NOTES
1996年から2020年まで24年間にわたりベース・マガジンの人気連載として掲載されていた、かわいしのぶの「ある日の絵日記」が“リターンズ”としてBass Magazine Webで連載中。今回は3月の絵日記です!
ある日の絵日記 リターンズ
第6回
3月某日、柴田聡子ちゃんの新曲「ジャケット」のMV撮影。用意していただいた衣装は、ひとりずつ型の違うライダースジャケットと黒いサングラス。バンド丸ごと一気にロッカー化、ジャキーン。っしゃ、このいでたちで楽器を担いで、カメラの前で演奏するぜ。ちょっと重いぜ。けっこう暑いぜ。サングラスが暗くて手元が見えないぜ。不意に誰かが口にした“ギターウルフ、すごい”という言葉に、みんながうなずいた。
3月某日、都内某スタジオにて、某氏が音楽を担当する某劇伴の録音。日記の内容以前に某の連投でゲシュタルト某を起こしそうになるが、まだ未発表某につきそこは何卒某。劇伴の録音は、いつも当日スタジオに入ってから初めて譜面と対面するのだが、この日初めて対面した譜面は少し様子が違っていた。そこにはただならぬ厚みがあった。親指と人差指でそっと挟んでその厚みを確認する。紙を束ねているクリップがよく持ち堪えているなあと感心してしまう厚みである。もしや間違ってほかの人の譜面も全部ここに置いてしまったとか……? いや、そんなこたなかった。オール38曲、ただ前(にある譜面)だけを見て駆け抜けた。ほぼ、フラッシュ暗算状態である。頭も身体もギンギラギンのロックオン。合法トリップ・初見譜面ハイと名付けた。
3月30日、2ヵ月前に遂行した“ピロリン一家追放大作戦(a.k.a ピロリ菌の除菌治療)”。あれから胃のなかのピロリン一家はどうなったのか、今日はその検査結果を聞きに、朝一番で胃腸内科へ。先生がニコニコ顔で迎えてくれた。“かわいさん、ピロリ菌の除菌、成功しましたよ!”、先生にお礼を言いながら、私の肩の上で小さなヤッターマン1号2号が“ヤッターヤッターヤッターマーン!”と飛び跳ねている。長年この胃のなかで悠々自適に暮らし、栄え、ことあるごとに胃主を苦しめてきたあのピロリン一家はもういない。we are winner 、胃と胃主。
『おめでとう 今日がわたしの ピロリ記念日』
【Profile】
かわいしのぶ●1971年生まれ、東京都出身。高校一年でベースを始める。1991年にSuper Junky Monkeyを結成し、1994年、ソニー・レコードよりデビュー。日本とアメリカを行き来しながら活動を続け、1999年に活動休止。2009年からは3人で活動を再開した。かわい個人は現在、大友良英スペシャルビッグバンド、柴田聡子 in FIRE、坂田明、パンチの効いたブルース&オウケストラ、プノンペンモデル、world’s end girlfriend、bikke&近藤達郎など、ベーシストとして幅広い活動を展開している。カレーが大好き。
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