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    【有料会員】YUKKEがMUCC最新ツアーで使用するエフェクター・ボード & ラック・システム

    • Text:Takayuki Murakami
    • Photo:Takashi Hoshino

    最新アルバム『1997』の制作を通して、YUKKEはさまざまな機材を新たに導入。その流れはツアーのサウンド・システムにも引き継がれ、エフェクターやアンプまわりには細かな見直しやアップデートが施されている。従来の構成をベースにしつつも、ノイズ対策や解像度の向上といったポイントに変化が現われており、ライヴにおける表現力にも注目が集まる。本記事では、最新ツアーで使用されているエフェクター・ボード、ラック・システム、アンプ&キャビネットを紹介する。

    MUCC YUKKE プロフィール写真
    YUKKE(MUCC)

    ▼『1997』インタビューはこちら▼

    ▼使用ベースの紹介はこちら▼

    現在YUKKEが使用しているエフェクター・システムは従来の形を引き継ぎつつFree The Toneの林幸宏氏によるアドバイスの元に組み替えが行なわれた最新ヴァージョンになっている。

    今回のリニューアルによりノイズが軽減するとともにベース・サウンドの解像度が明らかに向上し、指弾きのニュアンスの伝わり方もより鮮明になるなど、その効果は絶大だったようだ。

    そのことを踏まえて、まずはエフェクター・ボードから見ていこう。

    Effectors

    YUKKE エフェクター・ボード①
    YUKKE エフェクター・ボード②
    YUKKEの足下のボード(上写真)と、テックが操作するメイン・ボード(下写真)がリンクしている。

    ボードにセットされているのは上段左からFree The Tone / JB-82C(シグナル・ジャンクション・ボックス)、API / TranZformer LLX(プリアンプ/EQ)、Darkglass Electronics / Kaamos(オクターバー/ディストーション)、Free The Tone / PHV-1(フェイズ・インバーター)、KES / KIP-001(パワー・サプライ)、6 Voodoo Lab / Pedal Power 2 Plus(パワー・サプライ)。

    注目といえるのはFree The Tone / PHV-1を使用していることだ。同機はエフェクターやアンプの位相を反転させるもので、入力された信号の位相が正相の場合は逆相にし、逆相の場合は正相に変換し出力する。あまり耳に馴染みのない本機を採用していることからもYUKKEのベース・サウンド向上に対する意欲が感じられる。

    中段は左から、Zoom / MS-60B(マルチ・エフェクター)、amechanger Audio / Plasma Pedal(ファズ)、Electro-Harmonix / Bass Mono Synth、Darkglass Electronics / Vintage Ultra(プリアンプ/オーバードライブ)、Commuen / SENTURION CRAZY BOOSTER(ファズ)、Tech 21 / SansAmp Bass Driver DI(プリアンプ)。

    MS-60Bはコーラスのみ使用しており、Commuen / SENTURION CRAZY BOOSTERはアップライト・ベース用で、「FUZZ」を演奏する際に使用している。

    下段は左から、Sonic Research / Turbo Tuner ST-200(チューナー)、Free The Tone / ARC-3(スイッチャー)、Darkglass Electronics / Vintage Ultra。Vintage Ultraが2台あるのは中段のものは強めの歪みで、下段のものはさらに強い歪みにセッティングされている。ちなみに、ドライブ・エフェクターをゲインが低いほうから言うとSansAmp Bass Driver DI、中段のVintage Ultra、下段のVintage Ultra、Plasma Pedalとなる。

    Rack System

    YUKKE ラック・システム

    続いて、ラック内にはDRAWMER / DUAL GATE DS201(ノイズ・ゲート)、ORIGIN EFFECTS / Cali76(コンプレッサー)、Free The Tone / BASS BOOSTER(ブースター)、Free The Tone / PA-1QB PROGRAMMABLE ANALOG 10 BAND EQ(イコライザー)、Free The Tone / INTEGRATED GATE / IG-1N(ノイズ・リダクション/ノイズ・ゲート)BOSS TU-2(チューナー)をセット。

    PA-1QBは最大99種類のセッティングをメモリーすることが可能で、YUKKEは本機を使ってそれぞれのベースに合わせた基本的なEQの呼び出しや、ベースごとに差がある出力レベルの均一化などを行なっている。

    YUKKE ラック・システム

    ラック下段にあるのはミキサーSSL SiXとアップライト・ベース用のRUPERT NEVE DESIGNS / Portico 5017(プリアンプ/DI/コンプレッサー)。ベースのシグナルはミキサーでアンプ・ヘッドとPAへのライン出力に分けられ、アンプのほうはORANGEのキャビネットに入力される。

    YUKKEはそれぞれのエフェクターを楽曲や曲中のシーンなどに細やかに使い分けているが、API / TranZformer LLXとORIGIN EFFECTS / Cali76は常にオンにして演奏している。

    YUKKE ラック・システム
    YUKKE ラック・システム 棚

    Amplifier

    YUKKE アンプ・キャビネット
    YUKKE アンプ・ヘッド

    ベース・アンプはラック中段にセットされているGALLIEN-KRUEGER / Legacy 500(アンプ・ヘッド)を使用。モダンな質感のラウド&クリアーなサウンドに加えてベース/ロー・ミッド/ハイ・ミッド/トレブルという4バンドEQを生かしたフレキシブルな音作りが行なえることや、アンプ単体で強力なドライブ・トーンが出せることなどが特色といえる。

    今回のツアーに向けてチョイスされたのはGALLIEN-KRUEGER / Legacy 500だが、『1997』のレコーディングではYUKKEは数機種のアンプを使用した。

    Legacy 500の音が聴けるのは「桜」や「Guilty Man」「空っぽの未来」などで、「蜻蛉と時計」「Boys be an Vicious」「不死鳥」「△(トライアングル)」「蒼」などではAMPEG / SVT-2 PROを使用。「B&W」「LIP STICK」「October(2025 Remaster)」はAcoustic / B3 Collaboration Seriesで、「Round & Round」はTRACE ELLIOT / AH250。より音楽性の幅を広げた『1997』に合わせて、丁寧なアンプ・チョイスを行なったことがうかがえる。

    ライヴで使用するキャビネットはORANGE / OBC410C。多弦ベースの重低音域でも音が潰れたり、濁ったりすることがない優れた音響特性とクラシカルなルックスのマッチングが魅力的な1台だ。

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