NOTES
“約3分”でベース上達にまつわるさまざまなトピックを解説するYouTube動画連動の連載『石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜』。第164回は指弾きの“右手動作の基本”について、“NG動作”を紹介しながら解説していきます。
指弾きの“動かし方”の基本動作を解説
NGの動作をやっていませんか?
指弾きで“指がうまく動かない”、“リズムが崩れる”、“すぐ疲れる”、“太い音色が出ない”などの課題を抱えている人はけっこういます。
原因はもちろん人それぞれですが、今回はよく見かける問題点をひとつ取り上げます。それは、“指の動かし方”そのものに問題があるケースです。“指をどう動かすか”というのは指弾きの基本中の基本です。もし、その基本に問題があったら、当然、指弾きにまつわるすべてに影響があります。
ということで、ビギナーも、ある程度の経験者も、これから示す指の動かし方をしてしまっていないかどうか今すぐチェックしてください。
自分の指の動作をチェック
まず【譜面1】をBPM=60で弾いて、自分の指の動作をチェックします。「普段の弾き方」をチェックしたいので、“ちゃんと弾こう”などとヘンに意識せず、何も考えずにいつもどおり弾いて、それをスマホなどで動画に撮ってください。
自分の正面から手の甲に向けて撮るのではなく、ネックのほうから親指側に向けて撮影します。
では、右手の指がどう動いているか、それぞれの関節に注目して動画を確認してください。
指弾きのNG動作
写真1のように、第一関節(指先に一番近い関節)と第二関節をメインにして動かしていませんか? あるいは、弾き終わった指が楽器本体から離れていくベクトルで動かしてませんか?

特に、弦移動をするときに肩・ヒジ・手首は動かさずに指だけで対応してしまっている人の場合、1~2弦はともかく、3~4弦あたりでこの動かし方になってしまっていることが多いです(写真2)。

もしそうだとしたら、それはNG動作です。当てはまっていた場合は、この機会に根本的に見直しましょう。
指弾きの正しい基本動作
写真3のように、指は根元から動かすのが基本です。つまり、指弾きでメインに使うのは第三関節(指の付け根)です。もちろん、それに付随して他の関節も動きますが、あくまでもメイン・エンジンは第三関節です。

NG動作と基本動作の違いの確認
試しに、ベースは弾かずに指だけを動かしてみましょう。
まず、パーの状態からゆっくりグーにしてください。すると、指はまず第二関節から動き、第一関節も曲がり初め、最後に第三関節が曲がっていきます(写真4)。

この握り込む動作だと、指の先端が手のひらに向かって行きます。指弾きで使うのはこの動作ではありません。ちなみに、第一関節と第二関節を動かす筋肉は、おもに前腕にあります。
今度は、親指とそれ以外の4本指で何かを挟む動作をしてください(写真5)。

すると、指が根本(第三関節)から力強く動くのがわかりますよね。そして、第二関節は付随して動きますが、第一関節はあまり動きません。指弾きで使うのはこの動作です。
この挟み込む動作だと、手のひらに向かって行くのは指の先端ではなく指の腹です。挟み込む動作のバージョン違いで、親指は使わずに横に出しておいて、4本指を手のひらに打ち付けて音を出すような動作もやってみましょう(写真6)。

これだと挟み込む動作に比べて第二関節がかなり動きますが、それでもメイン・エンジンは第三関節です。ちなみに、この第三関節を動かす筋肉は、手の平にある虫様筋という筋肉です。
これらを念頭に置いて、指弾きの動作を見直してください。とはいえ、身についてしまったクセというのはなかなか取れないので、どうしても今まで通りのNG動作で弾いてしまう、ということも多いでしょう。
そういう場合は、ベースを弾く前に、手だけで先ほどの挟み込む動作をしばらく繰り返してウォーミング・アップして、その動作をそのまま指弾きに当てはめる、という順番で取り組むと良いでしょう。
このように指の動作を見直して、指弾きをレベル・アップさせていきましょう。
石村順でした!
▼ 今回の動画はこちら ▼
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石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。
◎Information
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