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    INTERVIEW − TENDRE

    • Interview:Tomoya Zama

    自身の感情を知ることで生み出された
    色とりどりのストーリー

    2021年9月にリリースされたメジャー1stアルバム『IMAGINE』から約1年、河原太朗によるソロ・プロジェクト=TENDREが最新作『PRISMATICS』をドロップした。“想像力”をテーマにした前作から、ツアー、他アーティストとのコラボレーション、デジタル・シングルの発表を経て辿り着いた今作は、“自らの感情を知る”ことを原点に多彩な楽曲が詰め込まれた、情緒豊かなアルバムに。“なるべく自分のいろんな顔を見てほしいなっていうイメージで作った”と語る河原に、今作の背景から今後のアーティスト像までを聞いた。

    僕自身の言葉でもあるし、
    誰かにとっての自分の言葉にもなってほしい

    ━━前作のメジャー1stアルバムから1年で今作のリリースとなりましたが、この間はどのような期間でしたか?

     良い意味で目まぐるしい1年でした。去年の11月にツアーが終わって、12月ぐらいからデモ作りに着手したんですけど、年に1枚のペースでアルバムを作っているなかで、僕はその年々の答えを出していくような意味合いでアルバムを出しているんです。やっぱり0から1を作るっていう作業は容易なものではないと改めて思いましたし、大変な部分もありましたけど、より一層自分自身が作家として、シンガーとして、プロデューサーとしてどういったことができるかとか、どういったことをしたらおもろいかを見直せた期間になりましたね。より一層TENDREというものが柔軟におもしろくなっていきそうだなと自分で可能性を見出せた、そんな年を過ごせている気がします。

    ━━以前、コロナ禍でインプットするものが少なくなったと語っていましたが、今作ではそこについてはいかがでしたか?

     2年前と良い意味で変わった部分となかなか変わり切らない部分が当然あるんですけど、“こういう時代に対してどういう心持ちで生きていくのか”っていうマインドが少しずつ良くはなってきたような気がしています。作る姿勢がより意欲的になってきた気はしますね。

    ━━デジタル・シングルの配信やコラボなど、ほかのアーティストとの活動も盛んでしたが、そこからはどのような影響を受けましたか?

     ほかの方と制作することによって、フィーチャリングだったら一緒に作る人のスタンスだったり考え方に刺激を受けることも多いです。そこで自分に対してフィードバックになるものもありますし、“意外と自分もこういうことやっていいんだな“とか、ひとつ開き直って、ほかの制作に生かしたりもしています。

    『PRISMATICS』
    EMI Records/UPCH-29443(初回限定盤)

    ━━TENDREのライヴ・セットではベースをBREIMENの高木祥太さんが弾いていますが、高木さんからも何かインスピレーションを受けることはありますか?

     個人的に祥太には曲作りにおいてすごくシンパシーを感じているんです。彼の音楽性におけるディティールのつき詰め方、例えばハーモニーを作るその和声だったり、ライヴの場でしかなせないアクションだったり。あと、彼はその場で急にコード・チェンジみたいのをやってきたりするんですけど、それをお互いにふざけあって成立させたりとかね。そういうライヴで起きるセッションにおいて、祥太から発せられるフラッシュ・アイディアだったり茶目っ気が刺激になっています。身近な存在ですけどめちゃくちゃリスペクトしていますね。

    ━━高木さんをはじめ、自らのライヴからもいろんな刺激を受けているんですね。

     ライヴにおいて、バンド・メンバーからの刺激もあるし、その場でしかなせない大きなエネルギーを作るような演奏が少しずつできるようになってきたので、それも大きなインプットになっていると思います。

    ━━前作は“孤独”と向き合い、“想像力”をキーワードにして制作していたそうですが、今回はどういったコンセプトで制作を進めたのでしょうか?

     去年から考えていたのは、2022年に作るアルバムはなんとなくバリエーションに富んだものにしたいなっていうことでした。2年前に“孤独”に向き合ったときには、世の中全体的に内省的な曲が多かった印象があったんです。おのおのが心を落ち着かせたいと感じていて、それが音楽に反映されていたと思うし、自分自身もそれがあったからこそ『IMAGINE』を去年に出した。でも、今年に関しては少し心が開けたような曲を作っていきたいと思っていたんです。今も世の中として良くなっている面となかなか変われない面がありますけど、自分はアーティストという立場なので、そういうところに向き合っていくべきかなと思いますし、向き合ったうえで何に重きを置いていくかを考えようと。それで、今回のアルバムでは“多面性”をひとつのテーマにしています。自分自身もそうですし、ひとりの人間であってもいろんな顔があって、いろんな感情があって、そのひとつひとつがバラバラだっていうのを知ることはすごく大事っていうのが、今作を作るうえでの根元のイメージです。なるべく自分のいろんな顔を見てほしいなっていう思いで作り始めましたね。

    ━━確かにアルバムを聴いて、多彩なアルバムだなという印象を受けました。

     僕のなかで、アルバムはひとつの意思表示みたいなものなんです。“僕はこういう風に思っているんですよね”って言って、あとは皆さんがどう思うかは自由で。自分の歌は僕自身の言葉でもあるし、誰かにとっての自分の言葉にもなってほしいというか、おのおのの人生に溶け込んでいくようなイメージで曲を作っているので、いろんな意見を言っていただけたらすごく嬉しいです。

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