NOTES
1996年から2020年まで24年間にわたりベース・マガジンの人気連載として掲載されていた、かわいしのぶの「ある日の絵日記」が“リターンズ”としてBass Magazine Webで連載中。今回は6月の絵日記です!
ある日の絵日記 リターンズ
第9回
6月5日、『柴田聡子 Tour 2022 “ぼちぼち銀河”』@恵比寿LIQUIDROOM。
柴田聡子inFIRE、3年ぶりの全国ツアー、初日。自慢の“ゲームセンターあらしのインベーダーキャップ(先月の日記参照)”をステージ衣装としておろす。こんなのかぶっていたら、うらやましがる人、欲しがる人、続出だよ! と思っていたが、うらやましがる人も欲しがる人もそもそも帽子に気がつく人すらなく、自分から“これね、あらしのね、”などと聞かれてもいない説明をして回る。ライヴは絶好調。
6月24日、『ケラリーノ・サンドロヴィッチ・ミューヂック・アワー2022』@新宿ロフト。
新バンド“KERA & Broken Flowers”、今宵ピカピカのデビュー・ライヴ(メンバー:KERA、田渕ひさ子、ハラナツコ、REIKO、杉山ケイティ、わたし)。齢50にしてKERAさんの新しいバンドでベースを弾くことになるなんて、有頂天のカセットブックを聴いていた中学生の私に教えてあげたい。ライブ中のMCで“有頂天”と“SUPER JUNKY MONKEY”、それぞれ“昔、お客さんがひとりも来ないライヴがあった”という話になった。あの日、池袋のライヴハウスで観客ゼロのライヴをやっている私に教えてあげたい。30年後、そんな時代もあったねといつか笑って話せているわ、と。それと、ゼロ人ではなくとも、観客の数がメンバーの人数より少ないライヴってのはいくつになっても結構ある、ということも。ライブは絶好調。
6月25日、『柴田聡子 Tour 2022 “ぼちぼち銀河”』 @仙台 FLYING SON。
ツアー5日目。楽屋のテーブルの上、牛タン弁当と並んで置かれていたのは、気仙沼のゆるキャラ“ホヤぼーや”のぬいぐるみ。ぼーやにはレコーダーが内臓されているらしく、こちらが何か話しかけると、オクターヴ上げの、妙に滑舌の良い狂気じみた声でオウム返ししてくれた。最初は“コンニチワ!”、“ボク、ホヤぼーや!”など、いかにもぼーやなやりとりで満足していたが、ふと、ぼーやの可能性を探りたくなり、“コロセ……”などという物騒な言葉を吹き込んでみたところ、ほんわかにこにこ笑顔のまま“コロセ……コロセ……ギャハー、ブゴゴー(ノイズ)”と期待以上のレスポンス、さらに絶妙なふらつきをともなった二足歩行でこちらに向かってくるパフォーマンス。ぼーやが手にしている銀色の魚ももはや剣先鋭い凶器にしか見えない。こんなぼーやに誰がした(わたし)。楽屋の盛り上がりは最高潮。ツアーは絶好調。
『ほやほやの 坊やだからさ ホヤぼーや』
【Profile】
かわいしのぶ●1971年生まれ、東京都出身。高校一年でベースを始める。1991年にSuper Junky Monkeyを結成し、1994年、ソニー・レコードよりデビュー。日本とアメリカを行き来しながら活動を続け、1999年に活動休止。2009年からは3人で活動を再開した。かわい個人は現在、大友良英スペシャルビッグバンド、柴田聡子 in FIRE、坂田明、パンチの効いたブルース&オウケストラ、プノンペンモデル、world’s end girlfriend、bikke&近藤達郎など、ベーシストとして幅広い活動を展開している。カレーが大好き。
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◎ベース・マガジン×かわいしのぶ
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