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“スラップがうまく鳴らない”と悩むビギナーさんへのアドバイス<後篇>【ベース初心者のための知識“キホンのキ”】第44回
- Text:Makoto Kawabe
この連載では、“ベースを始めたい!”、“ベースを始めました!”、“聴くのは好きだけど僕/私でもできるの?”というビギナーのみなさんに《知っておくと便利な基礎知識》を紹介します。今回も、スラップに悩みビギナーさんたちに向けた回です!
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楽器のセッティングがスラップの難易度を左右する
これについてはスラップの過去記事でも書いていますが、スラップは弦がフレットに当たることで初めて成立するので、シンプルに弦高の高いベースほどスラップは鳴りにくいです。
ビギナーの皆さんは自分の楽器が適切なセッティングなのか、弦高が高いのか低いのか、判別する術を持ち合わせていないことがほとんどです。人間の身体と同じように、自分は問題ないと思っていてもプロが診断すると大いに問題があることも多いのです。
そのような観点から筆者のレッスンでは早い段階で自分の楽器を持参していただくことを推奨しています。読者の皆さんにも、自分の楽器は定期的に信頼のおけるリペアマンに診てもらうことを強くおすすめします。

ハンマリングやプリングなど、左手のテクニックを併用しないと成立しにくい
指弾きには人差指/中指、ピック弾きにはアップ/ダウン・ピッキングといった複数の弾き分けがあるため、同音を連続して弾くフレーズ(連打)にも対応しやすいです。一方スラップはサムピングとプルでは若干音色が異なりますし、やや特殊な奏法であるサムピングのアップ/ダウンにしても音色を揃えるのが難しいです。そのため、スラップでは同音を連続させるフレーズは少ない傾向にあります。
そういった意味合いもあり、スラップ・フレーズはハンマリングやプリング、スライドといった左手のテクニックを併用して成り立っているものが多いです。スラップ特有のフレーズをマスターしたいなら左手のテクニックがマスト、というわけです。
フィンガリングは“弦を押える”とか“表情を付ける”など、演奏の準備段階や事後処理といった“発音タイミングそのものに直結しない動作”がおもな役割ですが、スラップの場合は左手によるゴーストノート(パーム・ミュート)を筆頭にハンマリングやプリング、スライドなど、発音タイミングに直結する動作を多用します。
スラップは“右手だけでなく左手でもピッキングする”奏法ともいえますね。実際のところ、スラップは両手を使う打楽器に似た奏法という側面もありますし、指弾きやピック弾き以上に左手のリズム管理が不可欠なのです。
スラップは手癖フレーズが多い
前提としてカッコいいスラップ・フレーズは音数が多く複雑ですし、右手と左手のコンビネーションによって成り立つものが多いですね。
左右のコンビネーション・フレーズを習得するにはまず演奏手順を理解する必要がありますが、それらの多くは頭で考えて作られたものよりも体が勝手に動いてできたもの、日々の練習のなかで編み出されたもの、平たく言うと“手癖フレーズ”の延長線上にあるものも多いのではないかと筆者は思います(もちろん、良く練られたフレーズもありますが)。
自分の手癖フレーズは楽勝ですが、他人の手癖フレーズは手順を理解するのに時間がかかることも多いです。そういった面でスラップの難易度が高く感じることも多いのではないかと思います。
スラップをフィーチャーした楽曲はそもそも難易度が高い
軽快なスラップをフィーチャーした楽曲はフレーズが複雑でテンポが速い傾向があります。テンポが速くて複雑なフレーズはそもそも演奏の難易度が高いことは言うまでもありません。
こういったフレーズを演奏するにはまずテンポを落として手順を理解し、根気強く練習を重ねて習得するほかないと思います。その過程では客観的な視点(つまり録音や録画)で演奏フォームや音色の完成度をチェックし、必要に応じて早い段階で修正を加えるのが上達への早道かと思います。
ちょっと愚痴になってしまいますが、スラップがかっこよくてビギナーでも弾きやすい簡単な楽曲ってなかなか見つからないんですよ。あったら紹介してほしいくらいです。
最後に
ここまで読んで頂くと、「ビギナーにスラップは無理か」と思われてしまうかもしれませんが、スラップをキッカケにベースを始めたビギナーさんの希望を失わせるわけにはいきません!
無理ではないです。とはいえ“スラップは簡単です!”と書くのは気が引けます。基礎技術が大事です。すぐにできる人/できない人、すぐにコツが掴める人/掴めない人がいるのは世の常です。簡単にできる人には簡単ですし、難しい人には難しいです。スラップができても、できなくても、ベースが好きで楽しかったら正解です。
◎講師:河辺真
かわべ・まこと●1997年結成のロック・バンドSMORGASのベーシスト。ミクスチャー・シーンにいながらヴィンテージ・ジャズ・ベースを携えた異色の存在感で注目を集める。さまざまなアーティストのサポートを務めるほか、教則本を多数執筆。近年はNOAHミュージック・スクールや自身が主宰するAKARI MUSIC WORKSなどでインストラクターも務める。
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