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【本誌8月号連動】奏法特集特別版ー“ベース二重奏”の可能性②『兼子拓真×二家本亮介』
- Movie:Kenji Kawamura
- Photo:Hiroki Obara
- Interview:Koji Kano
現在発売中のベース・マガジン2023年8月号【SUMMER】では、奏法特集の特別版として、2本のベースによる“重奏=アンサンブル”の魅力を検証する『“ベース二重奏”の可能性』を展開している。
本特集では、トップ・ベーシストが本企画のために特別ユニットを結成し、ベースの重奏を楽しめる完全新規の書き下ろし音源を制作。本誌では楽曲制作の裏側からプレイのポイントなどを語った対談のほか、楽曲の譜面も掲載しているが、BM Webでは『兼子拓真×二家本亮介』が本特集のために制作した音源「Weave」に加え、演奏を再現したプレイスルー動画を公開。また、本誌には入り切らなかった対談の一部をお届けしよう。
本誌の対談/譜面と照らし合わせながら、“ベース二重奏”の世界を存分に堪能してほしい。
兼子拓真×二家本亮介
「Weave」
●音源(L:兼子/R:二家本)
●ベース・レス音源
●プレイスルー映像
Talk Session
ここでは二家本との共演を熱望した兼子の思いのほか、お互いの印象やベーシスト観などを語ってもらった。
━━今回はまず編集部から兼子さんにオファーさせていただき、兼子さんたっての希望で二家本さんとのコンビが実現したわけですが、二家本さんを指名した兼子さんの胸中から聞かせてもらえますか?
兼子 まず僕らみたいなサポート・ベーシストだと、サポートさせていただくいろいろなアーティストのベース・ラインをコピーすることになりますよね。そのなかで、“このベース・ラインは何だ!?”って衝撃を受けた楽曲がいくつかありまして、それらを調べてみるとベーシストのクレジットがほぼ二家本さんだったんですよ。
二家本 お互いに近しい界隈のアーティストをサポートすることも多いから、僕が音源で弾いたベースを、兼子くんがライヴで弾くってことも確かにあるかもね。
兼子 二家本さんのベースとの出会いは高校生のときに観た有形ランペイジで、当時はひたすらテクニックを追い求めていた時期で、“海外ベーシスト第一主義”というか、とにかく尖っていたんですよ(笑)。でも有形ランペイジを観たとき“この人のベース、ヤバすぎる……”って思ったと同時に、二家本さんのベース・ラインが脳裏に焼きついてしまって。そこからずっと参考にさせてもらっています。
二家本 そうだったんだ! ありがとう!!
兼子 そこから二家本さんのベース・ラインが自分のなかでのひとつの正解になった部分もあって。だからそんな二家本さんとご一緒したいと思って、今回オファーさせてもらった次第です。
二家本 今回ベース・マガジンさんからこのお話しをいただいて、結果いい作品が作れたと思うので、僕にオファーしてくれた兼子くんに感謝したいです。僕の生徒やミュージシャン仲間からも兼子くんのことは聞いていたので共演できて嬉しかったですね。ちなみに有形ランペイジのどの曲のベース・ラインに衝撃を受けてくれたの?
兼子 一番は「世界五分前仮説」ですね。当時、動画サイトにライヴ映像が挙がっていたんですけど、二家本さんは原曲とは違うソロを弾いていたんです。その指使いとかスケールが本当に衝撃的で。そういう二家本さんのフレーズを自分のプレイに落とし込んだこともありました。あと僕は歌い手のSouくんのサポートをずっとやらせてもらっているんですけど、二家本さんがレコーディングを担当した「愚者のパレード」がすごくおしゃれなベース・ラインで、二家本さんの色がしっかり出ているけど楽曲の世界観が崩れていないという両立が素晴らしくて。このベース・ラインは“サポート・ベーシストとしての自分のテーマ”が明確になったきっかけの曲ですね。
二家本 それは嬉しいね。兼子くんはDEZOLVEで(山本)真央樹(d)くんとか友田ジュン(k)くんとかと一緒にやっていて、彼らと一緒にやるには高度なテクニックがないと無理なので、テクニシャンなのはわかっていました(笑)。
兼子 さっきも言ったとおり、僕はテクニックを追いかけすぎていた時期があったんですけど、テクニックだけだと音が薄っぺらく、軽くなっちゃってグルーヴィな雰囲気が出せない。その葛藤に苦しんでいた時期がありました。でも二家本さんって、超絶技巧をやっているのにローが効いた重厚な音圧がある。これが本当に理想的なんです。
二家本 ありがとう。でもそれはキャリア的なものもあるかもしれないね。っていうか兼子くんはいま何歳なの?
兼子 1998年生まれの24歳です。
二家本 24!? 僕が東京に出てきたとき6歳じゃん(笑)。僕は専門学校に通っていた頃ジャコ(パストリアス)が好きで、そこから派生したベーシストをずっと追いかけていたので、サポートの仕事をし始めた頃は歌モノでもインストのようなアプローチをして先輩からよくダメ出しされていました。でもそのときは何がダメなのかわかりませんでした。今思うとテクニックは使いどころを間違えると歌の邪魔になり楽曲を壊してしまうので、楽曲やジャンルによる演奏の使い分けは僕もキャリアを積むなかで徐々に理解してきました。だから今回そういう部分を兼子くんに伝えられたらなと思い演奏させてもらいました。なんか上からの意見みたいになってすいません(笑)。
兼子 いえいえ、そういうものを学ばせてもらいたいと思っていたので、本当にありがたいです! 僕はヴィクター・ウッテンを観て中学2年のときにベース始めて、高校1年のときに『A Show of Hands』を全曲コピーしたんです。もちろんそういう超絶技巧がルーツにあっても、サポート・ミュージシャンは“音”を提供するのが仕事。だから技巧だけじゃなくて、ヴィクター・ウッテンや二家本さんのように、超絶技巧とボトム感を両立させるプレイが自分のなかの理想だと思っています。
二家本 僕もボトム感に悩んでた時期はあったし、いろいろな試行錯誤をして今がある。そういう経験則を兼子くんに感じてもらえたら嬉しいですね。
━━今回せっかくこのような組み合わせが実現したということで、今後も継続しておふたりのコラボがあるといいなと勝手に思っています(笑)。そういった可能性はありますかね?
二家本 機会があればもちろん頑張ります!
兼子 僕も、機会をいただけるならぜひ! ベースを持ちながらふたりでお喋りしながら、皆さんに僕たちの技術を披露したり、学んでいただけるようなイベントとかもおもしろそうですね。これからも頑張ります!
「Weave」の譜面のほか、楽曲で披露した超絶プレイの裏側などを語った対談は本誌8月号にて掲載中!
“ベース二重奏”の可能性①
▼『ナガイケジョー(SCOOBIE DO)×須長和広』のBM Web版記事はコチラから▼
【お知らせ】
現在発売中のベース・マガジン8月号【SUMMER】でも、奏法特集特別版『“ベース二重奏”の可能性』を15ページで展開中!
本誌では『兼子拓真×二家本亮介』のオリジナル楽曲「Weave」の譜面のほか、両者の超絶技巧が光るプレイの裏側、そしてコピーするプレイヤー読者へのメッセージなどを語った、BM Webとは別内容の対談を掲載しています。
その他、表紙巻頭特集では昨今のベース・シーンのトレンドでもあるエレキ・ベースとシンセ・ベースの“二刀流”に焦点を当てた『新時代の低音形式 エレベ/シンベ”二刀流”』を68ページで展開しているほか、セミアコ/フルアコ・ベースの魅力に迫った『セミアコ/フルアコis Cool! feat.武井優心』など、さまざまなコンテンツを掲載しています。ぜひチェックしてみてください!