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【BMG連載】まきやまはる菜インタビュー【前半】〜ブラック・ミュージックへの目覚めとバークリーで学んだこと
- Interview:Hikaru Hanaki
- Photo:Chika Suzuki
- Logo Design:Tako Yamamoto
セッション・シーンで活躍するベーシストの舞台裏に迫る、BMG(Behind the Masterful Groove)連載。記念すべき第1回には、ジャズやソウル、R&Bをルーツとしたグルーヴィなプレイで20代の新星ながら一気にシーンに躍り出た、まきやまはる菜が登場。
マハラージャン、木村カエラ、ビッケブランカ、柴田聡子などの作品やライブで活躍する彼女に、ベーシストとしての歩みやプレイの哲学などを語ってもらった。
連動動画では使用機材を本人が解説。気鋭セッション・ベーシストの機材事情は必見だ!
ミシェル・ンデゲオチェロが自分のベース・ヒーロー。
——ベースを始めたのはいつですか?
ベースを始めたのは10歳のときです。小学校の部活でジャズのビッグ・バンドから始めました。もともとは吹奏楽部だったんですけど、映画の『スウィングガールズ』(2004年)が流行ったときに、先輩たちが“こういうのがやりたい”と言って、当時の顧問の先生が地元のビッグ・バンドでトランペットを吹いていたこともあり、ビッグ・バンドになったそうです。
——そのなかでベースを選んだ理由は?
入るときは楽器のことは何も考えてなくて(笑)。みんなより1日遅れて入部しちゃったから、ベースとチューバだけが余っていて、私は体が小さいのでチューバは多分潰されちゃうねって言われて、エレキ・ベースを手に取りました。
——それまで音楽経験はあったんですか?
それがまったくなくて。家族も一切音楽はやらないし、自分もずっと茶道と空手をやっていて、音楽とは本当に無縁のところで生きていたんです。きっかけは当時の音楽の先生とすごく仲が良くて、音楽室に遊びに行くと楽器に触らせてくれたりして、それで吹奏楽部に入りたいと思ったんです。
——ほかにどんなベーシストが好きでしたか?
中学生の頃はジャコ・パストリアスやポール・チェンバース、ロン・カーターなど、高校あたりはミシェル・ンデゲオチェロ、ポール・ジャクソン、スタンリー・クラーク、マーカス・ミラーなどをよく聴いて憧れていました。
——まきやまさんといえば5弦のイメージもありますが、4弦ベースから始めたんですか?
小学校のときは、学校にあったスピーカー内蔵のいわゆる“ぞうさん”ベース(フェルナンデス製ZO-3)と、初めて買ってもらったヤマハの4弦ベースを弾いていました。中学に入ると、ワーウィックの赤い5弦ベースを新たに買ってもらいました。今となってはなぜかわからないのですが“絶対5弦ベースが欲しい!”って思っていて、それは大学までずっとメインで使っていました。
せっかくアメリカにいるならリズムを勉強するべきだなと思ったんです。
——実際にバークリーに行ってみて、どうでしたか?
全然世界が違いましたね。世界各国から音楽を学ぶっていう目的のために集まってきた人たちなので、それまでの小中高とは生徒たちの意識も当然違いました。その感覚が不思議だったし、やっぱり全員演奏のレベルがめちゃくちゃ高くて。すごくワクワクもしたけれど、挫折を感じたりもしました。
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——バークリーではジャズを学んだのですか?
当時の私は自分がやりたい音楽のヴィジョンもまだざっくりとしていたので、一回雑多に学んでみようと思って。バークリーはジャズが有名だけど、実はラテン方面とかもすごく強いから、“まずはリズムから学ぶか”と思ってラテン音楽を専攻したりしていました。
——バークリーに行って、リズムに興味が出たっていうのはおもしろいですね。
そうですよね。当時ラテン系の友達が多くて、彼らは演奏中の体の動きとかリズムの取りかたが自分とは違っていたので、それにすごく興味が湧いて。日本ではまず触れられないところだからこそ、せっかくアメリカにいるならリズムを勉強するべきだなと思ったんです。ニューヨークに行ったときも、ラテンのライヴハウスにセッションに行ったりして。とにかくリズムを浴びまくったアメリカ時代でした。
——影響を受けた先生はどんな人ですか?
大学ではフェルナンド・ウェルゴとオスカー・スタグナーロというラテンのベーシストからたくさんのことを教わりました。あとは大学外で受けた影響もめちゃくちゃ大きくて。アメリカのライヴハウスは著名なアーティストとの距離も近いので、終演後に片づけをしているミュージシャンに連絡先を聞いて個人レッスンをお願いしたりもしていたのですが、そのなかで出会ったのがマイク・スターンのバンドでベースを弾いているトム・ケネディでした。彼には技術的な面だけではなく、人生観など、今自分が大切にしていることをたくさん教えてもらいました。彼が一番の師匠かもしれないですね。
——いわゆるジャズのテクニカルなプレイに興味を持った時期はありましたか?
ありました! アドリアン・フェロー、フェデリコ・マラマン、マイケル・ピポキーニャ、ジャコ・パストリアスなどのテクニック系にハマっていました。学生時代やコロナ禍は練習しまくっていて、 ソロやベース・ラインのコピーをして、分析したりしていました。それこそ学生の頃は、ベーマガで織原良次さんが連載していたジャコ・パストリアスの基礎練を印刷してずっと練習していました。あの連載は今の私の基礎練のベースになっていますね。
HARUNA MAKIYAMA TRIO 「I Mean You」
(Thelonious Monk/Arranged by Haruna Makiyama)
▼ 後半に続く:ジャズからポップスの世界へ ▼
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※本記事は『ベース・マガジン2024年5月号』のコンテンツをWEB用に再構成したものです。