NOTES
“約3分”でベース上達にまつわるさまざまなトピックを解説するYouTube動画連動の連載『石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜』。第156回は、“音抜けの悪さ”を改善”する左手のテクニックについてレクチャーしていきます!
なぜベースの音が抜けてこないのか?
あなたのベースの音が抜けて聴こえて来ないのは、◯◯◯のせいかもしれません。
ライヴ/レコーディング/リハといったバンド・サウンドのなかで、“ベースの音がイマイチ抜けてこない、聴こえづらい”というのは、“ベーシストあるある”というか、よくある悩みですよね。
これにはベーシスト本人がなんとかできる原因と、ベーシストだけではどうにもできない原因がありますが、ベーシスト本人が対応すべき原因のひとつとして“開放弦が共鳴して音が濁っている”場合があります。
なかでも今回取り上げたいのは、適切にミュートしていないせいで、“高音側の開放弦”が共鳴して音が濁るケースです。
余弦(弾いていない弦)ミュートをせずに3~4弦あたりを弾くと、高音側の開放弦が共鳴します(写真1)。
この状態でフレーズを弾くと、気づきにくいかもしれないけど、ちゃんと余弦ミュートをした場合と比べると音がクリアではなくなります。

低い音域で和音を鳴らすと濁って聴こえてしまう。
あらゆる楽器に共通の現象として、一定以下の低い音域で和音を鳴らすと、(協和音であっても)濁って聴こえます。
つまり、一般的なベース・ラインがカバーする音域(ロー・ポジション)ではそもそも和音が濁る傾向にあります。
そのうえ、開放弦が共鳴した状態でフレーズを弾くと、フレーズの音と開放弦の音が不協和音になる場合もあり、そうするともっと濁って聴こえます。
その結果、アンサンブル内での音の抜けが悪くなります。複数の開放弦が同時に鳴ってしまうとさらに音が濁ります。
まぁそもそも、音が濁る問題以前に、自分が望んでいない音(意図していない音)が勝手に鳴っていること自体がちょっとどうなんだ、という話ではあります。
それでいうと、余弦ミュートをしていないことで、“本来は休符”の場所で開放弦が鳴ってしまう症状もよく見かけます。これはこれで、音が濁るのとは別の意味で絶対に直したほうがいいです。
高音側の開放弦を左手で適切にミュートする方法
ということで今回のテーマは、高音側の開放弦を左手で適切にミュートする方法です。
高音弦側というのは、2弦を弾いているときの1弦、3弦を弾いているときの1弦&2弦、4弦を弾いているときの1弦&2弦&3弦のことですね。
まずは、4弦を弾いて1弦&2弦&3弦の開放弦をミュートするケースで説明します。
ほかのやり方もあるかもしれませんが、僕の場合は、左手の人差指を使います。
4弦を人差指の指先で押弦したら、第一関節や第二関節のあたりの指の腹というか指の側面あたりで1~3弦に軽く触れてミュートします(写真2)。

写真3のように、指を無理にまっすぐにする必要はありません。写真2のように、リラックスして自然なアーチを描いている状態でミュートします。

3弦を押弦しているとき(写真4)や2弦を押弦しているとき(写真5)も、同じようにして高音弦をミュートします。


では、人差指以外で押弦しているときはどうするかというと、人差指は指板から浮かせずに弦に触れた状態で残しておきます。常にこうしておくことで、今押さえている弦より高音弦側の開放弦が共鳴する可能性はかなり低くなります。
これを基本として、ほかのミュート・テクニックと組み合わせれば、開放弦が共鳴する問題は解決していきます。余弦ミュートをマスターして、よりクリアで抜けの良いベース・サウンドを身につけましょう! 石村順でした。
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石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。
◎Information
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