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    【誰でもわかる! 低音理論のオハナシ】第6回 – “テンション”とは?(その2)

    • Text:Takeshi Yamaguchi

    テンション・ノート、理解しているかな? 今回はもう少しテンション・ノートの深い部分まで見ていこう。これがわかると、どんなコードにも対応できるぞ!!

    “テンション・ノート”の基本

    今回は、前回に引き続き“テンション”についてだ。徐々にややこしくなってきたので、まず最初に簡単な復習をして頭を整理しておこう。

    まず、和音を構成する基本な音とは、

    三和音(=トライアド)の場合は、1度+3度+5度

    四和音の場合は、そのトライアド(🟰1度+3度+5度)+(6度or7度)

    というのが前々回までに学んだことで、これがコード・トーン(和音の構成音)の基本だったね。そして前回、5音以上の和音の場合は“四和音にテンション・ノートを加えて成り立つ”と述べた。

    ではここで、次の問題に答えてもらおう。前回の内容をきちんと把握できていれば、答えられるはずだぞ。

    【問題】基本的な“テンション・ノート”にはどんなものがあるか

    そもそも“テンション・ノート”の意味を把握していなければ答えられないと思うけど、ちゃんと覚えているかな?

    【答え】9度、11度、13度。

    この時点でちんぷんかんぷんな人は、すぐに前回までを読み返そう。とはいえ、このコーナーは“やさしくわかりやすく”をモットーにしているので、この数字の持つ意味を簡単に説明しておくことにしよう。

    【譜例1】を見てほしい。

    上段にはド・レ・ミ……という音が並んでいる、下段にはその1オクターヴ上の音が並んでいる。まず上段を見ると、四和音までに使われることのなかった音が黒く示した2度、4度、6度(6度についての解釈は前回を参照)、となっている。ここで5音以上の和音を作る際、残った2度、4度、6度のいずれかをそのまま加えればいいかというと、実はそうはいかない。

    なぜなら、そのまま加えては、それぞれの音程が近すぎるために音が濁って汚い響きになってしまうからだ。そこで、残った音それぞれを下段のように1オクターヴ上に上げた音、9度、11度、13度、として四和音に加えよう、というわけ。つまり、この3音が四和音に加えることのできる音、すなわち“テンション・ノート”と呼ばれ、これらの音を加えることで、コードにある種の緊張感を与えることができるんだ。

    テンション・ノートの変化とオルタード・テンション・ノート

    ⚫️テンション・ノートの変化

    ところで、3度にメジャー(3rd)やマイナー(m3rd)があるように、あるいは、5度に♭5thや♯5thがあるように、さらには7度に△7thと、半音フラットした7thがあるように、テンション・ノートにも変化したものがある。そこで、これらを区別してわかりやすくするために、ここまで出てきたような変化のないテンション・ノートのことを“ナチュラル・テンション・ノート”と呼び、これから述べるような変化をしたものを“オルタード・テンション・ノート”と呼ぶので、ちょっとややこしいが覚えておこう。

    ⚫️オルタード・テンション・ノートについて

    ではその“オルタード・テンション・ノート”にはどんなものがあるか、というのを“ナチュラル・テンション・ノート”とともに表わしたのが【譜例2】で、これを指板上で表わしたものが【図1】だ。ちなみに、この図では、ベースのフレーズで使うことのできる音の配置を表わす、という趣旨から、和音では本来オクターヴ上に積み重ねられるべき音も、オクターヴ内にも示してある。見方を変えれば、和音で同時に鳴らすには使いにくい音(前述のように、音程が近すぎて濁ってしまう音など)も、単音でのベースのフレーズのなかには組み込むことはできるというわけ。そう考えるとベースって、意外と便利なところもあるでしょ?

    ⚫️ベーシック・コード+テンション・ノート

    前回述べたように、4種類のトライアドと、それら4種のトライアドをもとに作られる四和音のうち、通常用いられることの多いコードのことを、基本的なコードの総称として“ベーシック・コード”と言ったのは覚えているよね?

    そこで、このベーシック・コードに使われたコード・トーンにテンション・ノートを加えるとどうなるか、というのを表わしたものが【図2】だ。見てわかるとおり、なんとすべてのポジションが使えることになっているんだね。

    ということは、ここまでのことを把握しておけば、どんなに難しそうなコードが出てきても、あわてることなくベースを弾くことができる、というわけだ。例えば、【譜例3】のような“B△7(9、♯11、13)”なんてやたらややこしいコードが出てきても、あわてずにこれまでやってきたように、四和音とテンション・ノートをそれぞれ考えれば、【図3】のようなポジションの音を使ってフレーズを組み立てることができる、というわけだね。

    さて、ここまででコードの基本的なことは大体おしまいだ。次回は、これまでの解説したことをまとめた“コード総集編”をお届けしたい。ここまでのことをしっかりと把握しておこう!

    今回のまとめ:ベーシック・コード+テンション・ノート=ALL!

    ◎講師:山口タケシ
    東京都出身。小学生の頃ギターを弾き始め、中学生でバンドを作り、ベースに転向。大学在学中にCBS/SONY(当時)よリバンドでデビューした勢いで、新聞記者か小学校教師という進路を変更、親の反対を押し切り就職活動もせずにプロの世界へ。その後はバンドのライヴ活動と同時にスタジオ・ワークやツアー・サポートなどを始める。卒業後、自己のバンドや、数々のアーティストのツアー、レコーディングヘの参加とともに、『ベース・マガジン』誌への執筆や、入門書、教則CD、教則ビデオ制作といった活動も続けている。