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    【お宅のエフェクト・ボード拝見!】#6 − 塩﨑啓示(LACCO TOWER)

    プロ・ベーシストのエフェクト・ボードをフィーチャーし、ベーシストの“最新足下事情”を徹底検証していく当連載企画。第6回は、今年バンド結成20周年を迎えたLACCO TOWERより塩﨑啓示が登場。長年の経験によって導き出されたペダル群が奏でる、個性豊かな低音の裏側を探っていこう。

    楽曲ごとにキャラクターを変える、追求されたこだわりと“実用性”

    塩﨑のエフェクト・ボード。上段が右から、フリーザトーン製JB-21(ジャンクション・ボックス)、コルグ製Pitchblack(チューナー)、CUSTOM AUDIO JAPAN製AC/DC Station VI(パワー・サプライ)。中段が右から、LINE6製Relay G70(ワイアレス・レシーバー)、EBS製MultiComp(コンプレッサー)、TECH21製サンズアンプ・ベース・ドライバーDI V2(プリアンプ )、アギュラー製TONE HAMMER(プリアンプ)、エレクトロ・ハーモニックス製MICRO Q-TRON(エンヴェロープ・フィルター)、ボス製BF-2(フランジャー)、プロビデンス製ANADIME CHORUS(コーラス)。下段が右から、ダークグラスエレクトロニクス製Microtubes B7K(プリアンプ)、同Alpha・Omega(プリアンプ)、フリーザトーン製ARC-3(ルーティング・コントローラー)、Creation Audio Labs製MK.4.23(ブースター)。

     歌謡曲を彷彿させるメロディ・ラインと重厚なロック・サウンドを融合させた独自の世界観で人気を博すLACCO TOWER。結成20周年を迎えたそのサウンドをベーシストとして支え続ける、塩﨑啓示のこだわり深い足下を検証していこう。

     ベースからの信号はまずLINE6製Relay G70(ワイアレス・レシーバー)を経由し、ボード右下に並んだダークグラスエレクトロニクス製Microtubes B7K(プリアンプ)、同Alpha・Omega(プリアンプ)へと接続される。両機の用途としては、基本的にMicrotubes B7Kはかけっぱなし、楽曲によってAlpha・Omegaを加えるなど、同時に使用することもあるようだ。“Alpha・Omegaは歪み成分をプラスするようなイメージで、エッジの効いた速いビートの曲とかで踏むことが多いです”。昨年12月にリリースされたフル・アルバム『青春』収録の「青春」などで、この攻撃的なサウンドを聴くことができる。

     続いて信号はフリーザトーン製ARC-3(ルーティング・コントローラー)へと入り、ここから各エフェクターへと分岐。なおARC-3はバンク分けやプログラミングなどはしておらず、シンプルにスイッチャーとして使用しているとのことだ。EBS製MultiComp(コンプレッサー)はスラップ時やベース・ソロなど、場面ごとに使うこともあれば、一曲を通して踏みっぱなしで用いられることもある。その左に並んだ、TECH21製サンズアンプ・ベース・ドライバーDI V2、アギュラー製TONE HAMMERという、ダークグラスと併用されるふたつのプリアンプにもこだわりが込められている。まずサンズアンプ・ベース・ドライバーDI V2に関しては、“「サンズアンプっぽさ」を出したいときに踏んでいます。サンズアンプって唯一無二というか、僕にとっては不可欠な存在。LACCO TOWERの20年の歴史のなかで、12年くらいはずっとコイツがメインだったので、過去の曲をやる際に必須なんですよね”。と語る。コントロールの設定としては、プレゼンスやミッドの塩梅のほか、シャリシャリになり過ぎないようロー感のバランスに気をつけているとのことだ。TONE HAMMERは、曲間など、一発で大きく鳴らす際にゲインを上げてブースターのようなイメージで使用している。“曲間のつなぎとか、全弦開放でバーンと鳴らすこともあるので、そういうときに迫力を出せるように使っています”。

     続いて飛び道具であるエレクトロ・ハーモニックス製MICRO Q-TRON(エンヴェロープ・フィルター)は、長尺のベース・ソロなど、フレーズを目立たせる際に使用される。ボス製BF-2(フランジャー)はプロビデンス製ANADIME CHORUS(コーラス)と併用することもあり、波のようなイメージの揺れ感を作り出せるとのことだ。これまでいくつものコーラスを使用してきたという塩﨑だが、ANADIME CHORUSの魅力に関して”ツマミがふたつしかないシンプルな作りなんですけど、すごく芯があって音ヤセもしないんです“と語る。下段左端の鏡面筐体はCreation Audio Labs製MK.4.23(ブースター)で、主にギター用ペダルだが、試しに導入してみたところうまくハマってくれたとのこと。 “ハーモニクスとか、一瞬だけブーストさせたいときに重宝しています。TONE HAMMERはフレーズ全体、MK.4.23は一音だけをブーストさせるイメージですかね。ひとつしかツマミがなく、数ミリズレただけでも効果が大きく変わってしまうので、扱いには気をつけています”。

     以上のペダルを介したARC-3の信号は、最後に上段右端のフリーザトーン製JB-21(ジャンクション・ボックス)を経由し、アンプへと送られる。なおコルグ製Pitchblack(チューナー)は、ARC-3のチューナー・アウトから接続されている。

     本ボードの今後について塩﨑は、“昔から使っている「この子だけは離したくない」っていうのがサンズとコーラスで、それ以外の部分は浮気してもいいかな(笑)。今はダークグラスに代わるプリアンプを探しているんですけど、ベーマガを読んだりして、最新機材の動向は常にチェックしています“と語る。20周年を迎えた彼らの低音が今後どのように進化を遂げていくのか、注目していきたい。

    Pick up!

    通常時にはボードからはみ出しているコルグ製Pitchblack(チューナー)は、ボードの蓋を閉める際には、45度回転させてボードの枠内に収納できるよう、板の上にペダルを配置している。

    直列に並んだダークグラスエレクトロニクス製Microtubes B7KとAlpha・Omegaのふたつのプリアンプがサウンドの要となっている。“基本的にダークグラスありきで音作りしています。最近はみんな使っていますけど、この上質なサウンドはやっぱりいいですよね”。

    ◎Profile
    しおざき・けいじ●群馬県伊勢崎市出身。2001年に上京し、前身バンドを結成。2002年にLACCO TOWERとして初ライヴを行なう。2013年には塩﨑が代表取締役となり“株式会社アイロックス”を設立し、2014年には群馬県音楽センターにてロックフェス“I ROCKS 2014 stand by LACCO TOWER”を主催し、そののち、9年連続の開催を果たしている。2015年にメジャー・デビュー。2022年12月7日にCD4枚組、全50曲を収録したベスト・アルバム『絶好』をリリースする。

    ◎Information
    LACCO TOWER:HP Twitter YouTube
    塩﨑啓示:Twitter