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【第110回】[全楽器が対象]16分音符の苦手意識を克服するコンセプトとエクササイズ 石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜
- Text:Jun Ishimura
16分音符が苦手な人、結構いますよね。その苦手意識を克服していきましょう!
16分音符が苦手だと感じる原因のひとつに“16分音符に関する間違った思い込み”があります。
【16分音符に関する間違った思い込み①】16分音符は速い
“16分音符は速い”と思っていませんか? 確かに“同じ曲の4分音符”と比べたら16分音符のほうが“速い”ですが、16分音 符はどんなときも速いのかといえば、必ずしもそうとは限りません。それはテンポによります。たとえば、BPM60の16分音 符は、BPM240の4分音符と同じです。テンポを落とせば16分音符だってゆったりしているのです。
【16分音符に関する間違った思い込み②】16分音符は難しい
“16分音符は難しい”と思っていませんか? たとえば、BPM130の曲で16分音符がたくさん出てきたら、人によっては弾けなくて“難しい”かもしれません。でも、先ほども言ったようにテンポを落として練習すればそれほど難しくないので、いきなりBPM130で練習するのではなく、ゆっくりのテンポから練習してだんだん速くしていけば良いわけです。経験上、難しいと思い込むと実際以上に難しくなります。同じ練習をするのでも、“難しい”“できなさそう”と感じながらやるのと、“簡単”“できる”と信じて取り組むのでは結果が違ってきます。
【16分音符に関する間違った思い込み③】16分音符は1拍を4分割したもの
16分2個目とか4個目の位置が曖昧なまま適当に弾いていませんか? “16分音符の位置がわかりづらい”としたら、それは名前につられて“16分音符は4分音符を4分割したもの”と思い込んで演奏しているからかもしれません。それで良いリズムで演奏できるならいいですが、そうならない人が多いです。そういう人は、“4分音符を基準にして、4分割すると16分音符”という認識から180度転換して、“16分音符を基準にして、4個つなげると4分音符(2個つなげると8分音符、3個つなげると付点8分音符)”と捉えて演奏することで、16分音符ひとつひとつの位置と長さがよりはっきりします。
この3つの思い込みをなくして新たな認識を身に付けるのに、良い練習をひとつ紹介します。まず次の譜面を弾いてみましょう【ex.1】。
各音符の位置は下記のようになっています。
このままだと音符の位置がはっきりしない、という人はまず休符を16分のゴースト・ノートに置き換えて練習します【ex.2】。
これで音符の位置がだいぶはっきりしますが、まだ“速い”“難しい”と感じる場合はテンポを落としましょう。これで“ゆったり”“簡単”な感じになります。それでもまだ“難しい”場合は、譜面を4倍の音価で書き直します。つまり、元の16分音符を4分音符に変換して書き直すことで、4分音符だけの譜面になります【ex.3】。元の1小節パターンが4小節パターンになります。
これは超簡単に見えますよね。これをたとえばBPM150で練習すると、演奏も簡単だと思います。
これに慣れたら、ゴースト・ノートを休符に戻して練習します【ex.4】。元の譜面を見ながら弾くよりだいぶ簡単です。
【ex.4】と【ex.1】を交互に見て演奏すると、16分の譜面を見ていても簡単に感じてくると思います。
このように、16分音符が難しいと感じるときは一手間かけて4倍の音価の譜面に書き直して練習することで、“速い”“難しい”という呪縛を逃れることができます。石村順でした!
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石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。
◎Information
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