NOTES
ここでは、“ベースを始めたい!”、“ベースを始めました!”、“聴くのは好きだけど僕/私でもできるの?”というビギナーのみなさんに《知っておくと便利な基礎知識》を紹介します。第2回目のテーマは、“エレクトリック・ベースのパーツ類”。楽器選びやメインテナンスの際だけでなく、効率的に練習を進めていくうえでも役立つ知識となるはずです。
今回はベース本体の各部分の名称や役割を紹介していきます。
ボディ、ネック、ヘッド
エレクトリック・ベースは“ボディ”、“ネック”、“ヘッド”の3つの部分から成り立っていて材質はアルダー、アッシュ、メイプルなどといった硬い木材が主流です。
ボディはさまざまなパーツを固定している楽器の“本体”であり、ピッキングする(弦を弾く)位置でもありますね。ボディの形状はデザイン性も重要ですが、弾きやすく体に馴染むような工夫(※1)が凝らされています。
ネックは弦を押さえる部分であり、ネックの厚みや形状がフィンガリング(運指:弦を押さえる指を変え、音程を変化させること)のなめらかさ、つまり弾きやすさを大きく左右します。ネックの表面にはローズウッドやエボニーなどの木材による“指板(フィンガーボード)”が接着してあり、指板には金属製の“フレット”が打ち込んであります。指板はネックとは異なる木材を用いることが多いですが、ネック材が指板を兼ねるモデルもあります。
ヘッドはネックの先端部分のことで、弦を巻き上げる“ペグ”や弦を押さえつける“テンション・ピン”が付いています。
※1……ボディの形状加工には、エルボー・カット(肘が当たるボディ表面を斜めにカット)、コンター・ボディ(胸が当たるボディ裏面をえぐるようにカット)、カッタウェイ(ボディとネックの付け根を深くして高音域を弾きやすくする)などと呼ばれるものがあります。
ボディの各パーツ
ピックガード
ボディの表面には板状のプラスチックなどでできた“ピックガード”を装着しているモデルが多いですね。もともとはピックで弾いた際の引っかき傷がボディ表面につかないように保護する目的で装着されているのですが、ピックガードの有無でボディと弦の隙間が変わるので弾きやすさを左右しますし、デザイン性にも大きく関わるアイテムです。
ストラップ・ピン
ストラップ・ピンは文字どおりストラップを引っかける金具です。吊り下げるだけのもの以外にストラップ側とセットでロックしハズれにくくしたものもあります。
ジャック、ピックアップ、コントロール・セクション
エレクトリック・ベースはアンプなどの機器にシールド・ケーブルをつないで音を出す電気楽器ですが、シールド・ケーブルのプラグを挿す部分が楽器本体に搭載された“ジャック”です。
また、弦の振動を電気信号に変換するのが“ピックアップ”です。ピックアップには、構造や材質にさまざまな種類のものがあるほか、ボディのどこに取り付けるかによっても音色が変化するなど、エレクトリック・ベースのサウンドを左右する重要なパーツです。ちなみに、ブリッジ寄りに取り付けるほど硬質でタイト、ネック側ほど太くマイルドな音質になります。
ピックアップによって得られた電気信号の出力を調整するのがノブ(ツマミ)やスイッチなどの“コントロール・セクション”です。音量を決める“ヴォリューム”のほか、ノブを絞るほど高音域の成分を制限して音色をこもらせる“トーン”を搭載しているのが一般的です(※2)。
※2……複数のピックアップを搭載するモデルは各ピックアップの出力に対応する複数のヴォリュームを搭載するタイプや各ピックアップの出力バランスを調整する“バランサー”を搭載するタイプのほか、スイッチによって各ピックアップの出力を切り替えるタイプもあります。
ブリッジ
弦の一端はボディに取り付けられた“ブリッジ”に固定されています。弦を乗せているパーツは“サドル”と言います。高さや位置をネジで微調整できる機種が多いですね。
ネック、ヘッドの各パーツ
フレット
フレットはヘッド側から1フレット、2フレット……と呼び、数字の大きいフレット(つまりボディ側のフレット)を押さえて弾くほど音が高くなります。フレット数が多いほど高い音が出せるわけですが、フレット数(つまり最高フレット)は20〜24フレットが主流です。ちなみに、どこも押さえないで弾くことを“開放弦”と言います。
ポジション・マーク、トラスロッド
演奏をするときに自分が何フレットを押さえているか、そのたびに1から数えるのは手間ですよね。押さえているフレット、つまりポジションの目安になるのが“ポジション・マーク”です。ポジション・マークは一般的に3、5、7、9の各奇数フレットにあり、開放弦の1オクターヴ上となる12フレットには、目立ちやすいよう、ほかと見た目が異なるポジション・マークが付いていることが多いです。さらに15、17、19、21フレットにもポジション・マークがありますが、それぞれ3、5、7、9の1オクターヴ上の音程だと気がつくとポジションと音程の関係が把握しやすくなるでしょう。また、ポジション・マークのあるフレットの側面上側には、指板を正面から確認しなくてもフレット数を把握できるよう“サイド・ポジション・マーク”が付いています。
ネック内部には“トラスロッド”という金属棒が仕込まれていて、ネックの片端にあるネジを回すことで軽微なネックの反りを修正できるようになっています。
ペグ、ナット、テンション・ピン
弦の一端はボディに取り付けられた“ブリッジ”に固定され、もう一端はヘッドに取り付けられたペグの“ポスト”に巻き付けられており、ペグの“キー”を回すことで各弦をチューニングできます。ヘッドとネックの境目で弦を乗せているパーツは“ナット”と言います。“テンション・ピン(バー)”は弦をナットに押さえつけて弦がハズれないようにしたりチューニングを安定させたりするためのアイテムです。
今回はエレクトリック・ベースのパーツ類の基礎について解説してきましたが、いかがだったでしょうか? もちろん、ベースのモデルによってパーツ類にはさまざまなバリエーションや例外などもありますが、まずは第一歩としてここで登場したものをしっかり押さえておけば間違いないでしょう。