんへんは要微調整。
ファズの音色自体も腰高でタイトです。TONEは上げすぎると少しキツすぎるのですが、下げすぎてもこの機種の良いところが減ってしまう感じがします。ですので、時計12時方向からスタートし、少しずつ増減するのが良いと思います。
あと注意していただきたいのが、かなり音量が大きいので、必ずVOLUMEゼロの状態からスタートしてください。一般的なGAINやDRIVEといったコントロールはなく、歪み具合は固定です。個人的には過不足なく良い設定だと思います。
そしてBLENDコントロール。“BLEND”という名前ですが、正確にはDRY VOLUMEでしょうか。先述の通り、ファズ自体の音色がタイトなので、原音を混ぜることで低音域を確保したり、音の印象を少しマイルドにするという使い方。たしかにこのコントロール、ベースで使用する際はかなり効果的です。
ですが、原音をそのまま混ぜてしまうと、混ぜる割合が増えていくにつれて過激さが減ってしまうので、原音側だけにローパス・フィルターがかかるとすごく良さそうだなと考えています。
以上、ELECTROGRAVE “RIPPER FUZZ DRY BLEND”のご紹介でした。
それでは、今回はこのへんで。ご覧いただきありがとうございました!
◎Profile
たかまつ・ひろふみ●栃木県出身。2002年に高校の同級生だった小林祐介(vo,g)とともに前身バンドを結成する。2005年からThe Novembersとしての活動を開始し現在までに8枚のフル・アルバムなどを発表している。2021年からは京(vo)、yukihiro(d)を中心としたプロジェクトPetit Brabancon、浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSのメンバーとしても活躍している。その他、Lillies and Remains、圭、健康のサポート・ベーシストも務めている。Petit Brabanconは8月7日に2nd EP『Seven Garbage Born of Hatred』を発売する。
◎Information
高松浩史 X Instagram