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    『けろけろけろっぴの大冒険2』あなたの名前のリズムは?【クリープハイプ長谷川カオナシのレトロゲーム喫音堂】- 第13回

    • バナードット絵:石田芙月(株式会社.AC)
    • 挿絵:長谷川カオナシ

    2022年にメジャー・デビュー10周年を迎えたクリープハイプ。それを記念して始まった長谷川カオナシによる本連載コラムも2年目に突入。さらに濃い濃度で“レトロゲームのベースの世界を紹介していきます。

    “けーろーけーろーけろっぴ〜”と歌っています!

    新学期が始まってもうすぐ1ヵ月。

    環境の変わられたみなさま、もう新生活にはお馴染みでしょうか?

    レトロゲーム喫音堂、本年度もよろしくお願い致します!

    今日はこちらのゲームをやっていきましょう。

    『けろけろけろっぴの大冒険2 ドーナツ池はおおさわぎ!』(1993年/キャラクターソフト)(※1)

    外装もけろっぴカラー!

    人気男性ロック・バンド“はぴだんぶい”、そのタンバリン担当メンバー“けろけろけろっぴ”。

    これは彼が主人公を務める冒険活劇アクション・ゲームです!

    いろいろと気になる要素が多いですね〜。

    “2”があるなら当然“1”があるわけなんですけど、“1”はパズル・ゲームでした。

    “1”がパズル・ゲームで続編がアクション・ゲーム。

    続編でゲーム・ジャンルが変わるなんて今では考えられませんが、この時期はままあることでした。

    例えば『ゲゲゲの鬼太郎妖怪大魔境』はアクション・ゲームだけど、『ゲゲゲの鬼太郎2妖怪軍団の挑戦』はRPGです。

    なんとも大胆な進路変更ですね!

    いきなり話が脱線してしまいましたが“けろっぴ”に戻りましょう。

    とりあえず、まずはゲームを始めてみましょうか。

    スイッチオン、と。

    ……あれ?

    気のせいでしょうか?

    今、スピーカーから“けーろーけーろーけろっぴ〜”って聴こえたような。

    いやもちろんファミコンなのでヴォーカル・トラックはありませんが、このメロディは確かに“けーろーけーろーけろっぴ〜”と歌っています!

    まさか最先端のテクノロジー

    タイトルBGMのところどころにも“けろけろけろっぴ”を表現していると思わしきメロディ・ラインが。

    なぜそう聴こえるのでしょうか?

    “けろけろけろっぴ”という言葉をリズムで表わしてみるとこうなります。

    ふたつの“けろ”のメロディ曲線の形同士を似せることによって、歌詞がなくても“けろけろ”という音に聴こえてきます。(※2)

    日本語の“っ”は、リズムで言うと“休符”に当たります。

    “けろっぴ”という名前は休符をひとつ含んでおり、かなりリズミカルな名前であると言えますね!

    ファミコンの音源は基本的に、声を再生することはできません。(※3)

    それでも言葉の持つメロディとリズムを上手になぞれば、BGMのテーマ性をより強めることができるのですね!

    勉強になります。

    今回は最初のステージである“やま”ステージBGMのベース・ラインを弾いてみました。

    かなりアップ・テンポな曲ですね。

    これは……もしやメロコアでは!?

    当方、学生時代はパンクで育ちましたがゆえ、こういったサウンドを聴くとつい嬉しくなってしまいます。

    いわゆるメロコアではコードのルート音を弾くことが多いですが、本曲のベース・ラインはオクターヴでせわしなく移動します。
    (限られた和音数で空間を埋める意図かと思われます)

    カタカナで表わすと

    ①“ズッタッ/ズッタッ/ズッタズ/ッズタッ”

    ②“ズッタッ/ズッタズ/ッズタッ/ズッタッ”

    このふたつが基本パターン。

    ①の4拍目や②の3拍目のように、拍のアタマに来る“ッ”は短くなってしまいがちです。

    しっかりと休符を感じて弾きましょう!

    さて今回は“けろけろけろっぴ”という名前の響きをおおいに堪能しました。

    ところでわたくし“長谷川カオナシ”はどんなリズムでできているのでしょうか?

    “かお”のタイが唯一の救いか

    すべて……8分音符……はぁ……。

    面倒なだけでなく、リズムとしてのおもしろみすらないとは、つくづく救えない名前ですこと……。

    それではまた来月までご機嫌よう。

    (※1)
    ^ キャラクターソフトというのはなかなか聞かないメーカーですが、サンリオの子会社であり、サンリオのキャラクター・ゲームを専門に作っていた会社のようです。

    (※2)
    ^ これ文字で説明するのが難しいんですけど、タイトル画面のイントロのメロディは“ドーソ(低)ーミードーソラッソー”です。“ドーソー”という下降する線に“ミードー”という下降する線が続くことによって、“けろけろ”の反復感を強めています。

    (※3)
    ^ ファミコンは人間の声を出すのが苦手だけど、稀に喋るゲームもあります。 例えばKONAMIの『がんばれゴエモンからくり道中』は役人が“御用だ!”って言うし、『タートルズ2」はタートルズが“カワバンガ!”って言います。

    ◎Profile
    はせがわ・かおなし●1987年9月23日生まれ。小学生でピアノとヴァイオリンを手にし、高校1年でベースを始める。クリープハイプは2001年に尾崎世界観(vo,g)を中心に結成。2009年に長谷川、小川幸慈(g)、小泉拓(d)を擁した現編成となる。2012年にメジャー・デビューし、2014年には日本武道館にてライヴを行なう。2023年3月29日に新作EP『だからそれは真実』をリリースした。長谷川はティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズのグッズ収集家でもある。

    ◎Information
    長谷川カオナシ
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    クリープハイプ
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