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YUKKEが所有する6本の愛器〜MUCC『1997』の低音世界を支えるベースたち
- Text:Takayuki Murakami
- Photo:Takashi Hoshino
MUCCの最新アルバム『1997』では、これまで以上に多彩なベース・サウンドが展開されている。その背景には、YUKKEによる新たな楽器の導入に加え、長年愛用してきたモデルを改めて見直す動きもあった。本記事では、レコーディングやツアーで実際に使用されている6本のベースを一挙に紹介。ギブソン・サンダーバードをはじめとした個性豊かなラインナップから、“YUKKE流サウンドメイク”の真髄が見えてくる。

▼『1997』の制作背景を語ったインタビューはこちら▼
YUKKE’s Basses
Gibson / Non-Reverse Thunderbird
YUKKEが『1997』から新たに導入した1本。伸びやかなデザインとハムバッキング・ピックアップならではの重厚かつ粘りのあるトーンの組み合わせは非常に魅力的。新しいモデルでいながらマホガニー・ボディー/ネック、ローズ指板、34インチ・スケールなど、トラディショナルな仕様がそのまま継承されていることも見逃せない。『1997』では「空っぽの未来」、「△(トライアングル)」、「蒼」、「October(2025 Remaster)」などで使用されていて、これまでのYUKKEとはまた一味異なる魅力を湛えたベースを味わえる。
Sadowsky / NYC Vintage 5st
サドウスキー最上位シリーズ“NYS”の5弦タイプ。YUKKEが2004年に本器を購入した当初は思うように鳴らすことができなかったが、ここにきてストレスなく弾けるようになったとのこと。広レンジかつリッチな質感のトーンを筆頭に、ハム・キャンセリング・ピックアップ搭載、アクティヴ/パッシヴ切替が可能、ハイエンド・モデルにふさわしい品質の高さなど注目点は多い。今回のレコーディングでは「愛の唄」や「不死鳥」「桜」「Daydream Believer」などで活躍した。

Warwick / Streamer LX JAZZMAN
SHレイアウトの採用により繊細かつメロウなトーンからパワフルなドライブ・サウンドまで、多彩な音色をクリエイトできる1本(ハムバッカーはコイルタップ可能)。バーサタイルなトーン特性に加えて、人間工学に基づいたデザインによる快適なフィット感やフィギュアド・メイプル材やゴールド・ハードウェアなどが醸し出すリッチな味わいも魅力。『1997』では「蜻蛉と時計」や「invader(2025 Remaster)」「Guilty Man」といったラウド・チューンで使用されている。
Warwick / Streamer Stage 1 5st.
Warwickのフラッグシップを担うStreamer Stage 1の5弦ヴァージョン。厚みと音抜けの良さをあわせ持った上質なトーンは汎用性も高く、ジャズからヘヴィネス系まで、ジャンルを超えて多くのプレイヤーに愛用されている。本器はヘッド裏に“#2”と描かれていることからわかるように、以前はサブ・ベースだった個体がメインに昇格したらしい。『1997』では使用されなかったようだが、Streamer Stage 1は長年にわたってYUKKEが弾いてきているモデルだけに、ツアーではどんな役割を果たすのかが楽しみだ。
MOON GUITARS / JJ4
『1997』に収録されている「Round & Round」で使用されたMOON GUITARS / JJ4。本器は厳選されたマテリアルの使用や“2Vol/2バンドEQ”仕様によるトーン・バリエーションの広さ、優れた演奏性、MOONならではの高精度な作り込みなどを備えた非常に上質なモデルで、ラリー・グラハムやヴィクター・ベイリー、ダリル・ジョーンズといった名だたるプレイヤーが愛用したことでも知られている。YUKKEが古くから使用し続けているベースだが、今後もまだまだ活躍することを予感させる1本だ。
Fender / American Professional II Precision Bass
YUKKEが『新世界』(2020年)の制作時に入手したプレシジョン・ベース。1960年製のプレベを忠実に再現したモデルで、アルダー・ボディ、メイプル・ネック、スラブ・ローズウッド指板といったウッド・マテリアルはもちろん、ボディやネックなどのシェイプもオリジナルと同様になっている。トーンも上質で、今回のレコーディングでは「LIP STICK」と「Boys be an Vicious」で使用。ハイ・クオリティなプレベならではの太くて弾力感のある良質なトーンを堪能できる。
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