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    【第54回】自分に合ったストラップの長さとは?/石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

    • Text:Jun Ishimura

     ストラップの長さって“見た目“で決めてもいいんですが、“弾きやすさ”も考えて決めたほうがいいですよ。

     ストラップの長さ(楽器の位置)っていうのは、まあ弦の種類とかゲージとか楽器の種類とかと同じで好みの世界なので、自分の好きなようにすればいいんですが、ただ、“うまく弾けない”“押さえづらい”“すぐ疲れる”っていう悩みがある人は、ストラップの長さを見直してみるといいかもしれません。

     レッスンで“試しにもう少しストラップを短くしてみたら?”って言って試すと“弾きやすくなった!”ってことが時々あるんですよね。楽器の位置が高すぎるせいでうまく弾けてない人ってあまり見たことないんですが、楽器の位置が低すぎるせいでうまく弾けてないケースはちょくちょくありますね。

     まあ、ひと口に“弾きやすさ”と言っても人によって違いがあって、“弾きたいフレーズ”とか“体格”が関係あります。

    弾きたいフレーズ

     弾きたいフレーズが主にシンプルなフレーズっていう人は、ストラップが長くても問題ないと思います。ルート8分弾きとかペンタトニック中心のフレーズがメインの場合ですね。

     逆に、音が細かく動くフレーズを弾きたい人はストラップを長くしないほうがいいです。特にハイ・ポジションでのプレイは、楽器の位置を高めにしたほうが弾きやすいですね。

     楽器の位置は低いまま細かいフレーズも弾きたい人は、ネックが水平じゃなくて斜め上を向くような持ち方にすると、多少弾きやすくなると思います。細かいフレーズを弾くときって、握り込む押さえ方よりも、クラシック・ギター的に親指をネック裏に持ってくる押さえ方のほうが指が開くのでオススメなんですが、ネックの位置が低いとその押さえ方ができないんですね。その体勢で無理に手首を曲げると痛いし、そもそも指があまり開きません。なので、手首を曲げすぎなくて済むように、ネックが斜め上を向く持ち方をしたほうがいいです。その場合、左手で支えなくてもネックを斜め上向きにキープしてくれるような“裏側がすべりにくい素材のストラップ”がいいです。左手でネックを支えるのは無駄な力なのでやめましょう。

    体格

     背が高い人とか手が大きい人は、ベースの位置が低くても問題ないことが多いと思います。ただ、先ほど言ったように、弾きたいフレーズによってはストラップの長さを変えたほうがいいかもしれないです。

     手が小さめの人はベースの位置は低くしないほうが弾きやすいです。特に細かく動くフレーズを弾きたい人はそうですね。

    練習

     それと、ストラップの長さは練習の仕方にも影響があります。家だと座って練習するって人、結構いると思うんですけど、ストラップが長い人は要注意です。ストラップが長い人が座って弾くと、立って弾くときよりも楽器の位置が高くなる場合があります。必然的に両手の肘や手首の角度が変わります(下記写真参照)。

    この状態で練習していろいろ身につけても、実際にリハや本番で弾くときは立って弾くので、手首や肘の角度が変わってしまって(下記写真参照)、“あれ?うまく弾けないな”ということになりがちなんですね。

     あと、座るとストラップが緩んでしまって楽器を支えてくれなくなった結果、左手でネックを支えてる人もたまにいます。さっき言ったように、これは良くないですね。

     というわけで、ベースの位置を低くしてる人は、練習のときも本番と同じように立って弾きましょう。

    オススメ

     個人的には、“立っても座っても楽器の位置が変わらないストラップの長さ”をオススメします。つまり、座って弾く場合にボディの下のところが太ももに乗るか乗らないかくらいの位置か、それよりも高い位置ですね。弦の位置がだいたいおへそのあたりか、それより上に来る感じです。ストラップの具体的な長さに関しては身長によりけりなので、楽器屋さんで自分に合うものを探してください!

     ということで、自分の弾きたいフレーズと体格に合った楽器の位置(ストラップの長さ)を見つけて、ベースの演奏を上達していきましょう。石村順でした!

    石村順
    ◎Profile
    いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライヴや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

    ◎Information
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